虫歯を自分で確かめる方法は?歯医者を受診すべき理由についても

虫歯の自己診断は可能です。ただし、セルフチェックには限界もあります。専門的な知識や技術が必要な場合も多く、正確な診断と適切な治療を行うには、歯医者の受診が不可欠です。
この記事では、虫歯のセルフチェック方法から、虫歯の分類について詳しく解説しています。歯医者を受診すべき理由、虫歯を放置するリスクについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
虫歯かどうかを自分で確かめられる?

虫歯が疑われる症状に気づいたとき「自分で虫歯かどうか確かめられるのだろうか」と考える方もいるでしょう。実際、自宅でできるいくつかのセルフチェックがあり、歯の異常を見つけ出すことが可能です。
しかし、セルフチェックは虫歯を完全に診断するものではなく、あくまで自宅での一時的な対処方法に過ぎません。歯の内部まで見ることはできず、見た目ではわからない虫歯も存在します。したがって、これらのセルフチェックによって虫歯の疑いがある場合、または定期的な歯のメンテナンスを心掛けるためにも、歯医者での専門的な診断と治療を受けることが大切です。
では、どのようなセルフチェック方法があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
虫歯のセルフチェック方法
自身で行う虫歯のセルフチェックは、痛みの有無、変色の確認、形状の変化の観察、熱いものや冷たいものがしみるかどうかを確認することで、初期段階での対策が可能になります。
具体的にどういった症状か見ていきましょう。
痛みがあるか?
まず、痛みの有無が虫歯の一般的なサインです。虫歯が進行すると、歯や歯茎に不快な痛みや違和感があることがあります。ただし、痛みがあるからといって必ずしも虫歯であるとは限りません。知覚過敏の可能性もあるため、痛みが生じる状況をよく観察することが重要です。
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変色しているか?
歯が変色しているかどうかも、虫歯のセルフチェックです。虫歯の初期段階では、歯の表面に白っぽい斑点が現れることがあります。進行すると茶色から黒ずんできます。見た目に異変がある場合は、虫歯の可能性が高くなります。
穴が開いていたり形状が変化しているか?
歯に穴が空いている、形状に変化が見られる場合も虫歯のサインです。歯ブラシやフロスで掃除していても、取り除けない食べかすが溜まり、それが虫歯の原因となりやすいです。
熱いものや冷たいものがしみるか?
熱いものや冷たいものを飲食した際に歯がしみる感覚がある場合、虫歯のほかに知覚過敏の可能性があります。ただし、症状が続くかどうかで判断が分かれるため、医師による診断が必要です。
医学的な虫歯の進行度合いの分類
虫歯の進行度合いは、医学的にCOからC4まで分類されます。虫歯の進行が浅い段階から深刻な状態に至るまでのプロセスを示しており、適切な治療を行うための重要な指標となります。
CO
COは自覚症状がほとんどない虫歯の最初の段階で、歯の白濁や軽い着色が見られるものです。この段階では、歯を削る治療は必要なく、丁寧な歯磨きとフッ素の塗布による治療が行われます。
C1
C1は、エナメル質に虫歯が達した段階で、黒い着色や白い斑点が特徴です。舌で触るとザラザラとした感触がありますが、自分で気づくのは難しいことが多いです。この段階では、フッ素塗布や日々のブラッシングで経過観察を行い、場合によってはCOに戻すことも可能です
C2
C2は象牙質に虫歯が達した段階で、冷たいものや温かいもの、甘いものがしみるような自覚症状が現れます。感染した部分を削り、詰め物で補う治療が必要になります。
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C3
C3では虫歯が歯髄にまで達し、熱いものがしみるようになるほか、圧迫された神経によるズキズキする痛みも生じます。この段階では、感染した神経を取り除く処置が求められます。
C4
最も進行したC4は、歯の大部分が溶けてしまい、歯根だけが残る状態です。この段階になると、抜歯を含む複雑な治療が必要になることもあります。
各段階の虫歯は、見た目だけでなく機能的な問題をもたらします。早めのケアが大切であり、自覚症状がなくても定期的な検診で早期発見を心がけることが重要です。虫歯の進行を食い止め、可能な限り自分の歯を守るためにも、段階を理解し適切に対処することが大切です。
歯医者を受診した方がよい場合とは

虫歯は多くの場合、自覚症状が出るまでに時間がかかることがあります。セルフチェックでは見逃しがちな初期症状もあり、正確な診断には限界があります。例えば、歯に軽い違和感を覚える、食事の際に特定の歯だけに痛みやしみる感覚がある、歯ブラシの際に出血が見られるなど、これらは歯医者を受診するべき兆候です。
また、虫歯の進行度合いによる痛みがなくても、歯の構造上の問題や隠れた虫歯がある場合もあります。定期的な検診の大切さは言うまでもありませんが、自己診断で異常を感じた時は、特に迅速な対応が求められます。
早期発見・早期治療は、虫歯の進行を防ぎ、より複雑で高額な治療を避けるためにも重要です。
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歯科医院の虫歯のチェック方法
歯科医院では、いくつかの方法で虫歯があるかどうかを調べます。 まず、口の中を見て歯の色や形をチェックし、細い道具で歯を軽く触って、やわらかくなっていないかを確かめます。
見ただけではわからないときは、機材を活用して歯の中や奥のほうまで確認する場合もありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
視診(ししん)
視診とは、歯科医師が肉眼で歯の状態を観察し、色の変化や形の異常、歯と歯の間にできた影などを確認する方法です。 初期の虫歯は白く濁ったり、わずかに茶色く見えることがあり、進行すると黒ずんだり欠けたりすることがあります。 必要に応じて照明や拡大鏡を使用し、細かな変化を見逃さないよう慎重に確認します。
これらの診察を通して、虫歯の有無や進行度を判断し、必要に応じてレントゲンなどの精密検査へと進みます。 早期発見のためにも、定期的な視診によるチェックが重要です。
触診(しょくしん)
触診は、歯や歯茎の状態を直接確認する検査方法で、視診だけでは分かりにくい部分を補う役割があります。 歯科医師は、探針(たんしん)やミラーなどの器具を使い、歯の表面を軽く触れて異常の有無を確認します。
歯の硬さやざらつき、くぼみの深さを確かめることで、虫歯の進行度や感染の広がりを正確に判断することが可能です。 特に初期段階の虫歯は、外見上ではほとんど変化がない場合もありますが、触診によって軟化した部分を発見できることがあります。
レントゲン検査
レントゲン検査は、見た目や触診だけでは分かりにくい虫歯を確かめるために実施します。 歯と歯の間や詰め物の下、神経に近い深部の状態を画像で把握でき、初期の変化や進行度を確認します。
セルフチェックでは見逃しやすいリスクを補い、早期発見と適切な治療計画につなげます。
ダイアグノデント(光学式う蝕検出装置)
ダイアグノデントは、レーザー光を利用して虫歯を検出する光学式う蝕検出装置です。 肉眼やレントゲンでは確認しづらい初期の虫歯を、非侵襲的に数値化して測定できます。 歯の表面にレーザーを照射し、反射光の変化から歯質の状態を解析するため、削らずに内部の変化を確認できる点が特徴です。
痛みや不快感がほとんどなく、短時間で結果が得られるため、患者への負担が少ないのも大きな利点です。
歯髄電気診
歯髄電気診は、歯の神経(歯髄)が刺激に反応するかを確認する検査です。 微弱な電気刺激を段階的に与え、反応の有無を確認します。
深い虫歯や外傷が疑われるときに有用で、画像所見と併せて歯髄の状態を総合的に判断するものです。 レントゲンやダイアグノデントなどの結果と合わせて総合的に判断し、保存治療が可能か、根管治療が必要かを見定めます。
初期虫歯の主な治療内容
虫歯は進行の度合いによって行われる治療が異なります。 ここでは、初期段階の虫歯に対して行われる治療を2つ紹介します。
フッ素塗布
初期の虫歯(CO)では、フッ素塗布によって歯の再石灰化を促し、自然に修復できる可能性があります。 フッ素は歯の表面を強化し、酸に溶けにくい構造に変える働きがあります。 そのため、エナメル質のごく浅い部分にとどまる虫歯であれば、削らずに進行を抑えることが可能です。
歯科医院では高濃度のフッ素を専門的に塗布し、自宅ではフッ素入りの歯磨き剤を併用することで、より効果的な予防が期待できます。
定期的なクリーニングとチェック
初期の虫歯は進行がゆるやかで、自覚症状が少ないため、定期的なクリーニングと歯科検診が欠かせません。 歯科医院でのクリーニング(PMTC)では、毎日のブラッシングでは落としきれない歯垢や歯石を除去し、虫歯菌の繁殖を抑えます。 これにより再石灰化が促進され、虫歯の進行を防ぐ効果が期待できます。
また、定期的なチェックによって、わずかな変化を早期に発見することが可能です。 視診やレントゲン、光学検査などを組み合わせることで、セルフチェックでは難しい初期段階の虫歯も正確に把握できます。
重度の虫歯の主な治療内容
次にある程度進行してしまった場合の虫歯の治療法を2つ紹介します。
根管治療(神経を抜く治療)
根管治療は、重度の虫歯で歯髄まで細菌感染が及んだ場合に、歯を抜かずに残すことを目的として行います。 麻酔下で感染した神経や汚染物を除去し、根管を洗浄・拡大して消毒します。 その後、根管内を薬剤で緊密に充填して再感染を防ぐというものです。
治療後は土台と被せ物で強度を回復し、噛む機能を安定させます。 症状や根の形により複数回の通院が必要になることがありますが、早期受診で負担を抑えられます。
抜歯
抜歯は、虫歯が歯根まで進行し、歯を残すことが難しい場合に選択される治療です。 根管治療では改善が見込めない場合や、歯が大きく欠けて支えを失っている場合に行われます。 抜歯の際は局所麻酔を使用し、痛みを最小限に抑えながら丁寧に処置を進めます。
抜歯後は、周囲の歯やかみ合わせのバランスを保つために、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどで補う治療が必要です。 放置すると、隣の歯が傾いたり、噛み合わせが乱れたりすることがあります。
早期の治療計画と定期的なチェックにより、口腔内全体の健康維持につなげることが大切です。
虫歯を治療しないで放置するリスクとは?
虫歯は放っておくと重大なリスクを伴う疾患です。口内の細菌は増殖し、歯を溶かし侵食する感染症であり、その過程で発生する代謝物が口臭の原因となります。対人関係において印象を左右するかもしれません。また、虫歯が進行して歯髄炎や根尖性歯周炎を引き起こすと、顎骨炎に至るリスクがあります。そうなると激しい痛み、腫れ、発熱などを引き起こす恐れがあります。重症化すると顎骨から感染が広がり、さらに深刻な状態に至る可能性もあるでしょう。
そのほか、虫歯の放置により上顎洞炎を引き起こすことも。歯の感染が上顎洞へ進行することで生じる症状で、痛みや頬の腫れ、悪臭を伴った膿や鼻汁の問題が発生します。
最終的に、虫歯が放置されると歯の喪失につながります。抜歯せざるを得ないほど虫歯が進行すると、治療選択肢は限られてきます。入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの治療は、歯を失ったスペースと機能を補うために必要ですが、時間も費用もかかり、自分の歯を保つことに比べると大きな負担となります。
関連記事:虫歯を放置するリスクとは?治療期間や費用もチェック
虫歯の疑いがあったらすぐに歯医者に行こう

いかがでしたでしょうか?自宅でできる虫歯のセルフチェック方法や、歯医者を受診すべき理由についておわかりいただけたかと思います。痛みの有無、歯の変色や形状の変化、温度による違和感は、虫歯が進行している可能性があります。
しかし、自己判断には限界があり、進行度に応じた医学的な分類や、専門的な診断が必要になります。虫歯の放置はさまざまなリスクを伴いますので、疑いがある場合は速やかに歯医者への受診をおすすめします。
早期発見・早期治療が、健康な歯を保つためには大切です。
世航会デンタルオフィスでは虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、歯科治療を幅広くご提供しています。不安なく治療を受けていただけるよう、カウンセリングもしっかりと実施。歯が痛いと感じられている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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