虫歯で歯茎が腫れる理由|虫歯以外の原因も紹介

「虫歯で歯茎が腫れる原因と治療法は?」
「虫歯で歯茎が腫れた場合の応急処置について知りたい」
「歯茎の腫れを放置するリスクとは?」
ビジネスマンであれば見た目の清潔さは非常に重要。
くわえて、歯は健康寿命を支えているともいわれており、自己投資としてはコスパが高いともいえるでしょう。
そこで本記事では、歯茎が腫れて困っている方に向けて、冒頭の疑問について詳しく解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
虫歯で歯茎が腫れる原因と治療法

いわば虫歯は菌の侵食です。
虫歯が大きく進行すると、感染が歯を越えて周囲の組織に広がりますが、これこそが歯茎の腫れを引き起こす原因です。
歯周組織や顎の骨などに炎症が生じているサインともいえます。
治療方法としては、虫歯部分の清掃と歯質の除去を行い、さらに根管治療を通じて感染した歯髄を取り除き、内部を消毒します。
時には抗生物質を処方されることもあり、重度の場合には歯を抜歯することも必要になるかもしれません。
早期の治療が重要となるため、異常を感じたら早めに歯科医を訪れることをおすすめします。
歯茎が腫れるまでの過程
虫歯は、歯の表面にできた小さな穴から細菌が入り込み、時間の経過とともに内部で炎症を広げていきます。
初期のうちは痛みを感じにくいものの、進行すると感染が歯の神経に達し、歯の根の先端から歯茎の組織へと炎症が及びます。
やがて炎症が歯根や歯周組織に波及すると、膿の貯留や浮腫で腫れと熱感が生じ、歯茎がぷっくりと膨らむようになります。
さらに放置すると膿がたまって圧力が高まり、痛みや違和感を強く感じるようになります。
そのまま放置を続けると、炎症が周囲の骨や他の歯にも影響を及ぼすことがあり、全身の健康にも悪影響を与える可能性があります。
歯茎が腫れた時の症状
歯茎が腫れ始めると、まず見た目に赤みや腫張が現れ、軽く触れただけでも痛みを感じることがあります。
さらに症状が進むと、歯茎がぶよぶよとした感触になり、歯ブラシや食事の際に出血しやすくなります。
また、口臭が強くなったり、噛むときに歯が浮くような違和感を覚えたりすることもあります。
重度の場合には、顔の一部が腫れたり、発熱を伴ったりするケースもあります。
こうした症状は、細菌による炎症や膿の蓄積が原因であることが多く、放置すると顎の骨や周囲の組織にまで影響が及ぶ危険があります。
虫歯で歯茎が腫れた場合の応急処置
当然、虫歯で歯茎が腫れた場合は歯科医に行くのがベストですが、夜中などで今すぐの診療が難しい場合は、以下の応急処置を試してみてください。
- 痛み止めの服用
- 柔らかな歯ブラシでブラッシング
- 患部を冷やす
それぞれ解説していきます。
関連記事:歯茎が腫れて痛いときの原因と対処法を解説!予防法やセルフチェックも紹介!
痛み止めの服用
もし市販の鎮痛消炎剤がある場合は、服用することで痛みや腫れを一時的に和らげられます。
これには多くの場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれ、炎症を抑えるとともに痛みを緩和します。
ただし、これらの薬は症状を軽減する一時的な手段であり、腫れの原因を取り除く治療ではないので注意してください。
副作用に注意しつつ、極力速やかに専門医のアドバイスを受けてください。
柔らかな歯ブラシでブラッシング
歯茎の腫れは細菌によるもの。
ともすれば、口腔内を清潔に保つことが重要です。
毎食後と就寝前の丁寧な歯磨きなどによって食べかすや細菌の蓄積を防ぎましょう。
腫れた部分に痛みがある場合は、塩水でのうがいなど自然で優しい消毒効果で、腫れや痛みの緩和を促してください。
また、使う歯ブラシも柔らかく歯茎に優しいものを使いましょう。
歯磨き中に歯茎を傷つけてしまった場合
歯茎の腫れは、強くこすりすぎるブラッシングによって起こることもあります。
力任せに磨いたり、硬めの歯ブラシを使用したりすると、歯茎の表面が傷つき、そこから細菌が入り込んで炎症を起こすことがあります。
特に、歯と歯茎の境目はデリケートな部分のため、強い刺激が続くと回復に時間がかかり、腫れや出血が長引くこともあります。
歯茎を健康に保つためには、柔らかめのブラシを選び、軽い力で小刻みに磨くことが大切です。
優しく丁寧なブラッシングを心がけることで、歯茎の腫れを防ぎ、清潔で健やかな口内環境を維持できます。
患部を冷やす
患部を冷やすのもひとつの手です。
清潔な布に包まれたアイスパックや冷たいタオルを腫れている部分に適宜当てることで、腫れの原因である血管拡張を抑え、炎症を軽減できます。
冷却は一時的な痛みや腫れを和らげる効果がありますが、これは症状の緩和に過ぎず、腫れの根本原因に対して歯科医による治療が必要です。
そのため、冷却後も症状が改善しない場合は、早急に歯科の診察を受けることが重要です。
関連記事:虫歯の初期症状と症状が現れたときの適切な対処法について
虫歯以外で歯茎が腫れる原因

次に、虫歯以外で歯茎が腫れる原因についても見ていきましょう。
基本的には、以下の4つが考えられます。
- 歯周炎・歯肉炎
- 智歯周囲炎
- 歯根破折
- 腫瘍
それぞれ解説していきます。
歯周炎・歯肉炎
歯周病は、歯を支える歯肉や骨が炎症を起こすことで歯茎の腫れを引き起こす病気です。
プラークと呼ばれる細菌の塊が原因で、不適切な歯磨きが蓄積しやすくさせています。
治療法としては、まず歯科医によるプロフェッショナルなクリーニングが必要で、歯石の除去と歯肉ポケットの清掃が行われます。
重度の歯周病では、手術が必要となる場合も。
毎日の適切な歯磨きと定期的な歯科チェックが再発を防ぐ鍵となります。
フロッシングや歯間ブラシを使うことも、歯周病予防には重要です。
関連記事:歯肉炎と歯周病の違いは?症状や原因、進行レベルについても紹介!
智歯周囲炎
智歯周囲炎は親知らずが原因の炎症です。
現代人の顎は小さく、智歯(親知らず)が正しく生えづらい傾向にあります。
その結果、正しい位置で生えない智歯が歯肉や周囲組織を圧迫し、炎症を引き起こすのです。
差し歯や銀歯への影響
智歯周囲炎が進行すると、炎症が隣接する奥歯の根や歯肉にまで広がることがあります。
その結果、補綴物の有無にかかわらず、周囲の歯肉や顎に痛みや違和感が生じることがあります。
部分的に萌出した親知らずがある場合、隣接する第二大臼歯の間に食べかすが入り込みやすく、むし歯や歯周炎のリスクが高まります。
特に、親知らずが中途半端に生えて清掃しにくい場合や、噛み合わせによる粘膜の刺激、食片の圧入などによって再発を繰り返すことがあります。
補綴物の有無が直接的な原因となるわけではなく、周囲の衛生状態や噛み合わせの影響が大きいと考えられています。
歯根破折
歯根破折は、歯の根元に亀裂が生じたり完全に割れたりする状態を指します。
この損傷により、歯根が弱くなり、まわりの歯肉に炎症をもたらす原因になり得ます。
また、亀裂から細菌が侵入し、感染を引き起こすこともあり、それが歯茎の腫れの一因となるのです。
歯根膜炎
歯根膜炎とは、歯の根を支えている「歯根膜」という組織に炎症が起こった状態です。
歯根膜は、咬む力を吸収して歯を支える重要な役割を持っています。
虫歯が進行して神経にまで感染が及ぶと、根の先にある歯根膜にも炎症が広がり、歯茎の腫れや強い痛みが生じます。
また、強い噛みしめや歯ぎしりの習慣があると、歯根膜に過剰な負担がかかり、炎症や圧痛を引き起こすこともあります。
初期のうちは軽い違和感や噛みにくさだけでも、放置すると症状が悪化し、慢性化する場合があります。
腫瘍
腫瘍が歯茎に生じると、歯肉の腫れの原因となることがあります。
これらは歯肉腫瘍と呼ばれ、中でも悪性のものは口腔がんの一種です。
統計によると口腔がんの約25%が歯肉癌であり、舌癌に次いで2番目に多く見られます。
また、上顎よりも下顎に発生することが一般的です。
これらの腫瘍は早期発見が治療成功の鍵となるので、異変を感じたら早めの医療機関受診が重要です。
治療済みの歯が再び腫れることも
過去に虫歯や根管治療を行った歯でも、再び歯茎が腫れることがあります。
治療後に詰め物や被せ物の隙間から細菌が侵入し、内部で感染が再発すると、歯の根の周囲に炎症が生じやすくなります。
また、治療直後は化学的・機械的・微生物学的刺激の影響で、一時的に痛みや圧痛を感じることもあります。
さらに、咬み合わせのズレや強い力が加わることで炎症が悪化し、症状が長引くことも少なくありません。
こうした炎症を放置すると、膿がたまったり再治療や抜歯が必要になったりするケースもあるため、日常的に歯茎の状態を意識しておくことが大切です。
歯茎が腫れたときに避けるべき行動
歯茎が腫れているときは、炎症を広げないための注意が必要です。
まず、腫れている部分を舌や指で触ることは避けましょう。細菌が入り込み、さらに腫れが悪化するおそれがあります。
次に、血行を促す行為(長風呂や飲酒、激しい運動など)は一時的に痛みを強めてしまいます。
冷たいタオルで患部を軽く冷やし、安静に保つことが大切です。
こうした「やってはいけないこと」を押さえたうえで、受診までにできる具体的な対処法については、次の見出しで詳しく解説します。
腫れた部分の膿を無理に出さない
腫れの内部に膿がたまっているように感じても、指や爪で押したり、針などで潰したりするのは厳禁です。
細菌が血流に乗って広がり、炎症を悪化させるリスクがあります。
歯科医院では、無菌状態で安全に切開・排膿を行えるため、痛みを最小限に抑えながら治療できます。
また、腫れの原因や膿の量を正確に判断するためには、レントゲンなどの検査が必要になる場合もあります。
見た目が気になっても、自分で処置せず、冷却やうがいなどの応急対応にとどめましょう。
血流を促す行動は控える
炎症があるときに体を温めすぎると、血流が急に増えて痛みや腫れが強くなることがあります。
入浴はぬるめのお湯で短時間にとどめ、激しい運動やアルコール摂取も控えましょう。
また、患部を直接温める温湿布は逆効果です。炎症が落ち着くまでは、冷やして安静にすることが基本です。
特に夜間は痛みが強くなりやすいため、枕を少し高くして休むなど、体を安定させる工夫も有効です。
適切なセルフケアを行いつつ、できるだけ早く歯科医の診断を受けてください。
歯茎の腫れを放置するリスク
ここからは、歯茎の腫れを放置するリスクを解説していきます。
ここでは、以下の4つを紹介します。
- 口臭
- 激しい痛み
- 抜歯が必要になる
- 病気を引き起こす危険性
それぞれ確認してください。
口臭
歯肉の腫れは、口腔内環境の悪化を引き起こし、しばしば口臭の原因となります。
腫れた部分では細菌が繁殖しやすく、これが不快な臭いを発生させることがあります。
そのため、歯茎の腫れを速やかに治療することは、結果的に口臭予防にもつながります。
関連記事:虫歯による口臭を防止する方法
激しい痛み
歯茎の腫れを放置した場合、重度の歯周炎などへと進行するリスクがあります。
これが原因で、激しい痛みが生じることがあります。
長期間放置すればするほど、痛みは増幅し、日常生活にも影響を及ぼしかねません。
抜歯が必要になる
歯茎の腫れを放置すると、重度の歯周病を引き起こし、最終的には歯を支える骨が失われるかもしれません。
この結果、歯がグラグラになり、場合によっては抜歯が避けられない状況になることがあります。
そうなると咀嚼機能の低下や見た目の問題に直面する可能性があるため、歯茎の腫れが見られた場合は、早急に歯医者へ相談しましょう。
病気を引き起こす危険性
実は歯茎の腫れを放置すると、全身へ影響を及ぼす恐れもあります。
細菌が血流に入り込むことで心臓疾患などのリスクが高まることも指摘されています。
また、糖尿病や呼吸器系疾患の悪化とも関連があるといわれています。
虫歯が原因で顔が腫れたときの治り方と回復までの期間
虫歯が進行して顔まで腫れてしまった場合、治るまでの期間は炎症の深さや治療内容によって異なります。
軽症の場合は数日で改善することもありますが、感染範囲や治療内容により1週間以上かかる場合もあります。
状態によっては通院を重ねて経過を観察しながら治療を進める必要があり、完治までには個人差があります。
さらに、体調や免疫力の低下によって治癒が遅れることもあるため、十分な休養と栄養補給を意識しましょう。
腫れている部分を触ったり温めたりすると炎症が悪化することがあるため、冷却と安静を心がけ、無理をせず体をしっかり休めることも大切です。
歯茎の腫れを防ぐための習慣づくり
歯茎の腫れを予防するためには、日々のセルフケアと生活習慣の見直しが欠かせません。
正しい歯磨きを習慣化し、歯と歯茎の境目に汚れを残さないよう丁寧に磨くことが第一歩です。
こうした日常の小さな積み重ねが、健康な歯茎と虫歯予防の両立につながります。
次の章では、毎日のケアで意識すべきポイントをわかりやすくご紹介します。
睡眠と歯茎の健康の関係
睡眠不足が続くと体の免疫機能が低下し、歯茎の炎症や腫れが起こりやすくなります。
特に夜間は唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥することで細菌が増殖しやすい状態になります。
質の良い睡眠をとることで免疫力を高め、体全体の回復を促すことができます。
毎日6〜8時間の睡眠を確保し、就寝前のスマートフォン使用やカフェイン摂取を控えるとより効果的です。
また、寝る前にリラックスできる環境を整えることで深い眠りにつきやすくなり、体の修復力も高まります。
十分な休息をとることが、結果的に歯茎の健康を守ることにつながります。
栄養バランスを意識した食生活
歯茎の健康を維持するためには、栄養バランスのとれた食生活が重要です。
糖分の多い飲食物を摂りすぎると虫歯菌が活発になり、歯茎の腫れを悪化させる原因になります。
一方で、ビタミンCやカルシウム、タンパク質などを含む食品は、歯茎や骨の再生を助ける栄養素です。
野菜・果物・魚介類などをバランスよく取り入れ、間食を減らすことで口腔内の環境を清潔に保てます。
水分をしっかり摂ることで唾液の分泌が促され、細菌の繁殖を抑える効果も期待できます。
毎日の食事を見直すことが、歯茎の炎症を予防し健康的な口元を維持する大切な習慣となります。
定期メンテナンスの重要性
自宅でのケアだけでは、歯石や歯周ポケットの汚れを完全に取り除くことはできません。
そのため、定期的に歯科医院で専門的なクリーニングを受けることが大切です。
歯科医や歯科衛生士によるチェックで、初期の炎症や虫歯の兆候を早期に発見することができます。
正しいブラッシング方法や歯間ケアのアドバイスを受けることで、日常のケア精度も高まります。
さらに、定期的な受診は口臭の予防や歯の着色改善にもつながり、口元全体の清潔感を保つ効果があります。
痛みや腫れが出てからではなく、問題が起きる前に通院する習慣が、健康な歯茎を長く保つ秘訣です。
虫歯で歯茎が腫れる理由は菌の感染による炎症
虫歯が原因で歯茎が腫れるのは、虫歯によって歯に穴が開き、そこから細菌が侵入しやすくなるためです。
細菌の感染によって歯茎に炎症が発生すると、腫れが生じます。
放置すると細菌は増殖し、炎症はさらに悪化して歯周病を引き起こすリスクも高まるため、早急に歯医者に頼ってください。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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