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虫歯じゃないのに奥歯が痛い!11の原因と対処法を解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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虫歯じゃないのに奥歯が痛い!11の原因と対処法を解説

虫歯は、酸によってエナメル質や象牙質が溶かされることが原因で引き起こされます。
しかし、虫歯はないはずなのに歯がズキズキ、キーンなどと痛んだことはありませんか。実はその歯の痛みは、歯が原因の場合や歯以外のことが原因の場合があります。

 

本記事では、虫歯でもないのに奥歯が痛くなったときの原因と、おすすめ対処法を詳しく解説していきます。
原因不明の歯の痛みに悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。

 

虫歯じゃないのに奥歯が痛い原因

虫歯じゃないのに奥歯が痛いときには、さまざま原因が考えられます。

  • 歯周病
  • 歯髄炎
  • 象牙質知覚過敏
  • 親知らず
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 神経痛
  • ストレス
  • 筋肉の痛み
  • 頭痛
  • 上顎洞に炎症がある
  • 心臓病によって起こる歯の痛み

順番に原因を紹介していきます。

歯周病

歯周病が原因で奥歯が痛いときがあります。
歯周病は、細菌の感染によって歯ぐきが赤く腫れたり、歯が抜けてしまう病気です。口の中には400〜700種類くらいの細菌がいますが、特に歯には影響がありません。しかし、歯磨きが十分ではなく、甘いものを食べ過ぎている場合は、歯と歯ぐきの間に細菌が増殖し歯ぐきに炎症が起きるときがあります。

 

初期は痛みがありませんが、歯肉炎によって深くなった歯周ポケットの中で、細菌が繁殖することで、徐々に膿が出て歯がグラグラするようになり、痛みが出る頃には抜歯しか選択肢がないことが多いです。

 

関連記事:虫歯と歯周病の違いとは?予防方法も紹介

歯髄炎

歯髄炎とは、歯の中にある神経や血管の通っている歯髄と呼ばれる組織が炎症を起こす病気です。歯髄炎には、「可逆性歯髄炎」と「不可逆性歯髄炎」があります。
可逆性歯髄炎とは、歯髄を除去しなくてもまだ回復する余地のある状態のことです。炎症によって歯髄内の毛細血管が拡張して、冷たいものがしみるくらいで、何もしなければ痛みを感じることは少ない状態です。

 

不可逆性歯髄炎は、虫歯を放置することで細菌自体が歯の内部にある神経まで到達し、痛みがはっきりと現れて、何もしていなくても痛みを感じます。歯髄を取り除かないと治らない状態です。

象牙質知覚過敏

むし歯や歯の神経の炎症がないにもかかわらず、冷たい食べ物や飲み物、甘いものを口にしたときや、歯ブラシの毛先が当たるときに歯がしみたり痛みを感じたりする状態です。

 

歯は硬いエナメル質で覆われており、その中にはやわらかい象牙質が歯の神経を囲むように存在しています。この象牙質には刺激を感じ取って神経に伝える構造があり、露出すると歯磨きや食事による刺激が強く伝わるようになって、歯がしみたり痛みを感じたりします。

親知らず

親知らずは、奥歯の最も後ろに位置する歯です。
親知らずが斜めや横を向いて生えていると、隣の歯や、歯ぐきを圧迫して奥歯が痛いと感じる場合があります。

歯ぎしりや食いしばり

就寝時の無意識な歯ぎしりや食いしばりで、奥歯が痛くなることがあります。
無意識に行っていることが多いため、熟睡できないという悪影響があります。自分でやめることは難しいため、マウスピースを使用した歯を守る治療をおこないます。

神経痛

瞬間的に刺されたような激痛が起こる「発作性神経痛」と、じりじりと焼けつくような痛みが、24時間絶え間なく続く「持続性神経痛」に分けられます。

 

「発作性神経痛」は、上顎の犬歯や下顎の奥歯付近に痛みを感じることが多く、瞬間的に電気が走り抜けるような痛みを感じます。「持続性神経痛」は、神経節と呼ばれる部位に潜伏していた帯状疱疹ウィルスの感染症です。ウィルスの進行に伴い、激しい歯の痛みが生じます。

ストレス

虫歯でもなく炎症も起こしていないのに、歯の痛みを感じる場合は「非歯原性歯痛」と呼ばれています。非歯原性歯痛には多くの原因がありますが、不安、気分の落ち込み、ストレスから歯の痛みを引き起こす場合があります。

 

日常的にストレスを感じることが多い方、精神疾患の診断を受けている方などは、精神的な原因を疑ってみてもいいかもしれません。

筋肉の痛み

虫歯がない場合でも、奥歯の痛みの原因として筋肉の痛みが考えられます。
特に、顎の筋肉や咀嚼筋が過剰に使用されることで、筋肉が疲労し痛みを感じることがあります。
例えば、強い食いしばりや歯ぎしり、長時間の噛みしめが原因となることが多いです。

 

これらの筋肉の緊張は、筋肉内での血行不良を引き起こし、痛みや張りを感じることがあります。
筋肉痛は、虫歯の痛みとは異なり、時間が経つにつれて痛みの場所が変わることがあります。

頭痛

虫歯ではないのに奥歯が痛む場合、実は頭痛が関連していることがあります。
デスクワークが多いビジネスパーソンは、長時間のパソコン作業や姿勢の乱れによって筋肉が緊張し、こめかみや顎周辺に負荷がかかりやすくなります。

 

その結果、緊張性頭痛が発生し、肩や首の張りから奥歯の周囲に痛みを感じるケースがあるのです。

 

慢性的なストレスや睡眠不足でも症状が強くなることがあり、痛みを歯の異常と勘違いしてしまうことがあります。
日頃から姿勢の見直しや休憩時間の確保を心がけることで、奥歯の痛みが軽減される可能性があります。

上顎洞に炎症がある

虫歯ではないのに上の奥歯がずきずきと痛むときは、鼻の奥にある「上顎洞」と呼ばれる副鼻腔に炎症が起きている場合があります。
上顎洞炎になると、頬や目の下あたりが重く感じられ、上の奥歯の根に近い部分まで痛みが広がることがあります。

 

長時間のデスクワークで姿勢が乱れやすく、慢性的な鼻づまりを抱えやすいため、風邪や花粉症をきっかけに上顎洞炎を起こし、歯の痛みと勘違いしてしまうことがあるのです。
市販薬で様子を見るだけでは長引くことがあるため、鼻や頬の違和感と奥歯の痛みが同時に続くときは、歯科だけでなく耳鼻科にも相談することが大切です。

心臓病によって起こる歯の痛み

虫歯がないのに奥歯が強く痛むときは、心臓病による関連痛の可能性があります。
狭心症や心筋梗塞の前兆として、胸や肩だけでなく下顎から奥歯付近に痛みが放散することがあります。

 

仕事のプレッシャーや長時間勤務によってストレスを抱えやすく、生活習慣病のリスクが高まる傾向です。
そのため、歯科的な問題が見当たらないにもかかわらず奥歯が痛む場合は注意が必要です。

 

運動時や緊張時に痛みが強くなるとき、息苦しさや胸の圧迫感が伴うときは、歯科だけでなく内科や循環器科の受診を早めに検討すると安心です。

 

虫歯じゃないのに歯が痛むそもそもの理由は?

歯が痛いとき最初に疑うのが虫歯ですが、虫歯がない場合でも歯が痛むことはあります。
次の5つの理由について詳しくご紹介していきます。

  • 歯根に膿が溜まっているため
  • 歯肉炎を発症しているため
  • 噛み合わせが悪いため
  • 歯が割れているため
  • 知覚過敏のため

順番に解説していきます。

理由①歯根に膿が溜まっているため

差し歯や被せ物をしてある歯が痛んでいませんか。歯根に膿がたまっている可能性があります。
「噛むと痛みがある」、「なんだか歯が浮いたような感じがする」と感じたときは、注意が必要です。差し歯治療や被せ物をする際には神経を取りますが、歯の神経は、栄養や酸素などを歯に運び、象牙質を健康な状態に保ち、細菌感染の防止をする役割を果たしています。

 

神経の無い歯は免疫細胞が存在しないため、細菌に感染しやすくなります。
その結果、歯根に膿がたまり痛みを感じているケースが多いです。

理由②歯肉炎を発症しているため

歯と歯ぐきの間に食べかすが溜まり、細菌が繁殖して歯肉炎を起こし、歯ぐきが痛むことがあります。その歯ぐきの痛みを、歯が痛いと錯覚してしまう場合があります。

 

歯肉炎を発症しているため、歯ぐきが痛んでいる場合がほとんどです。ほっておくと歯周病へと進行してしまうため、注意が必要です。

 

関連記事:歯肉炎と歯周病の違いは?症状や原因、進行レベルについても紹介!

理由③噛み合わせが悪いため

歯の噛み合わせが悪いため、痛みを感じてしまうケースがあります。
虫歯治療で差し歯治療や被せ物をして、完治したにもかかわらず、かみ合わせが悪く徐々に歯の痛みを感じてしまうケースが多いです。

 

長い間放置すると、顎関節症(がくかんせつしょう)の発症や歯の神経が死んで炎症が大きくなって、頭痛を引き起こしてしまうなどの、二次被害が発生する恐れがあるため注意が必要です。

理由④歯が割れているため

歯が割れていると、虫歯がなくても歯が痛むときがあります。
神経を取って歯の治療をおこなった歯は、神経がないため強度が落ち、気付かないうちに歯にヒビが入っていたり、割れたりすることがあります。

 

割れたときは、神経がないため痛みを感じませんが、その状態で食事をすると痛くなることがあります。
自分でも歯が割れたことに気付かないケースもあり、歯根まで割れてしまった場合は抜歯が必要となります。

理由⑤知覚過敏のため

知覚過敏のため痛む時があります。
知覚過敏とは、虫歯がないのに冷たい水がしみたり、歯ブラシを当てて磨くと痛みを感じるような場合です。歯肉が下がり象牙質が露出し、歯の根の部分が痛みます。

 

歯の象牙質はエナメル質に比べて柔らかく、内部に向かって象牙細管と呼ばれる細い管が通っています。冷たい水などの刺激で、象牙細管内を満たしている内容液が移動し、内部の歯髄神経を直接刺激することで痛みが生じています。

 

虫歯じゃないのに奥歯が痛いときにおすすめの対処法

虫歯じゃないのに奥歯が痛いときにおすすめの、3つの対処法を解説します。

  • 歯をきれいにする
  • 痛む部分を冷やす
  • ツボを押す
  • 市販の痛み止めを服用する
  • 歯科医院へ行く

順番に対処法を紹介していきます。

歯をきれいにする

虫歯が痛いのではなく、歯肉に食べ物が押し込まれ痛むことがあります。

 

歯の中の詰まりものではなく、歯と歯の間に挟まった食べ物を、糸ようじなどを利用して取ってあげましょう。頻繁に口をゆすぐだけでも効果があります。

痛む部分を冷やす

奥歯が痛いときには、痛む部分を冷やてみましょう。
歯に炎症が起きているとき、炎症部を冷やすことで痛みが和らぐことがあります。
口の中から氷等で冷やす方法や、外側から氷まくら等を用いて冷やす方法があります。

ツボを押す

虫歯じゃないのに奥歯が痛いときは、ツボ押しによって一時的に痛みが和らぐ場合があります。

歯の痛みには、手の甲にある「合谷(ごうこく)」や耳の前にある「下関(げかん)」というツボが関係しており、適度な刺激を与えることで血流が整い、緊張している筋肉がゆるみやすくなります。

 

仕事中や移動中にも押しやすいため、急に奥歯がうずいたときのセルフケアとして取り入れやすい方法です。

ただしツボ押しはあくまで一時的な対処にすぎず、痛みが続く場合は原因を取り除くためにも早めに歯科医院で診察を受けることが重要です。

市販の痛み止めを服用する

すぐに歯科医院へ行けない場合は、市販の痛み止めを一時的な対処法として服用する方法があります。

ドラッグストアで購入できる解熱鎮痛薬は、炎症による痛みやズキズキした症状を和らげる働きが期待できますが、用法・用量を守り、飲み過ぎないことが大切です。

 

持病がある方や妊娠中・授乳中の方は、服用前に薬剤師や医師に相談しましょう。

あくまで症状を一時的に軽くするための手段であり、原因を根本から治すためには早めに歯科医院を受診することが重要です。

歯科医院へ行く

奥歯に限った話ではありませんが、歯が痛くなった場合には、まず歯科医院へ行って相談しましょう。
虫歯や歯周病の場合はすぐに治療してもらえますし、そのほかの要因が考えられる場合でも、医師による適切なアドバイスが受けられることがあります。

 

関連記事:歯医者の選び方とコツとは?注意すべきポイントもチェック

奥歯が痛いときのNG行動

奥歯が痛むときは、入浴・飲酒・喫煙などの血行が良くなる行動を控えましょう。また、甘いジュースや食べ物、炭酸飲料、激しい運動なども悪化の原因になります。

 

できるだけ刺激を避け、早めに歯科医院を受診することが大切です。

 

夜に奥歯の痛みが強くなる原因

場合によっては、夜に奥歯の痛みが強くなることがあります。
ここでは、夜に奥歯の痛みが強くなる原因を4つ紹介します。

 

横になると頭部の血流量が増加する

夜になると奥歯の痛みが強くなると感じる場合、横になったときに頭部の血流量が増え、炎症を起こしている部分の圧が高まることが原因の一つとして考えられます。
立っているときよりも血液が集まりやすく、昼間は気にならなかった痛みが寝る前に強くなることがあります。

 

特に長時間のデスクワークや残業が多い方は疲れがたまりやすく、自律神経が乱れて痛みに敏感になる場合があるのです。
夜間の強い痛みが続くときは、市販薬だけで様子を見ず、早めに歯科医院で原因を確認してもらうことが大切です。

副交感神経が活発化する

夜になると奥歯の痛みが強くなる背景には、副交感神経が活発になることも関係しているといわれています。
副交感神経が優位になると血管が広がり、炎症を起こしている部分に血液が集まりやすくなり、痛みを強く感じることがあるのです。

 

また、日中は仕事や予定で気が張っていて気付きにくかった違和感が、リラックスした就寝前になると一気に意識に上ってくる場合もあります。
日中のストレスと夜間の副交感神経の切り替えによって痛みを自覚しやすくなることがあるため、我慢せず早めの受診を心がけることが大切です。

入浴などによって血行が促進される

入浴によって全身の血行が促進されると、炎症を起こしている奥歯まわりにも血液が集まりやすくなり、ズキズキとした痛みを強く感じることがあります。
帰宅後にようやく緊張がゆるみ、痛みに意識が向きやすくなります。

 

熱めのお湯に長くつかうと痛みが悪化しやすくなるため、奥歯が気になるときはぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけ、痛みが続く場合は早めに歯科医院へ相談することが大切です。

 

歯ぎしりや食いしばりによって症状が悪化する

就寝時の歯ぎしりや食いしばりが影響している場合もあります。
眠っている間は無意識のうちに強い力で歯を噛みしめてしまい、歯の根や歯ぐき、顎の関節に負担がかかることで、炎症やだるさが悪化して痛みとして現れます。

 

日中はそれほど気にならなかった違和感が、夜に集中して強く出ると「虫歯じゃないのに歯が痛い」「特に奥歯だけがうずく」と感じる方もいるのです。
朝起きたときに顎の疲れや歯の欠け、頬の筋肉のこわばりを感じる場合は、歯ぎしりや食いしばりが疑われるため、早めに歯科医院で相談することが大切です。

虫歯じゃないのに奥歯が痛いと感じたら

奥歯の痛みは虫歯でなくてもさまざまな原因が考えられます。
「今日は何かおかしい」と違和感や痛みがある場合は、なるべく早めにかかりつけの歯科医院で受診しましょう。

 

世航会デンタルオフィスでは、虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、幅広い歯科治療を提供しています。受診の際はカウンセリングもしっかりと実施しているため、歯のことでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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