虫歯はうつる?虫歯がうつる条件と予防策を解説

「虫歯はうつる?」
「口腔内の菌が人から人へ移動するタイミングとは?」
「そもそも虫歯にならないためにはどうすればいい?」
ビジネスマンであれば見た目の清潔さは非常に重要。
くわえて、歯は健康寿命を支えているともいわれており、自己投資としてはコスパが高いともいえるでしょう。
そこで本記事では、虫歯や口腔内の菌の感染について、詳しく解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
むし歯ができやすい場所
むし歯は、歯のどこにできてもおかしくありませんが、できやすい場所があります。 以下で挙げる3箇所は、特に虫歯ができやすい場所です。
歯と歯の間
歯と歯の間は、食べかすやプラークが溜まりやすく、歯ブラシの毛先が届きにくいことから虫歯の発生リスクが高い部分です。 特に、唾液の洗浄作用が行き届きにくいため、虫歯菌が酸を作り出しやすい環境になります。
また、虫歯菌が唾液を介してうつる場合も、歯間部の清掃が不十分だと菌が定着しやすくなります。
奥歯の面の部分
奥歯の噛み合わせ部分は、複雑な溝やくぼみが多く、食べかすやプラークが溜まりやすい箇所です。 歯ブラシの毛先が届きにくく、虫歯菌が酸を作り出しやすい環境が整ってしまいます。
その結果、唾液や食器を介してうつった虫歯菌が増殖しやすくなってしまいやすい箇所です。
歯と歯茎の境目
歯と歯茎の境目は、プラークが溜まりやすく、歯ブラシの毛先が届きにくい部分です。 特にこの部分は歯茎に近いため、自然な洗浄作用が期待しにくい点もリスクを高めます。
さらに、唾液や食器を介してうつった虫歯菌がこの部位に付着すると、短期間で虫歯が進行することもあります。
口腔内で虫歯が発生するまでのメカニズム
虫歯の原因は、ストレプトコッカス・ミュータンスなどの菌です。 別名として、ミュータンス菌や虫歯菌とも呼ばれています。
ここでは、ミュータンス菌が虫歯を引き起こすメカニズムについて解説していきます。
糖が栄養分となり菌が増殖する
口腔内に生息するミュータンス菌は、ショ糖由来のグルカンを産生し付着・バイオフィルム形成を助長します。 糖分が多い食事を頻繁に摂ると、ミュータンス菌が活発になり、虫歯のリスクが高まります。
さらに、ミュータンス菌は歯の表面(エナメル質)に強力な粘着性を持つグルカンという物質を作り出します。 このグルカンによって菌が歯にしっかりと付着しやすくなってしまうのです。
こうして形成された菌の集合体は、唾液の自浄作用では落としにくくなり、歯磨きが不十分だと虫歯菌が繁殖しやすい環境が整います。
歯の表面にプラークが形成される
細菌が集まって形成される集合体は、時間の経過とともに徐々に大きくなり、やがて数を増していきます。 こうして菌が増殖してできるのが、歯の表面(エナメル質)に付着する白い汚れ、いわゆるプラークです。
プラークは細菌が生きやすい環境をつくり出し、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目など、歯ブラシの毛先が届きにくい場所で特に増えやすくなります。 適切なブラッシングを行えば除去できますが、磨き残しがあるとプラークは日ごとに厚みを増し、虫歯菌が定着しやすい状態になります。
その結果、口腔内の衛生環境が悪化し、虫歯のリスクも高まってしまうのです。
プラークの中で菌が酸を作り出す
ミュータンス菌は歯の表面に付着すると、糖分を分解して乳酸と呼ばれる酸を放出します。 この酸によってプラーク内部は酸性環境に変化し、接している歯の表面(エナメル質)が少しずつ溶けていく「脱灰」という現象が起こります。
エナメル質は、リン酸カルシウムを主成分とするハイドロキシアパタイトという硬い物質で構成されていますが、酸には弱い性質を持っています。 そのため、ミュータンス菌が放出する乳酸の影響を受け続けると、エナメル質が徐々に溶け出し、虫歯の発生リスクを大きく高めてしまうのです。
歯の表面が溶けて虫歯が発生する
ミュータンス菌が放出する乳酸によってエナメル質が溶け続けると、最終的には歯の表面に小さな穴が開いてしまいます。 エナメル質は一度溶け始めると自然に修復されることはなく、歯科医院での治療を受けない限り進行し続けます。 この状態こそが、虫歯と呼ばれるものです。
虫歯がエナメル質の範囲にとどまっている段階では痛みを感じにくく、自覚しにくいことが多いですが、放置すると徐々に象牙質まで進行していきます。象牙質にまで達すると、冷たい飲み物や甘いものを口にしたときに鋭い痛みを感じるようになります。
虫歯はうつる?

虫歯は、ミュータンス菌という細菌によって引き起こされる病態です。
この菌は唾液中に生息しており、うつる可能性があります。
虫歯のある人の口内から放出された菌が、他者の口内に移り、適した環境で増殖することで虫歯を発生させることがあるのです。
ただし、通常大人の口腔内にはミュータンス菌は存在しているので、風邪のようにキスなどですぐさま虫歯になるというわけではありません。
とはいえ、良好な口内環境を保つことが、虫歯の予防には重要となります。
関連記事:虫歯の初期症状と症状が現れたときの適切な対処法について
口腔内の細菌叢
口腔内は多様な細菌で構成される微生物群集、すなわち細菌叢の生息地です。
ミュータンス菌などの虫歯の原因となる菌だけでなく、善玉菌と呼ばれる健康を保つのに役立つ菌も共存しています。
これらの善玉菌は、口腔環境のバランスを整えたり、悪玉菌の増殖を抑えるのに重要な役割を担っています。
バランスの良い食生活と適切なオーラルケアによって、健康な細菌叢を保つことが大切です。
関連記事:虫歯になりにくい食べ物や飲み物とは?予防方法も紹介
虫歯がうつるタイミング
次に、虫歯がうつる原因、口腔内の菌が人から人へ移動するタイミングを解説していきます。
基本的には、以下の3つがほとんどです。
- キス
- 食器類の共有
- 飛沫
それぞれ見ていきましょう。
キス
キスは感情表現のひとつですが、同時に唾液の交換も行われてしまいます。
この行為を通して、口腔内に生息する細菌が人から人へと移動する機会が生まれるわけです。
とくに、フレンチキスのような深いキスでは、豊富な細菌が含まれる唾液がより多く交換されるため、細菌の移動が顕著になります。
キスをする際には口腔衛生をしっかりと保つことが、お互いの健康を守る重要なポイントになるでしょう。
食器類の共有
食事の際に使用する食器やカトラリーの共有は、一見無害に思える行為ですが、口腔内の菌を他人と交換する一因となります。
スプーンやフォークなどを共用することで、使った人の唾液に含まれる細菌が次に使う人にうつります。
これにより、虫歯の原因菌が伝播するリスクがあるので、個々人でそれぞれの食器を使用しましょう。
安全な食事を心がけ、口腔衛生に留意して健康を守ってください。
飛沫
飛沫感染は、咳やくしゃみ、または話す際に発生する小さな水滴を介して、口腔内の細菌が他人に伝播する経路です。
これらの飛沫は、とくに近距離での対面コミュニケーション中に周囲の空気中に放出されるため、細菌が人から人へと移動しやすくなります。
公共の場では飛沫の拡散を抑えるためにマスクの着用や咳エチケットが非常に重要で、これにより口腔内由来の細菌の広がりを制限できます。
関連記事:【習慣・食生活別】虫歯の予防方法
虫歯がうつりやすい方の特徴
虫歯菌は、キスや飲食時に同じ食器を使うことで唾液と一緒に人から人へ移ることがあります。 ただし、虫歯菌が口の中に入ったからといって、すぐに虫歯になるわけではありません。
ここでは、虫歯がうつりやすく、発症しやすい方の特徴を紹介します。
特徴①口腔内の環境が悪い
口腔内の環境が良い方に比べると、環境が悪い方は虫歯のリスクが高くなります。 「口腔内の環境」とは、歯並びや噛み合わせの状態などを指します。
さらに、唾液の分泌量が少ないことも大きな要因の一つです。 唾液には、初期の虫歯を自然に修復する再石灰化作用や、酸性に傾いた口内を中和する働きがあります。 口腔内が酸性の状態になると、歯が溶けやすくなり、虫歯が進行しやすくなってしまいます。
これらの条件が単独、もしくは複数重なることで、虫歯を発症する可能性が高まります。
特徴②普段のケアをおろそかにしている
日常生活の中でセルフケアが十分にできていないことも、虫歯菌がうつって虫歯を発症させる原因のひとつです。
たとえば、仕事で帰宅が遅くなった日や、飲み会のあとに酔ってしまったとき、「今日はいいか」と歯磨きをサボってしまうことはありませんか? 歯を磨かずに寝てしまうと、口の中では虫歯菌が一晩中活発に活動し、歯を溶かす酸を作り続けます。
普段しっかり歯を磨いている人でも虫歯になることがあるのですから、セルフケアを怠った場合の虫歯のリスクは高くなってしまうでしょう。
特徴③免疫力が低下している
体の免疫力が低下していることに気づかないまま、虫歯を発症してしまうケースは少なくありません。
仕事や家事によるストレス、疲労の蓄積などが原因で免疫力が下がると、体は細菌に感染しやすい状態になります。 その結果、風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのと同じように、虫歯のリスクも高まってしまうのです。
免疫力を維持・向上させるためには、生活習慣を見直し、運動と休養のバランスを取ることが大切です。
虫歯は赤ちゃん・子どもにもうつる?

赤ちゃんや子どもは免疫体系が未熟なため、大人からの細菌感染にとくに注意が必要です。
遅かれ早かれ感染しますが、タイミングは遅い方が良いでしょう。
噛み与え、つまり親が一度口にした食べ物を子どもに与える行為は、虫歯菌を含む多くの細菌を直接移すリスクがあるので避けてください。
また、箸やスプーンなどの食器は個別に使用しましょう。
これによって、口腔内の菌が親から子に移るのを効果的に防ぐことができます。
常に清潔な食器を使用し、愛するお子様の健康を守りましょう。
虫歯にならないために
虫歯はさまざまな原因が複合的に重なり発症しています。
ここからは虫歯を防ぐために、日常生活で実践できる対策をまとめて紹介します。 自分で取り組める予防法はたくさんありますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:歯医者の選び方とコツとは?注意すべきポイントもチェック
糖分の摂りすぎに気をつける
ミュータンス菌のエサとなる糖分は、甘いお菓子やジュースに多く含まれています。 さらに、炭水化物も唾液で分解されて糖に変わるため注意が必要です。
口の中に糖が多い状態が続くと、虫歯菌が活発になり歯を溶かしやすくなります。 間食や甘い飲み物を頻繁に摂る習慣がある方は特に気をつけましょう。
糖分の摂取を控えることで、虫歯のリスクを大きく減らせます。 毎日の食生活を見直し、虫歯菌が増えにくい口腔環境を保つことが大切です。
食習慣を改善する
口腔内は普段は中性に保たれていますが、食事をすると一時的に酸性に傾きます。 本来は唾液の働きによって再び中性に戻りますが、だらだらと食べ続けたり、間食の回数が多かったりすると中性化が追いつかなくなります。 食事の時間と食べない時間にしっかりとメリハリをつけ、口内環境を整えるように心がけましょう。
食後の歯磨き習慣を身につける
食後はできるだけ早く歯を磨くことが大切です。 食後の口内には食べかすが残りやすく、ミュータンス菌が繁殖しやすい環境になります。
特に糖分を多く含む飲食物の後は、虫歯リスクが高まるため注意しましょう。 ただし、柑橘類や梅干しなど酸の強いものを食べた後は、歯の表面が一時的に弱くなっているため、30分ほど時間を置いてから歯磨きを行うことが望ましいです。
糖分の多いものはすぐに、酸の強いものは少し時間を置いて磨くことで、健康な口腔環境を保つことができます。
定期的に歯科医院で検診を受ける
虫歯を効果的に予防するためには、歯科医院での定期的な受診が欠かせません。 歯科医師や歯科衛生士による検査で、口腔内の現状を正確に把握し、専門的なクリーニングによって歯の汚れや歯石を除去できます。 これにより、虫歯や歯周病などの早期発見・改善が可能になります。
さらに、歯磨きの仕方やケア方法の指導も受けられるため、日常のセルフケアの質を高めることにもつながります。 口の中に異常を感じていなくても、定期的に歯科医院を訪れ、予防意識を高めましょう。
虫歯はうつるかどうかについてよくある質問
虫歯はうつるのも、うつしてしまうのも不安がつきまといます。 ここからはよくある代表的な質問を紹介します。
「自分の虫歯をうつしてないか心配です」
虫歯菌がうつるには、ある程度の接触と時間が必要で、相手の口腔環境にも影響されます。 お互いに日頃からしっかり歯を磨き、定期的に歯科検診を受けていれば、過度に心配する必要はありません。
もし不安がある場合は、2人で一緒に歯科検診を受けて、口腔ケアの習慣を見直してみるのもおすすめです。
「一緒に歯磨きしているんですが、歯ブラシの共有ってダメですか?」
歯ブラシの共有は避けましょう。 歯ブラシには目に見えない細菌が多く付着しており、使い回すことで相手の菌を直接口に取り込むことになります。 どんなに親しい関係でも、歯ブラシは必ず個別に使用することが大切です。
また、衛生的に保つために、歯ブラシはおおよそ1ヶ月を目安に新しいものへ交換するようにしましょう。
「相手の口臭や虫歯が気になるけど、どう言えばいいですか?」
とてもデリケートな話題なので、相手を責めるような言い方は避けましょう。 「一緒に歯医者に行かない?」「最近、自分も歯のことが気になっていて」など、自分のこととして自然に話を切り出すのがおすすめです。 お互いの健康を思いやる気持ちを伝えることで、前向きに受け取ってもらいやすくなります。
虫歯はうつる可能性もある
虫歯は、虫歯菌と呼ばれるミュータンス菌を介して感染する可能性があります。
親密なスキンシップや食器の共有などを通じて、これらの菌は人から人へと移ることがあります。
とくに家族間での移動が一般的なため、個人の口腔ケアはもちろん、他者との直接的な接触を通じての細菌のやり取りにも気をつけましょう。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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