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歯が痛いときの応急処置方法とやってはいけない行動について
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歯が痛いときの応急処置方法とやってはいけない行動について

歯痛に悩んでいる方に向けて、歯が痛いときの応急処置方法についてご紹介します。

 

歯が痛いと夜も眠れないこともあり非常につらいもの。しかし歯科医院の予約が取れない、病院に行く時間がない、というときもあるでしょう。すぐに治療が受けられないときは、ご自身で痛みに対処するしかありません。

 

そこで歯が痛いときの応急処置方法や、やってはいけない行動、虫歯かどうかのセルフチェック方法などをご紹介します。参考にしていただければ、歯の痛みを軽減できるようになるはずです。

歯が痛むメカニズム

歯が痛むのには主に虫歯が原因の場合と、歯周病やその他のことが原因の場合があります。それぞれについて、なぜ歯が痛むのか、メカニズムを見ていきましょう。

 

関連記事:歯が痛い原因として考えられる16の理由と痛みへの対処法について

ケース1:虫歯の場合

虫歯の場合は交感神経の働きが低下することと、歯の神経が死んでしまうことから痛みが生じます。そのため夜に痛みが強くなることが多いでしょう。

 

自律神経は1日の中で変動しており、夜眠るころになると交感神経の働きが低下し、副交感神経が優位になります。交感神経には血圧を上昇させる作用があり、血圧が高い人ほど痛みを感じにくいと言われています[1]。そのため夜になって交感神経の働きが低下すると、虫歯の痛みが感じられやすくなる仕組みです。

 

一方、歯の神経が死んでしまった場合は、夜に限らず日中に痛むことも少なくありません[1]。歯茎の中で膿が生じて、炎症が起きていることにより生じる痛みです。虫歯の場合は主に、2つの理由により歯が痛みます。

 

関連記事:虫歯を自分で確かめる方法は?歯医者を受診すべき理由についても

ケース2:虫歯以外が原因の場合

虫歯がないのに歯が痛むのには、さまざまな原因が考えられます。

【考えられる原因】

  • 歯を強く打った
  • 歯周病により炎症が起きている
  • 歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある
  • 親知らずが生えたことによる痛み

根本的な原因はさまざまですが、炎症か知覚過敏により痛みが生じることがほとんどです。若い方なら親知らずによる痛みも考えられるでしょう。

 

関連記事:虫歯と歯周病の違いとは?予防方法も紹介

歯が痛いときの応急処置

それでは歯が痛いときの応急処置についてご紹介します。

応急処置法1:鎮痛剤を服用する

歯が痛いと感じたときは、まず鎮痛剤を服用してください。鎮痛剤を服用すれば、強い痛みは和らぐはずです。

 

歯科医院から処方されたものでも、市販のものでも構いません。ロキソニン、ボルタレン、バファリン、カロナールなどを服用しましょう。もし虫歯の場所がわかるなら、正露丸を虫歯のところに埋め込むのも効果的です。

 

痛みを和らげるため、まずは鎮痛剤を服用してください。

応急処置法2:患部を冷やす

患部を冷やすと歯の痛みが収まりやすくなります。冷やすと痛みを生じさせている神経が落ち着くことがあるためです。

 

ただし直接氷などを当てると、冷やしすぎてしまいます。タオルに包んだ保冷剤をあてたり、濡れタオルを当てたりするなど、優しく冷やしましょう。

 

関連記事:虫歯で歯が痛いときは冷やしてもよい?効果的な冷やし方とは

応急処置法3:口腔内を清潔に保つ

歯が痛いときの応急処置として、口腔内を清潔に保つこともおすすめです。特に虫歯では、穴が空いた部分に汚れが溜まって痛みが引き起こされることがあります。

 

丁寧にブラッシングをして、塩水でうがいをしてください。塩には生物の水分を抜く作用があり、細菌の細胞に対しても同じ効果が発揮されます[2]。そのため口腔内の細菌数が少なくなるはずです。

 

グラス1杯の水に対して、ティースプーン1/2くらいの塩を入れた水でうがいをしましょう。

応急処置法4:ツボを押す

ツボの中には痛みに効くものがあるため、ツボ押しも痛み軽減に効果が期待できます。以下のツボを押してみてください。

【痛み軽減のツボ】

  • 合谷:手の甲にある、親指と人差指の骨が接続される部分
  • 歯痛点:手のひら側にある、中指と薬指の間にある指の付け根部分
  • 頬車:歯を食いしばったときに動く、耳の付け根あたりの部分
  • 湧泉:足の指を内側に曲げたときに凹む、土踏まずより上の部分

ご紹介したツボをゆっくりと優しく、円を描くように押してみてください。痛みが軽減されるかもしれません。

歯が痛いときにやってはいけないこと

歯が痛いときの応急処置についてご紹介しましたが、反対に「やってはいけないこと」もあります。歯が痛むときに避けたいことについても見ていきましょう。

1.飲酒する

歯が痛いと感じたら、基本的に飲酒はしてはなりません。お酒を飲むと、一時的に痛みが軽減されることがあるでしょう。お酒を飲むと神経が麻痺するため、痛みを忘れられることがあるためです。

 

しかしアルコールには血流を促す作用があり、後に痛みが増幅する可能性があります。歯が痛いと感じたら、飲酒は控えましょう。

2.激しい運動を行う

激しい運動も歯が痛いときは避けましょう。アルコールと同じく血流を促す行動です。激しい運動を行うと血流が良くなります。痛みが強くなる可能性があるため、ウォーキング程度の軽い運動にとどめてください。

3.むやみに患部を触る

患部を触るのも避けたい行動のひとつです。歯が痛いと応急処置をする前に、気になって触りたくなるかもしれません。しかし患部に刺激を与えると、痛みが強くなります。ブラッシングをするときも、刺激にならないように優しく行いましょう。

4.温める

歯が痛いときは、「温まる」ことにより痛みが強くなります。患部を直接温めるのも良くありませんが、サウナや入浴など、全身を温めることも避けるべきことです。入浴はシャワーだけにし、身体を温めすぎないようにしてください。

5.タバコを吸う

歯が痛いときはタバコを吸うのも避けたほうがよいでしょう。喫煙は血管を収縮させて血流を悪化させるため、炎症が長引きやすくなります。

 

また、タバコに含まれる有害物質は歯茎や粘膜の修復を妨げ、痛みを悪化させる可能性もあります。さらにニコチンによって免疫力が低下し、細菌が繁殖しやすくなるため、症状が重くなることがあります。

 

歯の痛みを感じたら、禁煙を意識することが回復を早める第一歩です

6.横になる

歯が痛いときは、できるだけ横にならないようにしましょう。横になると頭の位置が心臓より低くなり、血流が患部に集まりやすくなります。その結果、歯や歯茎の炎症部分の血圧が高まり、ズキズキとした痛みが強くなることがあるのです。

 

もし眠るときは枕を少し高くして、上半身を起こした状態を保つと痛みが和らぎやすくなる可能性があります。歯が痛むときは安静にしつつ、無理に横にならないよう注意しましょう。

歯の痛みで考えられる原因は?

突然歯が痛み出すと、原因がわからず不安になってしまうこともあるでしょう。実は、歯の痛みには以下のようにさまざまな原因が考えられます。

  • 虫歯
  • 歯肉炎
  • 歯周病
  • 知覚過敏
  • 親知らず
  • 歯根膜炎
  • 噛み合わせのトラブル

原因は上記のものとは限らないため、歯科医院などに足を運び診察を受けたほうがよいでしょう。

虫歯

歯が痛い場合には虫歯が疑われます。虫歯は、細菌が作り出す酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされ、内部にある神経へ刺激が伝わることで痛みを感じます。初期の段階では軽くしみる程度ですが、進行するとズキズキとした強い痛みに変わってしまいます。

 

また、放置すると炎症が広がり、夜眠れないほどの痛みに悪化してしまうことも多いです。歯が痛み始めたら、早めに歯科クリニックを受診しましょう。

歯肉炎

歯肉炎は歯ぐきに炎症が起きた状態のことです。痛みは少ないことが多いが、出血や腫れ、圧痛が出ることがあります。歯垢や歯石が原因となることが多く、冷たい物でキーンとしみる虫歯の痛みとは性質が異なります。

 

歯が痛い場合の応急処置としては、やさしいブラッシングとフロスで清潔を保ち、強いうがいを避けつつ早めに歯科クリニックで診察を受けるとよいでしょう。

歯周病

歯周病は、歯を支える骨や歯茎に炎症が起こる病気を指します。進行すると歯がぐらついたり、噛んだときに痛みを感じたりすることがあります。

 

初期段階では歯茎の腫れや出血程度でも、悪化すると膿が溜まり、ズキズキとした強い痛みに発展します。歯が痛い応急処置としては、無理に噛まずに患部を清潔に保ち、冷やして炎症を抑えるのが効果的です。

 

放置すると歯を失う可能性もあるため、早めに歯科医院で治療を受けましょう。

知覚過敏

知覚過敏は、歯の表面のエナメル質がすり減ったり歯茎が下がったりして、象牙質が露出したときに起こります。冷たい物や甘い物、歯磨きの刺激でキーンとしみやすく、ズキズキした持続痛は少ない傾向があります。

 

知覚過敏によって歯が痛い場合の応急処置としては、強い力で磨かずやさしくブラッシングし、知覚過敏用歯磨き剤を使いましょう。症状が続く場合は、歯科でフッ素塗布やコーティングなどの処置を受けてください。

親知らず

親知らずの生え方によっては、歯茎や隣の歯に圧力がかかり、炎症や痛みを引き起こすことがあります。まっすぐ生えていない場合や一部だけ歯茎に埋まっている場合、細菌が入り込みやすく腫れやズキズキとした痛みが出やすくなります。

 

痛みが出る場合には、患部を冷やして炎症を抑え、清潔を保つことが大切です。強い痛みや腫れがある場合は、早めに歯科医院で診察を受けましょう。

歯根膜炎

歯根膜炎は、歯の根の周囲にある膜(歯根膜)が炎症を起こした状態です。虫歯の進行や歯を強く噛みしめる癖、外傷などが原因となり、歯を噛んだときにズキッと響くような痛みが生じます。

 

放置すると炎症が広がり、歯茎の腫れや膿が溜まることもあります。痛みが出る場合には無理に噛まず安静を保ち、患部を冷やすことで炎症を抑えましょう。

 

症状が強い場合は、早めに歯科医院で治療を受けてください。

噛み合わせのトラブル

嚙み合わせのトラブルによっても痛みが出る場合があります。具体的には、噛み合わせのズレや歯ぎしり・食いしばりにより、特定の歯に過剰な力がかかると歯根膜や歯茎、顎の筋肉に負担が生じ、噛んだときのズキッとした痛みや朝の鈍痛として現れる場合があるのです。

 

硬い食べ物を避け、反対側でそっと噛み、就寝時は歯ぎしりを悪化させる体勢を避けて休みましょう。痛みが続く場合は、歯科で噛み合わせ調整やマウスピースを相談してください。

虫歯かどうかのセルフチェックの方法

応急処置が必要なほど歯が痛いとき、「虫歯なのか?」と原因について不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。虫歯による痛みなのかどうか、セルフチェックするための方法をご紹介します。

セルフチェック方法1:痛みの有無の確認

まずは痛みの有無を確認しましょう。眠ろうとしているときや、食べ物を咀嚼したときに歯が痛いと感じられているなら、虫歯かもしれません。

セルフチェック方法2:変色の有無

次にチェックしたいのは歯の変色の有無です。歯が痛むとしても、虫歯以外の可能性もあります。しかし歯が黒く変色しているなら虫歯の可能性が高いと考えられます。

 

変色があるかどうかは、鏡でのチェックにてご自身で判断できます。痛みを感じるところを見て、黒く変色しているようなら虫歯の可能性が高いでしょう。

 

関連記事:歯の表面の黒い点はなに?考えられる原因を紹介

セルフチェック方法3:穴が開いているか・形状の変化があるかどうか

歯に穴が開いているかどうかも、虫歯をチェックする方法のひとつです。歯に穴が開いていたり形が変わっていたりするなら、虫歯が進行しているのかもしれません。

 

変色の有無を確認する際に、歯に穴が開いているか、形状が変化しているかも同時にチェックしてください。

セルフチェック方法4:熱いもの・冷たいものがしみるかどうか

最後に熱いものや冷たいものを食べたとき、歯がしみるかどうかを確認してください。虫歯ができている場合、熱いもの・冷たいもの・甘いものなどを食べたときに歯がしみることがあります。

 

歯がしみる場合は虫歯ではなく知覚過敏の可能性もありますが、いずれにしても歯科医院で歯のチェックをしましょう。

途中で歯の痛みが治まったらどうするべきか

歯の痛みが一時的に治まったとしても、自己判断で放置するのは危険です。痛みが引いたのは、神経が弱って一時的に反応しなくなっているだけの可能性があります。

 

虫歯や炎症が進行している場合もあるため、応急処置などで痛みが落ち着いた後でも、必ず歯科医院で原因を確認しましょう。

歯が痛いときの応急処置は適切に

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、歯が痛いときの応急処置方法がご理解いただけたと思います。歯が痛いときはまず鎮痛剤を飲んで、患部を冷やしたり丁寧にブラッシングをして清潔を保ったりすることを心がけてください。

 

世航会デンタルオフィスでは虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、歯科治療を幅広くご提供しています。不安なく治療を受けていただけるよう、カウンセリングもしっかりと実施。歯が痛いと感じられている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

[1]参照:JSTAGE:(PDF)急性歯髄炎における歯痛発症の日内変動

[2]参照:レファレンス協同データベース:レファレン事例詳細(Detail of reference example)

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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