黒い前歯は虫歯?前歯が黒くなる原因と対処法

「黒い前歯は虫歯?」「前歯かかる費用ってどれぐらい?」
歯の病気は全身疾患とも密接な関係があるため、異常が見られた際は早期対応が必要です。
そこで本記事では、前歯の虫歯に関する冒頭の疑問について、詳しく解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
黒い前歯は虫歯?

黒っぽい点が歯の表面にある場合、それは初期段階の虫歯の兆候の可能性があります。
虫歯は、酸が歯の表面を侵食し、結果として黒く見えることがあります。
しかし、ほかの要因も黒い点の原因として考えられます。黒い歯石の付着や詰め物の変色、タバコのヤニなどによるものの場合もあります。
歯に黒っぽい点ができている場合、自己判断せずに早めにかかりつけの歯科医院に相談し、詳しい診断を受けることをおすすめします。
前歯にできた虫歯の進行度
ここからは、前歯にできた虫歯の進行度について解説していきます。
一般的には、以下の3つに分けられます。
- 初期症状
- 中程度の症状
- 重度の症状
それぞれ見ていきましょう。
初期症状
初期の虫歯は、黒くなるよりも「白濁」と言われることがあります。
これは、歯の表面にあるエナメル質が溶け始めた状態で、歯科では「脱灰している」と表現されます。
この段階では、虫歯がエナメル質内に留まっているため、痛みはまだありません。
この時点での虫歯は初期症状であり、早期発見とケアが重要です。
日常の口腔ケアや定期的な歯科検診により、この初期段階の虫歯を進行させず予防することが大切です。
歯科医師の診断と適切な処置を受けることで、より深刻な虫歯の進行を予防できます。
中程度の症状
中程度の虫歯では、虫歯はエナメル質の下にある象牙質まで進行します。
象牙質はエナメル質よりも柔らかく、歯の神経が直下にあるため、虫歯が象牙質まで進行すると急速に悪化し、刺激によって痛みが現れることも少なくありません。
この段階では、冷たい飲み物や甘いものなどの刺激に敏感になることがよくあります。
この時点ですでに歯の神経に虫歯の感染が及んでいるため、早めの治療が必要です。
歯科医師は、象牙質を除去し、詰め物や冠を用いて虫歯を修復することがあります。
定期的な歯科検診を受けることで、中程度の虫歯の進行を防ぐことが重要です。
重度の症状
重度の虫歯では、象牙質から歯の内部である歯髄まで虫歯が進行し、強烈な痛みを伴う歯髄炎になります。
この段階では、歯の神経が死んでしまい、根っこの先まで炎症を起こす根尖性歯周炎に進行することも。
根尖性歯周炎では、神経が死んでいるため痛みを感じにくくなりますが、検査で痛みや違和感が生じることがあります。
とくに前歯の場合は見た目の問題もあるため、歯の表面に斑点ができたり、冷たいものがしみる、欠けて隙間ができたりといった症状がある場合は早めの受診がおすすめです。
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前歯に虫歯ができる原因

前歯の虫歯の原因はさまざまですが、歯並びが悪いと歯の重なりや隙間に歯垢がたまりやすくなり、虫歯菌の増殖を促すことがあります。
また、上の前歯は下の前歯と比べて乾燥しやすく、唾液の再石灰化作用が不足するため、虫歯になりやすくなります。
歯磨きや定期的な歯科検診を行うことで、虫歯を予防することが大切です。
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前歯の虫歯の治療にかかる費用
ここからは、前歯の虫歯の治療にかかる費用を見ていきましょう。
基本的には、以下のいずれかになりますが、当然費用は大きく異なります。
- 保険診療
- 自費診療
それぞれ確認してください。
保険診療
前歯の虫歯の治療費は、進行度によって保険適用費用が異なります。
軽度の虫歯の場合は、歯質を削り、コンポジットレジンで充填することで約3,000円程度の費用で済むでしょう。
しかし、神経に達する虫歯では、根管治療後に土台を作り、被せ物を装着する必要があり、総額約20,000円程度の費用がかかります。
とくに根の化膿など治りが悪い場合は、治療期間が長くなるだけでなく、費用も高くなる傾向があります。
自費診療
前歯の虫歯の治療費は、自費の場合も虫歯の進行度で大きく異なります。
小さな装置であるインレーなら40,000~80,000円程度で作れますが、被せ物であるクラウンは材料によって異なり、一般的には10万~20万円程度です。
ただし、自費であれば、オールセラミックの被せ物を選ぶことも可能であり、審美性や機能性、耐久性の高さを考慮すると、値段も高いとは感じなくなるでしょう。
関連記事:虫歯治療にかかる費用はどれくらい?自由診療の場合も解説
前歯にできた黒い虫歯の対処法
次に、前歯にできた虫歯の対処法を解説していきます。
といっても「歯科医院に行くこと」、これにつきます。
ここでは、2つの方法を紹介しますが、あくまで今すぐ取れる応急策に過ぎないことを念頭においてください。
- 歯磨きを徹底する
- 生活習慣を見直す
それぞれ解説していきます。
歯磨きを徹底する
歯に虫歯ができた場合、まずは歯磨きを徹底することが重要です。
虫歯は酸によって歯を溶かすことで発生するため、しっかりと歯垢や食べカスを取り除くことで酸の影響を軽減できます。歯磨きは朝晩の2回、2分程度行い、正しいブラッシング法を守ることが大切です。
また、フッ素入りの歯みがきやフッ素洗口水の使用もおすすめ。
継続的な歯磨きの習慣は虫歯の予防に効果的です。
生活習慣を見直す
前歯にできた虫歯の対処法のひとつは、生活習慣を見直すことです。
虫歯の主な原因は、菓子類や甘い飲み物の過剰摂取や不適切な食事習慣。
そこで、砂糖の摂取を控えたり、食後に歯を磨いたりするなどの対策を取ることが重要です。
また、タバコやお酒の過剰摂取も虫歯の原因となるため、節度を持った生活を心がけることも大切です。
正しい生活習慣を実践することで、虫歯の予防につながります。
虫歯の治療方法

最後に、虫歯の治療方法を解説していきます。
ここでは、以下の2パターンに分けて解説します。
- 保険適用内の場合
- 保険適用外の場合
それぞれ確認してください。
保険適用内の場合
保険診療での前歯の虫歯治療には、一般的にはコンポジットレジンと呼ばれる材料を使用して修復を行います。
コンポジットレジンは歯の色に合わせて作られ、虫歯部分を削り取って詰め物をする方法です。
しかし、虫歯が進行して大きな部分を削る必要がある場合や歯の強度を回復させる必要がある場合、レジン前装冠という方法が選択されることもあります。
この場合、被せる冠の形状や材料によって費用は異なりますが、一般には保険が適用されているため、負担は比較的軽くなる傾向があります。
ただし、詳細な費用については医療機関や治療内容によって異なるので、事前に確認することが重要です。
保険適用外の場合
自費診療での前歯の虫歯治療には、一般的にはダイレクトボンディングと呼ばれる方法やセラミックという材料を使用して修復を行います。
ダイレクトボンディングは、できるだけ自身の歯をなるべく残し虫歯部分を直接詰める方法で、比較的費用は抑えられます。
一方、セラミックは歯に合わせて作られるセラミック製の被せ物のことで、見た目や耐久性に優れていますが費用は高めになります。
自費診療では保険が適用されないため、費用は全額自己負担です。
詳細な費用については医療機関や治療内容によって異なりますので、事前に相談することがおすすめです。
関連記事:歯医者の選び方とコツとは?注意すべきポイントもチェック
前歯の虫歯を治療する際の流れ
ここまで虫歯の治療方法について紹介してみましたが、ここからは具体的な治療を行う流れを紹介します。
ただ、治療方法は状態によって異なるため、あくまで大まかな流れという点は留意してください。
虫歯の進行状態を確認する
前歯の虫歯治療では、まず虫歯の進行度を正確に把握することから始まります。
初期段階か、象牙質・歯髄まで進行しているかによって、必要な処置や治療期間、費用が大きく変わるためです。
診察では視診やレントゲン撮影などを行い、前歯の内部構造まで慎重に確認します。
特に前歯は見た目への影響が大きいため、できるだけ歯を残す方針で治療計画を立てることが一般的です。
進行状態を正しく判断し、最適な治療法を選択することで、機能性と審美性の両面を維持できます。
治療方法を決定する
診察結果をもとにどの治療方法が適しているかを歯科医師と一緒に検討します。
虫歯の進行度や前歯の場所、本数に加え、見た目をどこまできれいにしたいか、どの程度まで費用をかけられるかといった希望も判断材料になります。
エナメル質内にとどまる軽度の前歯虫歯であれば、削る量を抑えたコンポジットレジン修復で対応できる場合が多くなります。
一方で、虫歯が大きく進行している場合や変色が強い場合には、強度と審美性を両立できるクラウンやセラミックなどを提案されることがあります。
自分に合った前歯虫歯の治療方法を選択することが大切です。
虫歯の部分を削る
まず虫歯菌に侵された部分だけをていねいに削り取り、健康な歯質をできるだけ残すことが大切です。
削る際には細い器具やタービンを使い、前歯の形やかみ合わせを考慮しながら少しずつ調整します。
痛みが心配な場合は、事前に麻酔をしてから治療を行うため、多くの方は強い痛みを感じずに前歯虫歯の処置を受けられます。
虫歯の範囲が小さいうちに受診すれば削る量も少なく済み、その後のコンポジットレジンやクラウンによる修復もきれいに仕上がりやすいです。
見た目を保ちながら虫歯を取り除くためには、早期に前歯虫歯を発見し、適切な量だけ削ることが重要です。
削った部分の歯を修復する
削って除去した部分は、そのままにしておくと前歯の形が崩れたり、虫歯になりやすくなったりするため、適切な材料を使って修復します。
軽度の前歯虫歯であれば、コンポジットレジンという樹脂を盛り付けて形を整え、自然な色味に仕上げる方法が一般的です。
また、虫歯が深く広範囲に及ぶ場合は、歯の強度や見た目を考慮し、クラウンなどで修復することがあります。
前歯は笑ったときに目立ちやすいため、機能性に加えて審美性も重視しながら仕上がりを調整します。
適切に修復することで、前歯虫歯によるダメージを抑え、自然な見た目と噛む機能を回復できるでしょう。
前歯の虫歯を予防する方法
虫歯を予防するためには、毎日の習慣と適切なケアが重要です。
最後に虫歯を予防するための方法を紹介します。
セルフケアを怠らない
前歯の虫歯を予防するためには、毎日のセルフケアを丁寧に続けることが重要です。
前歯は飲食物や乾燥の影響を受けやすく、歯垢が残ったままだとすぐに前歯虫歯につながります。
歯ブラシだけでは落としきれない汚れもあるため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、歯と歯の間までしっかり清掃するように意識しましょう。
就寝前は時間をかけて磨き、フッ素入り歯みがきを使うことで歯の再石灰化を助けられます。
また、鏡で前歯の色や表面の変化をこまめにチェックし、少しでも違和感があれば早めに歯科医院を受診することが、重症化を防ぐポイントです。
水分を摂取して唾液量を増やす
前歯の虫歯を予防するには、口の中を乾燥させないことも大切です。
水分をこまめに摂取して唾液量を保つことで、歯の表面についた酸を洗い流し、再石灰化を促す働きが期待できます。
間食や甘い飲み物をよく摂る方は、砂糖入り飲料ではなく水やお茶を選び、少しずつ口に含む意識を持つとよいでしょう。
起床直後や就寝前も一口の水で口をうるおすだけでも、前歯周辺の環境を整える助けになります。
日常的に水分補給を意識することで、前歯虫歯のリスクを減らし、健康な口元を守りやすくなります。
食事中によく噛んで唾液量を増やす
食事の際にしっかり噛むことも、前歯の虫歯を予防するうえで重要です。
よく噛むことで唾液が多く分泌され、歯の表面についた酸や食べカスを洗い流す働きが高まります。
唾液には再石灰化を促す作用があるため、前歯虫歯ができやすい人ほど噛む回数を増やすことが効果的です。
柔らかい食事ばかり続くと噛む回数が減り、口腔環境が悪化しやすくなるため、意識して噛む習慣を身につけることが大切です。
食事中は一口ごとに回数を数えながら噛むなど、簡単な工夫をするだけでも唾液量を増やせるため、前歯の健康維持につながります。
ストレスを軽減して唾液量の減少を防ぐ
ストレスが強い状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、唾液の分泌量が減少しやすくなります。
唾液が少なくなると口の中が乾燥し、前歯の表面に虫歯菌や酸がとどまりやすくなるため、前歯の虫歯のリスクが高まります。
適度な休養や睡眠を確保し、軽い運動や入浴でリラックスする時間をつくることが大切です。
また、緊張した状態が続いていると感じたときは、深呼吸を意識するだけでも唾液の分泌を促しやすくなります。
心身のストレスケアを心がけることが、前歯虫歯の予防にもつながります。
口の中に何も入れない時間帯を作る
前歯の虫歯を予防するには、食事や間食のたびにダラダラと口の中に何かが入っている状態を続けないことも重要です。
飲食をすると口腔内は酸性に傾きますが、一定時間何も口に入れないことで唾液が酸を中和し、前歯の表面を修復しやすくなります。
甘い飲み物を少しずつ長時間飲み続ける習慣や、仕事中についお菓子をつまみ続ける習慣がある方は、1日の中で飲食をしない時間帯を意識的に設けるようにしましょう。
食事と食事の間を空けて口の中を休ませることで、前歯虫歯のリスクを減らし、健やかな口元を守りやすくなります。
前歯の虫歯は歯並びが原因であることが多い
今回は、前歯の虫歯について解説してきました。
前歯の虫歯の原因のひとつとして、歯並びの悪さがあります。
歯の重なりや隙間に歯垢がたまりやすくなり、虫歯菌の増殖を促すからです。
歯科医師の定期的な診察や歯磨きの正しい方法を実践することで、虫歯予防につながります。
世航会デンタルオフィスでは、虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、幅広い歯科治療を提供しています。受診の際はカウンセリングもしっかりと実施しているため、歯のことでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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