歯周病が手遅れの状態になったらどうなるの?

歯周病は、日本人が最も歯を失う原因の病気と言われています。
歯周病が手遅れになると、今の歯を残すことができないのか不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、歯周病が手遅れになると起きる症状や対策、手遅れになった場合の治療法について解説します。
歯周病の進行段階
歯周病は、歯周病菌によって歯肉に炎症が起きる病気です。
歯周病には、歯の周囲にある歯肉に炎症が起きる「歯肉炎」や歯を支える骨にまで腫れが進行した「歯周炎」など病気の進行度に段階があります。
健康状態の歯肉は、薄いピンク色をしており、引き締まって弾力があります。歯肉に炎症が起こり「歯肉炎」になると歯肉が赤くなり、ときには腫れて出血することも。ブラッシング中には血が出るときもあるでしょう。
さらに、炎症や腫れが進行すると「歯周炎」になります。
歯肉が赤紫色になり、腫れや出血が増し、歯と歯の間が広がって歯垢が溜まりやすくなります。
また、歯肉が少なくなり、歯の根元がむき出しになると、見た目も悪くなるでしょう。
歯周病が手遅れになるとどうなる?

歯周病が進行し、手遅れになるとさまざまな症状を引き起こします。
以下にご紹介する症状が見られる場合には、歯周病が進行してしまっている可能性が高いため、すみやかな受診が必要です。
症状①歯がグラついて力が入らなくなる
歯周病が手遅れになると、歯を支える骨が大きく失われ、歯がグラつき始めます。
歯を支える土台である歯槽骨が失われると、歯は十分な力を加えることができず、噛む能力が大幅に低下するでしょう。
特に歯が上下に動く場合は、歯根を支える骨がほとんどなく、歯肉のみが支えとなっている状態となっており、今すぐにでも歯が抜け落ちてしまう可能性があります。
症状②歯並びが悪くなる
歯周病が進行すると歯を支える顎の骨が溶けてしまうため、歯が正しい位置を保てず、噛むたびに歯が動いてしまいます。
歯が傾いたり、歯と歯のすき間が広がったりすることで、全体的な歯並びが悪くなります。
歯並びの悪化は見た目が悪くなるだけではなく、噛み合わせの問題やさらなる顎の骨の減少につながる可能性もあるでしょう。
症状③口臭がきつくなる
重度の歯周病は、歯と歯茎のすき間である「歯周ポケット」が深く、食べかすや歯垢が溜まりやすい状態です。
歯周病菌が歯周ポケットに溜まった食べ物を分解し、悪臭を放つ化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなど)を生成するため、口臭がきつくなります。
感染が進み膿や出血が見られると、さらに口臭は悪化します。
関連記事:歯周病になると口臭が気になるのはなぜ?ケア方法も解説
症状④噛むと痛みが生じる
歯周病の進行によって歯を支える顎の骨が溶けて弱くなると、食べものを噛むときに痛みが生じるようになります。
骨が減少すると歯が不安定になり、噛むときに過度の力がかかることで痛みが生じます。
痛みが生じ始めた頃には歯周病が進行している状態と言えるので、早急な受診が必要です。
症状⑤膿が出る
歯周病が手遅れになると、歯茎から膿が出ることがあります。
深くなった歯周ポケットで歯周病菌が繁殖し、感染が進行するからです。
通常、免疫細胞が歯周病菌に働きかけて体の外へ追い出そうとしますが、歯周病菌の数が多かったり、免疫力が弱くなっていたりすると、対処しきれずに膿となって患部に残り続けます。
重度の歯周病に対する効果的な治療法
重度の歯周病は、適切な治療を受けなければ歯の喪失を引き起こし、生活の質を大きく低下させます。
そのため、初期段階での早期発見と治療が非常に重要です。
治療法は、歯周外科治療や再生療法、歯周補綴といった多岐にわたります。
これらの治療は、歯周組織をできるだけ保存し、患者の口腔機能の回復を目指すものです。
以下で、具体的な治療法について詳しく解説します。
歯磨き指導とプロフェッショナルクリーニングの重要性
歯周病の初期治療には、患者自身による歯磨きと、専門家によるクリーニングが必須となります。
普段の歯磨きでは除去しきれない歯石やプラークを、歯科衛生士がプロフェッショナルな技術で取り除き、歯周ポケットの炎症を軽減します。
この治療を通じて、歯茎の回復を促し、歯周病の進行を食い止めることができます。
加えて、歯科衛生士による専門的なクリーニングは、口腔内の健康を維持するために欠かせない処置です。
また、定期的なクリーニングと合わせて、患者に対する適切な歯磨きの方法を指導することが治療効果を高めます。
歯周外科治療による歯周組織の回復と骨再生
歯周病が進行し、深い歯周ポケットや骨の吸収が見られる場合、歯周外科治療が必要です。
外科的手法により、歯周ポケットを切開して、内部に潜む歯石やプラークを徹底的に除去します。
この治療は、歯周ポケットの改善や歯周組織の炎症を抑えることを目的としていますが、骨の再生には再生療法が追加で必要な場合があります。
治療後は、歯周組織が安定し、回復が見込まれます。
歯周外科治療は、深刻な症状でも改善の見込みがあるため、外科治療を適切に行うことが大切です。
また、適切なアフターケアによって、治療効果を最大化し、歯を長期的に保存できる可能性が高まります。
歯周補綴による噛み合わせの回復と機能改善
歯周病が進行して歯がグラつく場合、歯周補綴による治療が有効です。
補綴物を利用して、噛み合わせを改善し、失われた歯の機能を補うことが可能です。
歯周補綴は、歯の安定性を取り戻し、食事機能や発音改善にもつながります。
歯周補綴は歯周組織の回復を目的とするものではなく、主に咬合改善や機能的な回復を目指す治療です。
補綴物が支えとなることで、患者の自信を取り戻し、健康的な口腔環境を維持することができます。
この治療は、歯周病が進行した場合でも、機能的な回復を図るために重要なステップです。
歯周組織再生療法の最新技術
歯周組織再生療法は、失われた歯周組織や骨を再生させる先進的な治療法です。
特に重度の歯周病によって骨吸収が進んだ場合、再生療法によって歯を支える環境を整えることが可能です。
新しい材料や技術を活用することで、歯周病の進行を抑え、歯を保存できる可能性が高くなります。
治療には、患者の状態に合わせた適切な材料の選定と手順が求められます。
成功すれば、歯周組織の再生が進み、歯を長期間安定して保持することができるため、治療効果は非常に高いです。
骨移植による支援と治療の進展
骨移植は、歯周病によって失われた骨を補うための治療法です。
自家骨や他の骨補填材を使用することで、歯周ポケットを浅くし、歯を支える環境を回復することができます。
骨移植によって再生療法の効果が高まり、歯を支える基盤が強化されるため、長期的な安定が期待できます。
特に骨の吸収が大きい症例では、骨移植が重要な治療法となり、治療後の回復が大いに改善されます。
また、この治療法は他の歯周治療と組み合わせて行うことで、より高い効果が得られます。
抜歯の選択肢とその後のケア
重度の歯周病では、歯を保存することが難しい場合もあります。
抜歯を選択せざるを得ないケースでは、インプラントや入れ歯などの補綴治療を行い、歯の機能を回復させます。
抜歯後のケアが重要で、周囲の歯や歯茎の状態を安定させるために適切な管理が求められます。
適切な補綴治療を受けることで、口腔内の健康を保ち、再発を防ぐことができます。
抜歯後のケアは、補綴物をしっかりと機能させるためにも大切で、全体の治療結果を左右する重要な要素です。
手遅れになる前にできる歯周病対策

歯周病が手遅れになる前に早期発見・治療ができれば、歯周病の進行によって起きるトラブルで悩まされずに済むでしょう。
また日頃からのケアを丁寧に行い、予防に努めることも大切です。
対策①定期的に検診を受ける
歯周病を防ぐためには、歯科医院での定期検診を受けましょう。定期検診では、歯と歯茎の健康状態をチェックし、症状が進行する前の早い段階で歯周病の兆候を発見できます。
また、毎日のブラッシングでは取り除けない歯垢や歯石の除去を行うことで、歯周病の予防にもつながるでしょう。
歯のトラブルがなくても、3~4ヶ月ごとに検診を受けるようにしましょう。
対策②毎日歯を磨く
歯周病の予防には、毎日の歯磨きが不可欠です。
以下のポイントをおさえた歯磨きをすれば、効果的に歯周病を予防できるでしょう。
歯磨きのポイント
- 歯ブラシの毛先を45度になるように当てて歯茎の際まで丁寧に磨く
- 軽い力で小刻みに動かすように磨く
- 歯と歯の間は歯間ブラシやフロスを使う
- 歯周病菌の餌となる食べ物の残りかすを取り除くため、食後に歯磨きをする
- 1ヶ月ごとに歯ブラシを交換して毛先が開いた歯ブラシを使わない
関連記事:歯周病を自力で治す方法とは?悪化させないための方法を解説!
放置した歯周病が招く危険な影響とは
歯周病を放置すると、歯の喪失や口腔機能の低下に繋がりますが、それだけではありません。
進行した歯周病は、細菌が血流に乗って全身に影響を及ぼし、さまざまな病気の原因となることがあります。
特に心疾患や糖尿病、脳卒中など、歯周病が引き起こす全身疾患のリスクが高まるため、早期の治療が重要です。
以下で、歯周病が引き起こす具体的な影響について詳しく解説します。
歯の喪失とそれによる口腔機能の低下
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けて歯がグラつき、最終的には歯が抜けてしまいます。
この状態では噛み合わせも不安定になり、食事がしにくくなります。
また、歯の喪失により、周囲の歯への負担が増え、噛む力が低下していきます。
噛む力が低下すると、顎の骨がさらに萎縮し、食事の際の痛みや不便が生じることもあります。
これが進行すると口腔機能の低下を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。
その結果、栄養の摂取にも影響が出るため、早期に治療を受けることが重要です。
歯周病が引き起こす全身疾患との関連性
歯周病は単に口腔内の問題にとどまらず、炎症反応が全身に影響する可能性があります。
特に、糖尿病患者においては歯周病が血糖コントロールを難しくし、病状を悪化させることがあります。
また、心臓病や高血圧のリスクが高まる可能性も指摘されています。
歯周病を放置すると全身疾患に発展する可能性があるため、定期的な歯科治療を受けることは全身の健康を守るためにも非常に重要です。
手遅れの状態になった歯周病の治療法
歯周病が手遅れとなっており、以下のようなケースでは抜歯せざるを得ない可能性もあるでしょう。
抜歯する可能性が高い歯周病の状態
- 炎症による腫れや膿の改善が見込まれない場合
- 周囲の歯にも悪影響を及ぼす場合
重度の歯周病でも歯を残せると判断された場合には、進行した炎症と歯の根っこに沈着した歯石を除去する治療を行います。
歯ぐきを切開して歯の根元まで露出させ、歯石を直接視認しながら除去する「フラップ手術」などを行い、歯の根元や骨の付近の歯石を確実に取り除きます。
加えて、グラつく歯を固定するための処置や、失われた骨を補うための「歯周組織再生療法」を行うこともあるでしょう。
これらの再生療法では、人工材料や薬剤を使って歯周組織の再生を促し、歯を支える骨を補填します。
関連記事:進行段階によって異なる!歯周病治療の費用の相場を解説
歯周病が手遅れになると、抜歯せざるを得ないケースも

歯周病が手遅れになると、歯がグラついて力が入らなかったり、歯並びが悪くなったりします。
進行した歯周病では抜歯せざるを得ないケースもありますが、歯周病や歯周の状態によっては、歯を残せる可能性もあるため、歯科医院で相談してみると良いでしょう。
歯周病が手遅れになる前に、毎日正しい方法で歯磨きをして、定期的に検診を受けましょう。
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コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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