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虫歯の初期症状と症状が現れたときの適切な対処法について
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虫歯の初期症状と症状が現れたときの適切な対処法について

虫歯や歯の痛みについて悩んでいる方に向けて、虫歯の初期症状や対処法についてご紹介します。

 

歯に痛みを感じたり歯が白っぽくなっていたりなど、「虫歯かな?」と不安になることがあるのではないでしょうか?虫歯の初期症状が現れた場合、適切に対処すればそのまま治ることも少なくありません。

 

そこで虫歯の初期症状の代表例をご紹介した後に、症状への対処法について解説します。参考にしていただければ、初期虫歯への適切な対処法がおわかりいただけるはずです。

歯の構造について

歯は表面から順番に、いくつかの層によって成り立っています。

【歯の構造】

  • エナメル質:歯の表面を覆う、歯の組織の中で最も固く白い部分
  • 象牙質:エナメル質から守られており、エネメル質を支える骨と同様の硬さを持つ部分
  • 歯髄:歯の中心部分にあり、歯の神経とされる部分
  • セメント質:歯茎の中にある柔らかいところで、歯茎に埋もれている歯の表面を覆っている部分

主に以上の4つの構造からなるのが「歯」です。

虫歯ができる仕組み

虫歯ができるのは、「再石灰化」と「脱灰」のバランスが崩れるのが原因です。

 

再石灰化とは歯にカルシウムなど、歯を構成するのに必要な成分が取り込まれることを指します。そして脱灰とは、細菌により歯が溶かされる現象のことです。

 

脱灰と再石灰化のバランスが取れていれば、虫歯はできません。しかし何らかの原因で再石灰化より脱灰が進むと、虫歯ができてしまいます。

虫歯の初期症状

それでは虫歯の初期症状について見ていきましょう。虫歯ができると、4つの初期症状が現れ始めます。

初期症状1:歯の表面の変色

まずは歯の表面の変色です。虫歯ができると歯が茶色もしくは黒に変色します。中には白く濁った斑点ができたように変色することもあるでしょう。

 

歯の表面の変色はご自身でも確認しやすいので、虫歯が疑われるならぜひよく確認してみてください。歯の表面の色がおかしいと感じられたなら、虫歯ができているのかもしれません。

初期症状2:冷たい食べ物がしみる

冷たい食べ物がしみるのも虫歯の初期症状のひとつです。冷たい食べ物がしみる場合、歯の神経と呼ばれる歯髄部分にまで虫歯が達している可能性があります。

 

虫歯による刺激が神経に達して、痛みが生じている状態です。そのままだと進行するため、早めに歯科クリニックを受診しましょう。

 

関連記事:歯がしみる原因とは?治療方法も解説

初期症状3:歯と歯茎のあいだが白い

虫歯になると、歯と歯茎の間が白くなることがあります。歯茎が白くなったのは「瘻孔」と呼ばれており、虫歯で神経が死んだ際に膿が溜まったものです。

 

溜まった膿が出ると元の色に戻ります。しかしまた膿が溜まってくると、再度白くなることを繰り返します。瘻孔ができている場合、もう虫歯の初期症状とは言えません。虫歯が進行している状態でしょう。

初期症状4:奥歯の溝が黒ずむ

奥歯に虫歯がでている場合、奥歯の溝が黒ずんで見えることもあるでしょう。奥歯は虫歯になりやすい場所。複雑な溝があり、食べカスや細菌が蓄積されやすい形状であるためです。

 

もし奥歯の溝が黒ずんで見えたなら、黒い部分が虫歯になっている可能性があります。溝に沿って黒い線が見えたら要注意です。

 

関連記事:歯医者の初診料はどのくらい?治療費の相場とともに解説

初期症状5:見える穴や割れ

虫歯の初期症状として、歯の表面に小さな穴やひび割れが見える場合があります。鏡で歯をチェックした際に、黒っぽい点や細い線のような割れを見つけたら要注意です。これらは歯のエナメル質が溶け始め、虫歯が進行しつつあるサインといえます。

 

小さな穴でも放置すると内部まで菌が入り込み、痛みや腫れを引き起こす原因になることがあります。早期に気づけば削らずに治療できる可能性もあるため、「見える穴や割れ」を確認したら、できるだけ早く歯科クリニックを受診しましょう。

初期症状6:歯の表面にザラつきがある

歯の表面が以前よりもザラつきを感じる場合は、虫歯の初期症状かもしれません。エナメル質が酸によって溶け始めると、表面が滑らかではなくなり、ざらついた感触になります。

 

この段階では痛みがなくても、歯の再石灰化がうまく行われていないサインです。放置すると虫歯が進行し、穴や黒ずみが現れることがあります。

 

日常的に歯の触り心地を意識しておくと、虫歯の初期段階を早く見つけられるでしょう。少しでも違和感を覚えたら、早めに歯科クリニックでチェックを受けてください。

初期症状7:甘いものを食べたときだけ痛む

甘いものを口にした瞬間だけキリッと痛む場合は、虫歯の初期症状が疑われます。砂糖が歯に触れると、溶け始めたエナメル質の下に刺激が伝わりやすくなり、甘いもしくは冷たい物に象牙質が反応して痛みを感じることがあります。また、冷たい飲食物ではしみなくても、甘味だけで痛む場合もあります。

 

繰り返すようなら進行のサインなので、早めに歯科クリニックで診察を受け、ブラッシングやフッ素などの対策を相談しましょう。市販の鎮痛剤で紛らわせず、原因を確認してください。

初期症状8:フロスや歯間ブラシが引っかかる

フロスや歯間ブラシを使ったときに、いつもより引っかかりやすく感じる場合は、虫歯の初期症状かもしれません。歯の間でエナメル質が溶け始めると、小さな凹凸ができて繊維が引っかかりやすくなる可能性があります。見た目に変化がなくても、内部で虫歯が進行していることがあります。

 

引っかかりを感じたら無理にこすらず、早めに歯科クリニックで診てもらうことが大切です。定期的なフロス習慣が早期発見にもつながります。

虫歯の進行度について

虫歯は進行度によって「C0」から「C4」までの5段階に分類されます。ここでは、それぞれの段階で見られる特徴や症状について、わかりやすく解説します。

C0(初期虫歯)

C0は「初期虫歯」と呼ばれる状態で、歯の表面であるエナメル質がわずかに溶け始めた段階です。痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、白く濁ったような斑点が現れることがあります。

 

この段階であれば、適切な歯磨きやフッ素塗布などによって再石灰化が促され、削らずに治すことも可能です。早期発見と日常ケアが非常に重要な段階です。

C1(エナメル質の虫歯)

C1は、虫歯が歯の表面を覆うエナメル質の内部まで進行した段階です。まだ浅い部分の虫歯で、痛みやしみるといった自覚症状はほとんどありません。

 

ただし、見た目では歯の一部が白く濁ったり、うっすらと茶色く変色したりすることがあります。早期に発見できれば、削らずにフッ素塗布などで再石灰化を促すことが可能です。

 

放置すると象牙質に進行するため、この時期のケアが虫歯の進行を止める重要なポイントです。

C2(象牙質まで進んだ虫歯)

C2は、虫歯がエナメル質を越えて象牙質に達した段階です。冷たい物や甘い物でしみやすく噛んだときに一瞬痛むことがあり、小さな穴や黒ずみが目立つ場合もあります。

 

象牙質は刺激が神経に伝わりやすいため、放置すると進行が早くなります。虫歯の初期症状に気づいたら、早めに歯科クリニックで診察を受け、適切な治療を進めましょう。

C3(神経まで到達した虫歯)

C3は虫歯がさらに進行し、歯の内部にある神経(歯髄)まで達した状態です。激しい痛みを感じることが多く、冷たい物や温かい物を口にしたときに強くしみるのが特徴です。

 

痛みを放置すると神経が死んで一時的に痛みが消えることもありますが、炎症が広がり膿が溜まるリスクがあります。虫歯の初期症状を見逃さず、早めに歯科クリニックで根管治療などの適切な処置を受けることが大切です。

C4(歯根まで到達した虫歯)

C4は虫歯が歯根にまで達した最終段階です。痛みが一時的に弱まっても、根の先に膿が溜まって腫れや強い噛み痛み、発熱を伴うことがあります。

 

保存が難しい場合があり、根管治療や外科的処置、抜歯が検討されます。虫歯の初期症状を放置すると重症化しやすいため、違和感を覚えたら早急に歯科クリニックで診察を受け、最適な治療計画を立てましょう。

「虫歯かな?」と思ったらやるべきこと

それでは痛みを感じるなど、もし「虫歯かな?」と感じられた場合はどうすれば良いのでしょうか?虫歯が疑われるときに行いたい2つのやるべきことについて見ていきましょう。

やるべきこと1:鏡でチェックする

虫歯の初期症状のようなものを感じたら、まずは鏡でチェックをしてください。前の項目で解説した4つの初期症状が見られないか確認しましょう。

 

もし虫歯の初期症状に当てはまるものが見つかった場合、虫歯ができている確率が高いと考えられます。

やるべきこと2:早めに歯科クリニックを受診する

「虫歯かな?」と思ったときは、早めに歯科クリニックを受信するのが最善の方法です。歯科クリニックでは定期検診にも対応しているため、虫歯がなくても受診できます。

 

虫歯があればすぐに治療を進められるため、虫歯の進行を抑えるためにもできる限り早めに歯科クリニックを受診しましょう。

 

関連記事:歯医者の選び方とコツとは?注意すべきポイントもチェック

初期虫歯の治療について

虫歯の初期症状を感じて歯科クリニックを受診した場合、どのような治療を行うのかご紹介します。

治療1:適切な歯磨き

初期虫歯であれば、適切な歯磨きを指導するだけの治療となることもあります。虫歯の初期症状が見られるだけの場合であれば、適切な歯磨きによって自然治癒されることもあるためです。

 

虫歯は再石灰化と脱灰のバランスが崩れることで発症されると最初に解説しました。適切な歯磨きをすれば再石灰化が促されて、治療を行わなくても虫歯が治る可能性もあります。

 

関連記事:虫歯予防におすすめの歯磨き粉50選【2024年】

治療2:フッ素を塗布

初期虫歯に対して、フッ素塗布が行われることもあります。フッ素塗布とは、再石灰化を促し、歯を強くするための「フッ素」を歯の表面に塗る治療のことです。フッ素を塗布すると虫歯になりにくくなります。

 

初期段階の虫歯であれば、フッ素を塗布することにより改善が見込めます。さらに虫歯に強い歯になるため、初期虫歯の治療方法としておすすめの方法です。

治療3:PMTC

初期虫歯の治療として考えられる方法のひとつに、口腔内のクリーニングである「PMTC」があります。歯の表面に残っている歯垢や歯石など、普段の歯磨きでは落とせない汚れを特殊な技術により落とします。

 

PMTCを行うと虫歯菌や、虫歯菌が出す酸も除去できるため、初期虫歯が改善されやすくなります。

治療4:シーラント

初期症状が見られる虫歯への治療として最後にご紹介するのは、「シーラント」です。シーラントとは奥歯の溝を樹脂で固める治療のこと。歯の溝がなくなることで歯磨きがしやすくなり、溝に汚れが溜まりにくくなります。

 

シーラントは主に永久歯が生えたばかりの子供が対象となる治療です。成人されている方であれば、その他の治療法が適用されるでしょう。

虫歯の初期で歯を削らないケースがある3つの理由

COやC1といった初期段階の虫歯では、歯を削らずに前述の方法のみで治療を行うことがあります。歯を削る治療は、できる限り避けたいと考えられています。

 

その理由としては次の3点が挙げられますので、詳しく見ていきましょう。

二次う蝕のリスクが高い

歯を削って詰め物や被せ物を行うと、一見虫歯が治ったように感じられます。しかし、詰め物と歯のあいだにわずかな隙間ができることがあり、そこから再び虫歯菌が侵入して「二次う蝕」が起こる可能性があります。

 

虫歯の初期症状であれば、削らずに再石灰化を促す治療を優先することで、歯を長持ちさせることができます。歯をできる限り残すためにも、早期のケアが重要です。

詰め物にも寿命がある

詰め物や被せ物は経年で劣化し、咬む力や温度変化で縁が欠けたり、隙間が生じたりすることがあります。その結果、汚れが入り込み二次う蝕を招きやすくなります。

 

C0、C1の虫歯初期症状であれば、まず再石灰化やフッ素、ブラッシングの見直しで歯質を守ることが重要です。削る介入を先送りできれば、将来の再治療や大きな修復を減らせます。

予防治療で虫歯の進行を止められる

虫歯の初期段階では、適切な予防治療によって進行を止められる場合があります。再石灰化を促すフッ素塗布や、プラーク除去、正しいブラッシング習慣の指導などを行うことで、虫歯菌の活動を抑制できます。

 

これにより歯を削らずに健康な状態を保てる可能性があるのです。初期症状を感じたら、早めに歯科クリニックで予防的な治療を受けましょう。

初期虫歯の治療期間の目安

初期虫歯(C0〜C1)の治療期間は、再石灰化ケアが中心のため1〜3か月が目安です。フッ素塗布やブラッシング指導、PMTCを1〜4週おきに数回行い、虫歯初期症状が改善すれば経過観察に移ります。

 

穴が大きい場合や痛みが続く場合は処置内容と期間が変わります。

 

上記の内容についてはあくまで目安のため、実際の症状で治療期間は大きく変わります。歯科医院の先生と相談をしながら治療を進めていくとよいでしょう。

初期虫歯の治療費用の目安

初期虫歯(C0〜C1)は、フッ素塗布やPMTC、ブラッシング指導など予防中心のため、保険適用で1回あたり数百〜数千円数回通院で合計数千〜1万円前後になることがあります。症状や部位、通院回数で変動するため、受診時に費用の目安を確認してください。

虫歯になりにくくなる生活習慣

虫歯は歯科クリニックにて治療できます。しかしできれば虫歯にならないようにしたいと思われるはずです。

 

虫歯は生活習慣により形成されることが多いもの。虫歯になりにくくなる生活習慣を実践していけば、虫歯になる可能性も低くなるでしょう。

 

関連記事:虫歯の進行を止める方法と進行を早める習慣

生活習慣1:糖分の摂取を減らす

虫歯を作らないためにはまず、糖分の摂取を減らすことが大切です。厚生労働省の報告によると、年間の砂糖摂取量が15キロ程度であった場合は虫歯になりにくく、15キロ以上では確率が上がるとされています[1]。
出典:e-ヘルスネット:甘味(砂糖)の適正摂取方法

 

スウェーデンの研究では、砂糖を含むお菓子を食べた場合に虫歯が増えたとの結果が出ました[1]。糖分の摂取量と摂取回数が増えるほど虫歯になりやすいとされています。日々の生活において糖分の摂取量を減らすことは、虫歯の初期症状を感じた際の治癒に対して適切な対処法です。

生活習慣2:間食を減らす

虫歯を防ぐためには、糖分摂取とともに間食も減らしたいものです。虫歯菌は口腔内に食べ物が長くあるほど働きが活発になります。間食を多くするほど口の中に食べ物が長くとどまるため、虫歯菌の活動は活発になってしまうでしょう。

 

虫歯の初期症状を感じたら、まずは間食の回数を減らしてみてください。間食を減らせば再石灰化が促されるため、虫歯の進行を防げるはずです。

生活習慣3:正しいブラッシング・フロスを行う

最後に正しいブラッシングを行い、デンタルフロスでさらに歯垢を除去することも欠かせません。1mgの歯垢の中には約1億個もの細菌がおり、歯の再石灰化を阻害します[2]。
出典:e-ヘルスネット:プラーク / 歯垢(ぷらーく)

 

ブラッシングによって表面の歯垢は除去可能です。しかしブラッシングだけでは半分程度の歯垢しか落としきれません[2]。そのためデンタルフロスも使って歯と歯の間の歯垢も落としましょう。ブラッシングとデンタルフロスを徹底すれば、再石灰化が促されます。

 

関連記事:虫歯になりやすい人の特徴とその対策

虫歯の初期症状には正しい処置を

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、虫歯の初期症状がご理解いただけたと思います。

 

初期症状が現れている段階であれば、生活習慣やブラッシングに気を遣えば治ることも少なくありません。しかしやはり虫歯が進行してしまうこともあるでしょう。

 

世航会デンタルオフィスでは虫歯の治療はもちろん、口腔内の健康増進を目指した診療を行っております。虫歯にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

[1]参照:e-ヘルスネット:甘味(砂糖)の適正摂取方法

[2]参照:e-ヘルスネット:プラーク / 歯垢(ぷらーく)

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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