歯磨きしているのに虫歯になるのはなぜ?8つの原因と対策方法を紹介

「歯磨きしても虫歯になる原因は?」
「虫歯にならないための対策方法とは?」
「正しい歯磨きの方法を知りたい」
歯の病気は全身疾患とも密接な関係があるため、異常が見られた際は早期対応が必要です。
そこで本記事では、なかでも歯磨きしているのに虫歯になるケースについて、詳しく解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
歯磨きしても虫歯になる原因

まずは早速、歯磨きしても虫歯になる原因から解説していきます。
考えられるのは、以下の8つです。
- 食生活に偏りがある
- 善玉菌と悪玉菌の割合が崩れている
- 唾液の分泌量が減っている
- 歯の質が虫歯になりやすい
- 歯並びが悪い
- 磨き残しが多い
- 歯茎が下がっている
- 詰め物や被せ物が多い
それぞれ見ていきましょう。
原因①食生活に偏りがある
食生活に偏りがあることは、虫歯の原因のひとつです。
栄養バランスの偏りや過剰な砂糖や酸の摂取は、虫歯を引き起こす菌の増殖を助長します。
また、栄養不足による免疫力の低下も虫歯を招く要因となります。
バランスの良い食事や砂糖の制限は、虫歯予防に欠かせませんので注意が必要です。
原因②善玉菌と悪玉菌の割合が崩れている
善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、口腔内のエコシステムが乱れ、虫歯のリスクが高まります。
悪玉菌が増えた状態では、歯の表面に付着し、砂糖を代謝して酸を生成します。
これによってエナメル質が溶け、虫歯が発生するのです。
善玉菌を増やすためには、バランスの取れた食事やプロバイオティクスの摂取が重要です。
原因③唾液の分泌量が減っている
唾液の分泌量が減ると、歯磨きしても虫歯になる原因となります。
唾液は口内の中性化やバクテリアの除去、歯の再石灰化を促進する重要な役割を果たしています。
分泌量が減ると口内の酸性度が上がり、菌が増殖しやすくなるのです。
適度な水分摂取や口腔ケアに気を付けることが大切です。
原因④歯の質が虫歯になりやすい
歯の質が虫歯になりやすい場合、歯のエナメル質や象牙質が軟弱であり、酸や菌の侵害を受けやすい状態です。
傷つきやすい歯は歯磨きや予防策では完全に防ぐことが難しく、定期的な歯科検診やケアが重要です。
原因⑤歯並びが悪い
歯並びが悪い場合、ブラッシングが行き届かず、歯の間や歯の隙間に食べカスや菌がたまりやすくなります。
そのため、歯磨きしても虫歯になるリスクが高まります。
定期的な歯科検診や歯の矯正が重要です。
原因⑥磨き残しが多い
歯磨きしても虫歯になる原因として「磨き残し」があります。
歯磨きを行っているにもかかわらず、歯の隅々までしっかりと磨けていない場合、虫歯菌が残り、虫歯の原因になることがあります。
特に歯と歯の間や奥歯の裏側は磨き残しやすく、これらの場所に食べかすが残ると、虫歯菌が繁殖しやすくなってしまうのです。
歯磨きの際には、細かい部分まで意識して磨くことが大切です。
また、歯磨きの時間を十分に確保し、特に歯の隅や歯周ポケットなど、磨き残しが多くなりがちな部分に注意を払いましょう。
原因⑦歯茎が下がっている
歯茎が下がると、歯の根元が露出し、虫歯のリスクが高まります。
歯茎が下がる原因としては、歯周病や不適切なブラッシング、加齢などが考えられます。
歯茎が下がると、歯の根元に食べかすや細菌が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因となってしまうのです。
歯の根元はエナメル質が薄く、酸に弱いため、虫歯が進行しやすい部分です。
このため、歯茎が下がった状態で歯磨きをしても、虫歯を防ぐのが難しくなることがあるので注意しましょう。
原因⑧詰め物や被せ物が多い
詰め物や被せ物が多い場合、虫歯になりやすくなることがあります。
これらの歯科治療によって歯の表面が覆われ、隙間や接着部分に汚れや食べかすが溜まりやすくなります。
特に、詰め物や被せ物の境目に汚れがたまり、細菌が繁殖することで虫歯が再発するリスクが高まってしますのです。
適切な歯磨きではこれらの部分を完全に清潔に保つことが難しく、虫歯を引き起こす原因となることがあります。
そのため、詰め物や被せ物を使っている場合は、特に注意深いブラッシングと定期的な歯科検診が重要です。
虫歯にならないための対策方法

ここからは、虫歯にならないための対策方法を紹介していきます。
主な方法は以下の6つです。
- 食後すぐに歯を磨く
- 電動歯ブラシを使用する
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使う
- 時間をかけて歯を磨く
- フッ素入りの歯磨き粉を使用する
- 定期的に歯科医院へ通う
それぞれ見ていきましょう。
食後すぐに歯を磨く
食後すぐに歯を磨くことが虫歯予防に効果的です。
食事後は口内に残った食べカスや酸性物質が虫歯菌の活動を促進させるため、早めに歯を磨くことで汚れを除去し、虫歯の発生を防ぎます。
ただし、食後30分を空けるほうが歯のエナメル質への負担が少なくなります。
電動歯ブラシを使用する
電動歯ブラシを使用することも虫歯予防に有効です。
電動歯ブラシの振動や回転が、手動歯ブラシよりも効果的に歯垢を除去し、歯の表面を清潔に保ちます。
また、正しい使い方をすることで、歯磨きの効果を向上できるでしょう。
ただし、適切なブラッシング時間と適度な圧力を心がける必要があります。
歯間ブラシやデンタルフロスを使う
歯磨きだけでは、歯と歯の間に溜まった食べかすやプラークを完全に取り除くことは難しいため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することが推奨されます。
使用することで、歯と歯の間に残った汚れや細菌を効果的に取り除き、虫歯や歯周病のリスクを低減することが可能です。
歯間ブラシは、歯と歯の隙間が広い部分に効果的で、デンタルフロスは狭い部分に適しています。
どちらも正しい方法で使用することが大切です。定期的に使用することで、歯の健康を保つとともに、歯垢の蓄積を防ぎ、虫歯予防に繋がります。
時間をかけて歯を磨く
時間をかけて歯を磨くことも虫歯予防に重要です。
丁寧に磨くことで、歯垢や食べカスをしっかりと除去できます。
とくに歯と歯の隙間や奥歯の裏側をしっかりと磨くことが大切です。
また、正しいブラッシング法を守り、毎日継続することが必要です。
フッ素入りの歯磨き粉を使用する
フッ素入りの歯磨き粉を使用することも虫歯予防に効果的です。
フッ素は歯の再石灰化を促進し、酸による歯の溶解を防ぐ働きがあります。
定期的にフッ素入りの歯磨き粉を使用することで、歯をより強く守ることができます。
ただし、適切な使用量を守り、飲み込まないように注意しましょう。
定期的に歯科医院へ通う
定期的に歯科医院へ通うことも、虫歯予防に重要です。
歯科医師による定期的な口腔検診や歯石の除去、歯のクリーニングなどを受けることで、早期の虫歯や歯周病の発見・治療が可能になります。
歯科医院での専門的なケアと日常のセルフケアの組み合わせが、効果的な虫歯予防につながります。
関連記事:歯医者の定期検診に通う頻度は?メリットと費用を知ろう
フッ素の3つの働き
虫歯にならないための対策方法としてフッ素入りの歯磨き粉を使用することを紹介しましたが、フッ素にはいくつかの働きが挙げられます。
ここでは主な3つの働きについて紹介します。
酸産生を抑制する
フッ素は虫歯予防に効果的な成分として知られており、特に酸産生を抑制する働きがあります。
口腔内で虫歯菌が糖分を分解して酸を生成する過程を、フッ素は抑制することができます。
この酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯の原因となるため、酸の産生を抑えることが虫歯予防に非常に重要です。
フッ素が歯に取り込まれることで、歯の表面が強化され、酸に対する抵抗力が増します。
これにより、歯のエナメル質が酸に溶けにくくなり、虫歯の進行を防ぐことができます。
再石灰化を促進する
フッ素は歯の再石灰化を促進する働きがあります。
歯のエナメル質は酸により脱灰(カルシウムやリンが溶け出す)することがありますが、フッ素はこのプロセスを修復し、歯に再石灰化を促進します。
再石灰化が行われることで、歯の表面は強化され、虫歯が進行するのを防ぐことが可能です。
フッ素は唾液の中に含まれるカルシウムやリンと結びつき、これらを歯のエナメル質に取り込ませることで歯を強化します。
この作用により、歯が酸によるダメージを受けにくくなり、虫歯の予防に非常に効果的です。
歯質を強化できる
フッ素は歯質を強化する重要な働きを持っています。
フッ素は歯のエナメル質と結びつき、強化する作用があります。
これにより、歯は酸による侵害に対してより強固になり、虫歯のリスクを低減することが可能です。
特に、フッ素が歯の表面に取り込まれることで、歯の硬さが増し、外部からのダメージを受けにくくなります。
また、フッ素は歯の再石灰化を助けるだけでなく、歯質自体を強化することで、酸に対する耐性が向上します。
定期的にフッ素入りの歯磨き粉を使うことで、歯質の強化が日常的に行われ、虫歯の進行を防ぐことができるでしょう。
正しい歯磨きの方法

最後に、正しい歯磨きの方法を紹介して終わります。
以下の4ステップを心がけてみてください。
- 歯の表面に対して直角になるよう毛先を当てる
- 表面を磨き上げるように力をかけず小刻みに動かす
- 歯と歯茎の境目に対して45度の角度になるよう毛先を当てる
- 歯周ポケットから掻き出すように力をかけず小刻みに動かす
それぞれ順に解説していきます。
歯の表面に対して直角になるよう毛先を当てる
歯の表面に対して直角になるよう毛先を当てることにより、毛先が歯の表面全体に均等に接触し、歯垢や食べかすを効果的に除去できます。
歯ブラシを水平に持つと、毛先が歯と平行になり、効果的な磨きができません。
適切な角度で毛先を当てることで、歯垢の除去や歯磨き効果を最大限に引き出すことができます。
表面を磨き上げるように力をかけず小刻みに動かす
力をかけずに軽くブラシを動かすことで、歯垢や汚れを効果的に除去します。
過度な力を加えると歯や歯茎を傷つける可能性があるため、軽い力で磨くことが重要です。
小刻みに動かすことで、各箇所に細かくアプローチでき、隅々まで磨くことができます。
歯と歯茎の境目に対して45度の角度になるよう毛先を当てる
歯と歯茎の境目に対して45度の角度になるよう毛先を当てることは、忘れがちながらも重要な手順です。
歯と歯茎の境目にできる歯垢や食べかすは、虫歯や歯周病の原因となる可能性があります。
そのため、この領域をしっかりとケアすることが必要です。
歯周ポケットから掻き出すように力をかけず小刻みに動かす
この手順では、歯ブラシを毛先が歯周ポケットに入り込むように当て、力をかけずに小刻みな動きで磨くことが重要です。
力を加えすぎると歯茎を傷つける恐れがあるため、優しく磨くことがポイントです。
定期的な歯磨きの際には、この手順をしっかりと実践し、歯周ポケットを清潔に保ちましょう。
関連記事:歯周病の症状とは?原因や治療方法、セルフチェックも紹介!
歯磨きしているのに虫歯になるのは食生活や唾液が原因かもしれない
今回は、歯磨きしているのに虫歯になるケースについて解説してきました。
歯の健康は歯磨きだけではなく、食生活や唾液の状態も関係しています。
食生活で摂取する糖分や酸が歯に付着し、虫歯の原因になることがあります。
また、唾液は歯を保護し、自浄作用を果たしますが、唾液の分泌量や質が低下すると虫歯のリスクが高まることも。
つまり、虫歯予防のためには、歯磨きだけでなく食事や唾液の管理にも配慮することが重要ということです。
世航会デンタルオフィスでは、虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、幅広い歯科治療を提供しています。受診の際はカウンセリングもしっかりと実施しているため、歯のことでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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