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歯を抜いた後に気をつけるべきこととは?NG行為と放置するリスク | 歯医者さんのお役立ちコラム
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歯を抜いた後に気をつけるべきこととは?NG行為と放置するリスク

「虫歯で歯を抜いた後に放置するとどうなる?」
「歯を抜いた後の痛みや腫れの期間は?」
「歯を抜いた後の注意点を知りたい」
歯の病気は全身疾患とも密接な関係があるため、異常が見られた際は早期対応が必要です。

 

そこで本記事では、抜歯後の歯について、網羅的に解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

歯を抜いた後に放置するとどうなる?

まずは早速、虫歯で歯を抜いた後に放置するとどうなるかについて解説していきます。
考えられるのは、以下の3つです。

  • 抜歯した歯と向き合う歯が空いたスペースに伸びる
  • 抜歯した歯の両隣の歯が傾く
  • 全体の噛み合わせが悪くなる

それぞれ順に確認してください。

抜歯した歯と向き合う歯が空いたスペースに伸びる

虫歯で歯を抜いた後、そのスペースを放置すると、向かい合う歯がその空いたスペースに伸びてしまう可能性があります。
これは、歯列のバランスが崩れ、噛み合わせに問題が生じたり、ほかの歯が歯周病や脱落のリスクを高める恐れがあります。

 

歯を抜いた後は、適切なタイミングでインプラントや入れ歯などの補綴治療や矯正治療を検討し、適切な咬合を保つことが重要です。

抜歯した歯の両隣の歯が傾く

虫歯で歯を抜いた後、そのスペースを放置すると、抜歯した歯の両隣の歯が傾いてしまう可能性があります。
これは、歯列のバランスが崩れ、咬合や噛み合わせに問題を引き起こしているわけです。

 

また、傾いた歯は歯周病や脱落のリスクも高まります
早めに歯科医師に相談し、適切な治療方法を選ぶことが重要です。

 

関連記事:歯がグラグラして痛い!考えられる原因は?

関連記事:歯周病の症状とは?原因や治療方法、セルフチェックも紹介!

全体の噛み合わせが悪くなる

虫歯で歯を抜いた後、そのスペースを放置すると、全体の噛み合わせが悪くなる可能性があります。
歯列のバランスが乱れ、相互作用が変化するため、噛み合わせに不均衡が生じるわけです。

 

これにより、咀嚼や咬合の問題が生じ、顎関節症や歯の摩耗、さらには顔の形態にも影響を及ぼすことがあります。
早めに歯科医師に相談し、必要な補綴や矯正治療を受けることが重要です。

歯を抜いた後の痛みや腫れの期間

歯を抜いた後の痛みや腫れは、通常1~2日で落ち着くことが多いです。
痛み止め薬が不要なぐらいに痛みが軽減するには、しばらくの時間がかかります。

 

また、腫れは痛みよりも遅れて現れ、およそ3~4日後にピークに達することがあります。
この期間中は、適切な口内衛生を保つことや冷却療法を行うことで、痛みや腫れを緩和できるでしょう。

 

 

しかし、個人差があるため、具体的な痛みや腫れの期間は個々の状況によって異なることもあります。

 

関連記事:大人になってから歯が抜けた!そんなときの応急処置と治療方法を紹介!

歯を抜いた後の注意点

歯を抜いた後は、いわゆるケガをしている状態と同じです。そのため、軽く考えず、注意点を守りましょう。
ここでは、どのようなポイントに気をつけていけばいいのか解説します。

ガーゼで圧迫して止血する

歯医者で抜歯直後に行われるのが、ガーゼで圧迫して止血する処理です。
もし、帰宅してから出血してしまった場合も同様に行いましょう。

 

ガーゼを30分ほどかみしめて止血します。
軽くかむだけでは効果が不十分ですが、強くかみしめる必要もありません。
目安の時間は5分~10分ほどですが、それでも止まらない場合は新しいガーゼに取り替えて、さらに30分程度圧迫止血を続けましょう。

 

また、ガーゼを外した後に血の塊ができている場合もありますが、無理に取り除かないことが大切です。

うがいではすすぎすぎに注意する

抜歯した後、歯を抜いた部分には血の塊である血餅ができます。
これが治癒を助けるのですが、うがいによって血餅が流されてしまうと治りが悪くなってしまうことがあります。

 

そのため、うがいをする際は抜歯した周辺に水が触れるのを防ぐようにしましょう。
抜歯をした当日だけではなく、翌日以降も同じように優しくケアすることが重要です。

長風呂や激しい運動を控える

抜歯した当日に長風呂や激しい運動をした場合は、出血や腫れの原因となることがあります。
そのため、抜歯の当日だけではなく、2~3日程度はシャワーや短時間の入浴で済ませ、運動も軽いものに限定しましょう。
入浴や運動によって体が温まると血流がよくなり、出血が止まらなくなってしまう恐れがあります。

傷口を触らないようにする

抜歯した後の傷口は気になってしまいますが、だからといって触らないように注意が必要です。
指で触るのはもちろん、舌でも傷口に触れないように気をつけましょう。
感染や治癒の遅れにつながる恐れがあります。

喫煙や飲酒を控える

喫煙や飲酒も抜歯から2~3日間は避けておくことをおすすめします。
喫煙は血行を悪くし、飲酒は血行を促進させるため、どちらも治癒の妨げになります。

 

出血はあるものの、少量だから問題ないと考えてしまう方もいるでしょう。
しかし、出血が続いている限り、血は固まらず、傷の治りが遅くなります。

抜歯後の食事の摂り方

抜歯後は普段と口腔内の状態が異なるため、食事の摂り方に注意しなければなりません。
ここでは、抜歯後の食事のタイミングとおすすめの食べ物、避けるべき食べ物について解説します。

抜歯後の食事のタイミング

抜歯後、どの程度時間を空ければ食事をしていいかについては、歯医者での指示に従いましょう。
一口に抜歯といってもさまざまなケースがあるため、一概にはいえません。

 

いずれのケースでも共通するのは、麻酔が完全に切れてから食事をすることです。
麻酔が効いている状態で食事をすると感覚が鈍り、くちびるや舌を噛む恐れがあります。
麻酔が覚めるまでにかかる時間は個人差がありますが、一般的には1時間~3時間ほどです。

抜歯後におすすめの食べ物

抜歯後すぐに食事する場合におすすめの食べ物は、よく噛む必要がないおかゆや雑炊、うどん、豆腐、ヨーグルトなどです。
抜歯後から3日程度経過するまでは、特に食事内容に注意しましょう。

 

抜歯した後の傷口が治るまでには1週間程度かかるのですが、これは治癒が順調に進んだ場合です。
抜歯した部分にできる血餅が取れてしまった場合は、治癒するまでに1週間以上かかるケースも珍しくありません。

 

血餅が取れてしまう主な原因は、食事やブラッシング、うがいなどによるものです。
抜歯後は常に抜歯した周辺を清潔な状態にしておかなければなりません。
米粒や食べかすなどが傷口に入ってしまったら取り除く必要があるのですが、この時に傷口を直接ブラッシングしたり、強く口をゆすいだりすると血餅が取れてしまう可能性があります。

 

そのため、傷口周辺をブラッシングしたり、口を強くゆすいだりしなくても汚れが取れるような食べ物を選択しましょう。

抜歯後に避けるべき食べ物

抜歯後に避けるべき食べ物としては、せんべいやシリアルのように硬いもの、カレーのように辛いもの、キャラメルのように粘着性の強いものなどです。
また、熱いもの、極端に冷たいものも避けましょう。

 

抜歯した部分を「傷口」と考えると、負担をかけない食事をイメージしやすくなります。

抜歯後の痛み止めの服用方法

抜歯後は強い痛みが出るケースもあり、場合によっては痛み止めを服用することになります。
しかし、どのタイミングで飲めばいいのかわからず、困っている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、痛み止めを服用するタイミングと、服用時に注意しておきたいポイントを解説します。

痛み止めを服用するタイミング

痛み止めといえば、痛みが強くなり、我慢しきれなくなってから飲むものというイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、我慢しきれないほどの痛みがなくても飲んで問題ありません。

 

抜歯後、特に痛みが発生しやすいのは、麻酔が切れるタイミングです。
抜歯する際は局所麻酔を使用しますが、その麻酔が切れる頃になると徐々に痛みを感じることになります。
痛みを抑えるためにも、麻酔が切れてきたと感じるタイミングで一度痛み止めを飲んでおきましょう。

 

痛みが強くなってから痛み止めを飲んでも効果が弱い点に注意が必要です。
痛みの原因となる物質は炎症に伴って生じることになりますが、その物質が大量に生成されてから痛み止めを飲んでも十分に働きません。

 

一方、痛みが強くなる前に痛み止めを服用しておくことにより痛みの原因物質の生成が早く抑えられ、効果を実感しやすくなります。
もちろん、痛みを感じていないのであれば痛み止めを飲む必要はありません。

痛み止めの服用時の注意点

「痛み止めを飲み続けてしまうと効かなくなる」と心配される方がいますが、これはあくまで長期間にわたって使用し続けた場合の話です。
薬に対する耐性がつくと同じ量の痛み止めでは効果が感じられなくなることもあります。

 

ただし、抜歯後の痛みは何週間も続くものではなく、短期間の利用です。
もしも長期間にわたって痛みが発生し、薬を飲み続けているような場合は何らかのトラブルが起こっている可能性が考えられるので、医師に相談しましょう。

抜歯後に注意すべきドライソケットとは?

抜歯した後に注意したいトラブルが「ドライソケット」です。
紹介したように、抜歯した後はその部分に血の塊である血餅ができ、抜歯によって開いた穴を塞ぐ役割を果たします。

 

ですが、血餅が作られなかったり、ブラッシングやうがいなどで落としてしまったりしたために顎の骨が露出したままの状態になってしまうのが、ドライソケットです。
むき出しになった骨に直接刺激が伝わることになるので、骨に響くような痛みを感じるようになります。

 

一般的に抜歯した後は徐々に痛みが落ち着いていきますが、ドライソケットになると、抜歯後3~5日目頃に強い痛みを感じるようになるのが特徴です。
ドライソケットである場合は投薬で痛みを抑えられるので、歯医者に相談し、痛み止めと抗生剤を処方してもらいましょう。
状態が悪化している場合は本格的な治療が必要になることもあります。

 

ドライソケットの疑いがある場合は、早い段階で歯医者に相談することが望まれます。
血餅がうまく作られなかったり取れてしまったりすることが原因なので、状態が落ち着くまで傷口周辺のブラッシングや強いうがいは避けることが重要といえます。

歯を抜いた後の治療法

親知らずの場合は抜くだけで治療が終わることもありますが、それ以外の歯を抜いた場合は、そのまま放置せず、抜けた歯を補う治療方法を検討する必要があります。
代表的なのが、入れ歯、ブリッジ、インプラントです。
それぞれ概要について解説します。

入れ歯

入れ歯は、1本から片顎まで対応可能な人工歯です。
総入れ歯のほか部分入れ歯もあり、失った箇所や本数に応じて調整して使用できます。

 

保険が適用されるものとそうでないものがありますが、適用されるものであれば費用を抑えて導入できるのがメリットです。

 

総入れ歯の場合、保険適用のものであれば15,000円程度、自由診療だと30万円~になります。
部分入れ歯については、保険適用のもので5,000円~15,000円程度、自由診療だと25万円~が目安です。
ブリッジやインプラントに比べ費用を抑えられる反面、寿命は4~5年と短めです。

 

注意点として、部分入れ歯の場合は周囲の歯に入れ歯を固定するための金属のバネが目立つことがあります。
特に、人と話している時に目立つ位置にバネがあると気になるため、この点も踏まえて検討しましょう。

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って土台とし、そこに連結した被せ物を装着する治療法です。
費用の目安は、保険適用で1本2万円~3万円程度、自由診療で5万円~10万円ほどです。
保険適用のものであれば費用を抑えられるのがメリットといえるでしょう。

 

失った歯の両隣の歯を土台とすることもあり、土台とできる歯が健康でなければなりません。
また、健康な歯であっても調整のために削る必要がある点がデメリットです。
寿命は比較的長く、7~8年ほどです。

 

見た目は自然ではあるものの、選択する素材によって印象が異なります。
見た目を重視する場合は、自由診療のものを選ぶのが適しています。

インプラント

インプラントは外科手術で顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。
保険は適用されず、全額自己負担となります。
費用の目安は1本あたり30万円~40万円です。

 

高額ではありますが、自分の歯と同様に扱えること、周囲の歯に負担をかけないことなどのメリットがあります。
見た目は非常に自然で、噛む力も天然歯とほとんど変わりません。
安定すれば硬いものでも噛めるようになります。

 

また、寿命も10年以上と長いので、費用よりも見た目や機能性を重視したい方に適した治療法です。

虫歯で歯を抜いた後に放置すると全体の噛み合わせが悪くなる

今回は、歯を抜いた後に放置するとどうなるのかについて解説してきました。
虫歯で歯を抜いた後、そのスペースを放置すると、全体の噛み合わせが悪くなる可能性があります。

 

歯列のバランスが乱れるため、噛み合わせに不均衡が生じることで、咀嚼の問題、はたまた顎関節症や歯の磨耗、顔の形にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、早めに歯科医師に相談し、適切な処置や治療を受けることが重要です。

 

世航会デンタルオフィスでは、虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、幅広い歯科治療を提供しています。受診の際はカウンセリングもしっかりと実施しているため、歯のことでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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