インビザラインの矯正中に虫歯になってしまった場合の対処法

「インビザラインの治療中に虫歯になることはある?」
「インビザラインの矯正治療の流れや費用が知りたい」
「インビザラインの矯正治療中に虫歯にならないためには?」
ビジネスマンであれば見た目の清潔さは非常に重要。
くわえて、歯は健康寿命を支えているともいわれており、自己投資としてはコスパが高いともいえるでしょう。
そこで本記事では、インビザライン治療中の虫歯について、網羅的に解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
インビザラインとは

インビザラインは、従来の金属製の矯正装置に代わる透明なプラスチック製のマウスピースを用いた歯列矯正方法です。
マウスピースは取り外しが可能で、目立たないため社会生活における見た目の影響が少ないのが特長です。
患者さんの歯の状態に合わせてオーダーメイドで製作され、定期的に新しいマウスピースに交換しながら徐々に歯を理想的な位置に動かしていきます。
快適さと審美性に長けていることから、最近人気の矯正治療です。
インビザラインの特長
ここからは、インビザラインの特長を解説していきます。
主な特長は以下の4つです。
- 目立ちにくい
- 取り外しできる
- 痛みが少ない
- 治療後の歯列を3Dシミュレーションで確認できる
それぞれ見ていきましょう。
目立ちにくい
インビザラインの最大の特長は、その透明性による目立ちにくさです。
従来の金属製のブラケットとは異なり、クリアなプラスチック製アライナーは口元に自然に馴染み、遠目にはほとんど見えないほど。
さりげなく歯列矯正が可能となるため、日常生活や社会活動を行う際の見た目に対する心配が大きく軽減されます。
この目立たない特性は、特に対人関係が重要なビジネスシーンや、写真撮影が多いイベントなどでのストレスを減少させ、矯正治療を受けていることを周囲に気付かせない利点となっています。
取り外しできる
インビザラインの取り外し可能な特長は、患者の日常生活に大きなメリットをもたらします。
アライナーは食事や歯磨きの際に手軽に外せるため、食べ物の制限が少なく、口腔衛生を維持しやすいでしょう。
また、特別な行事や写真撮影の際にも一時的に取り外すことができ、見た目や機能的な柔軟性を保ちながら矯正治療を進めることが可能です。
この便利さは、インビザラインが選ばれる大きな理由のひとつとなっています。
痛みが少ない
インビザライン治療は、従来の金属製ブラケットとワイヤーを用いた矯正に比べて痛みが少ないとされています。
これは、インビザラインがやわらかいプラスチック製で、歯にかかる圧力を徐々にかけるためです。
アライナーを交換する周期は通常2週間ごとで、一度に動かす歯の量が少ないため、歯や歯茎へのストレスも緩やかになります。
患者はこの穏やかな圧力の変化により、より快適な矯正経験を得られることでしょう。
治療後の歯列を3Dシミュレーションで確認できる
インビザライン治療を始める前に、患者は3Dシミュレーションを通じて最終的な歯列の結果を確認できます。
この先進的な技術により、実際に治療を始める前に期待できる結果を視覚的に理解できるわけです。
治療計画の各段階で歯がどのように動いていくかを見せることができるため、患者は治療過程に対する不安を減らし、治療のモチベーションを高めることができます。
この透明性が、患者に安心感を提供し、治療への満足度を高める一因となっています。
インビザラインの矯正治療の流れや費用

インビザラインの矯正治療は、基本的に以下の流れで行われます。
- カウンセリング:虫歯治療や歯周治療の必要性などを聞く
- 精密検査:口腔内の写真・レントゲン(セファロ・パントモ)撮影を行う
- クリーニング・歯周治療:歯石やプラークの除去を行う
- 虫歯治療:虫歯がある場合はこのタイミングで行う
- 口腔内や歯形のスキャニング:インビザラインのマウスピース用のデータを取る
- インビザライン矯正シミュレーション:将来の治療完了シミュレーションを確認する
- アライナー(マウスピース)作成:インビザラインのマウスピースを実際に作成する
- 矯正開始:インビザラインの使用方法や注意事項を聞いて治療を開始する
また、インビザライン治療にかかる費用も見ていきましょう。
- 初診・相談料:0〜6,000円
- 精密検査料:25,000~60,000円
- 診断料:10,000~50,000円
- 装置・基本料金:65万~100万円
- 治療後のリテーナー作成料:4,000~60,000円
- 治療後のメンテナンス料:2,000~5,000円
なお、これらはあくまで統計的なデータとして参考にしてください。
関連記事:インビザラインの費用の相場と内訳を徹底解説
関連記事:歯列矯正にかかる費用はどのくらい?安くするポイントも紹介
治療中に虫歯になることはある?
インビザラインでの矯正治療中は、さまざまな原因によって虫歯になりやすい時期といわれています。
矯正治療中はとくに丁寧なオーラルケアが求められます。
歯科医師や歯科衛生士の指導に従って、専用のクリーニングツールを使うなど、適切な歯磨き方法を実践することが非常に重要です。
ここからは、矯正治療中が虫歯になりやすい時期と言われる主な3つの原因について紹介します。
関連記事:【習慣・食生活別】虫歯の予防方法
原因①口内が乾燥しやすい
インビザライン矯正中は、マウスピースが歯面を覆うことで唾液の自然な流れが抑制される場合があります。
また、口呼吸や水分摂取が少ない状態が続くと口腔内が乾燥し、唾液の酸を中和する作用や再石灰化の働きが低下しがちです。
その結果、虫歯菌による酸の攻撃を防ぎきれず、歯の表面が脱灰しやすくなります。
矯正中は意識的な水分補給・鼻呼吸・マウスピース装着前後の清掃を徹底することで、口内乾燥のリスクを減らすことが重要です。
原因②唾液の作用が得られにくくなる
インビザラインはアライナーが歯面を覆うため、唾液の洗浄・緩衝・再石灰化の作用が歯に直接届きにくい時間が生じます。
特にに長時間の連続装着や口呼吸、少ない水分摂取が重なると口腔乾燥が進み、酸が中和されにくくなります。
装着前後のブラッシングとこまめな水分補給を徹底し、就寝前はフッ素ケアも取り入れてリスクを下げましょう。
原因③アタッチメントに汚れが残りやすい
インビザライン矯正では、歯の動きを効率化するために小さな突起状のアタッチメントを歯の表面に装着します。
この部分は凹凸があるためプラークや食べかすが付着しやすく、ブラッシングが不十分だと虫歯の原因になります。
さらに、アライナーを長時間装着することで湿度と温度が一定に保たれ、細菌が繁殖しやすい環境になりがちです。
アタッチメント周辺を重点的に磨く習慣をつけ、定期的なクリーニングを行うことが大切です。
インビザライン治療中に虫歯になりやすい箇所
インビザラインでの矯正治療中は、上記の原因によって虫歯になりやすい時期といわれています。
ここからは、インビザライン治療中に虫歯になりやすい箇所について紹介します。
セルフケアを行う際は、紹介する箇所を特に意識をして行いましょう。
歯並びが悪い箇所
歯並びが悪い箇所は、歯と歯が重なり合っているためブラシの毛先が届きにくく、プラークが残りやすい傾向があります。
インビザラインで矯正を進めている途中も、まだ歯列が整っていない段階では同様に汚れが溜まりやすく、虫歯の発生リスクが高まります。
特に叢生(歯が重なって生える状態)部分は、食べかすや細菌が残りやすいため、フロスや歯間ブラシを併用して丁寧に清掃することが大切です。
歯と歯の隙間
歯と歯の隙間(隣接面)は食べかすとプラークが停滞しやすく、アライナー装着中は唾液の洗浄・緩衝作用が届きにくいため、初期むし歯が進行しやすくなります。
甘い飲料を口に含んだまま装着するとリスクが高まります。
毎食後にフロスや歯間ブラシで隙間を清掃し、仕上げにフッ素配合歯みがき剤で再石灰化を促しましょう。
特に就寝前は時間をかけて磨くようにし、必要に応じて薬用洗口液を併用してください。
親知らずの周辺
親知らずの周辺は、歯ブラシやフロスが届きにくいため、食べかすやプラークが残りやすい箇所です。
特に親知らずが半分埋まっていたり、斜めに生えていたりすると、隣の歯との間に汚れが蓄積しやすく、虫歯や歯ぐきの炎症を引き起こす原因となります。
インビザライン治療中はアライナーを長時間装着するため、口腔内が湿った状態が続き、細菌が繁殖しやすくなることもあります。
親知らずのケアに不安がある場合は、歯科医師に相談し、必要に応じて抜歯や専門的なクリーニングを検討しましょう。
詰め物・被せ物の隙間
詰め物や被せ物の隙間(マージン部分)は、プラークが付着しやすく虫歯が再発しやすい箇所です。
インビザライン治療中はアライナーが密着しているため、唾液による洗浄作用が届きにくく、汚れが残ると細菌が繁殖しやすくなります。
古い詰め物や被せ物は経年劣化でわずかな段差が生じている場合もあり、その境目から虫歯が進行することがあります。
矯正開始前に修復物の状態を確認し、治療中も丁寧なブラッシングと定期検診で再発を防ぎましょう。
治療中に虫歯になってしまった場合の対処法
次に、治療中に虫歯になってしまった場合の対処法を2つ見ていきましょう。
- 軽微な虫歯
- 進行が進んだ虫歯
それぞれ確認してください。
軽微な虫歯
治療中に軽微な虫歯が発見された場合、早めに歯科医師に相談してください。
初期の虫歯ならば、フッ素塗布のような非侵襲的な方法で再石灰化を促すことができます。
歯科医師の指導に従って適切なケアをすれば、虫歯を進行させずに矯正治療を続けることが可能です。
進行が進んだ虫歯
進行が進んだ虫歯が治療中に発見された場合は、速やかに歯科医師の治療が必要となります。
状況に応じて、歯の詰め物や被せ物などの処置を行い、虫歯の進行を止めることが大切です。
また、場合によっては虫歯治療で歯形が変わり、虫歯治療後にマウスピースを変える必要が出てくる場合もあります。
関連記事:マウスピース矯正にかかる費用とワイヤー矯正との違い
インビザラインの矯正治療中に虫歯にならないために
最後に、インビザラインの矯正治療中に虫歯にならないための予防法を紹介して終わります。
ここでは、以下の8つの方法を見ていきましょう。
- しっかりと水分を補給する
- 入念なブラッシングを行う
- フロスも怠らない
- アタッチメント周辺は注意して磨く
- 洗口液で細菌対策を行う
- 飲食中はマウスピースを外す
- 間食の回数を見直す
- ドクターの指示に従う
それぞれ解説していきます。
しっかりと水分を補給する
インビザライン装着中は歯面が覆われ、唾液の洗浄・緩衝作用が届きにくくなります。
こまめな水分補給で口腔内の乾燥を防ぎ、再石灰化を助けましょう。
装着中は基本的に水のみを推奨し、糖分や酸を含む飲料は外してから摂取してください。
再装着の前には、うがいまたはブラッシングを行い、アライナー内への汚れの持ち込みを避けます。
入念なブラッシングを行う
インビザラインの矯正治療中は、装置を取り外してからの入念なブラッシングが鍵を握ります。
食事のたびに取り外す必要があるため、それを機に歯と装置の両方を丁寧に磨くことで、食べかすやバクテリアが蓄積しにくくなり、虫歯のリスクを低減できます。
とくに、歯磨き粉を使用し、歯と歯の間や歯茎のラインにも注意を払ってブラシを当てることが重要です。
フロスも怠らない
インビザライン矯正治療中は、フロスを欠かさずに使用することが大切です。
フロスによって歯と歯の間のプラークを効率的に除去でき、虫歯のリスクを減らせます。
また、インビザラインを着用する前にフロスでの清掃を行うと、装置がきれいな状態でフィットし、治療効果を高めることにもつながります。
毎日のフロス使用は、虫歯だけでなく歯周病予防にも寄与するので、しっかり行いましょう。
アタッチメント周辺は注意して磨く
インビザラインの矯正治療において、歯に取り付けられるアタッチメント周辺は、とくに注意して磨く必要があります。
アタッチメントは小さな突起物で、清掃が不十分だとプラークが溜まりやすく虫歯の原因になることがあります。
そのため、ソフトな歯ブラシを使い丁寧に磨くことが推奨され、プラークの蓄積を防ぎます。
磨き残しがないように、鏡を見ながらブラッシングすると効果的です。
洗口液で細菌対策を行う
ブラッシングとフロスに加え、洗口液を補助的に使うと細菌の増殖を抑えやすくなります。
装着前と就寝前を目安に、アルコールフリーの洗口液で20〜30秒ほど口全体に行き渡らせてから、清潔なアライナーを再装着してください。
色の濃い飲料と同様に着色の原因になり得るため、使用後は軽く吐き出し、すぐに飲食をしないよう意識しましょう。
飲食中はマウスピースを外す
インビザライン装着中に飲食をする際は、基本的にマウスピースを外すことが大切です。
その理由は、砂糖や酸を含む飲料や食品がアライナー内に閉じ込められると、脱灰が進みやすく虫歯の原因になってしまうためです。
食事や間食、色の濃い飲み物も外してから摂取し、摂取後はうがいまたはブラッシングを行い、清潔な状態で再装着してください。
間食の回数を見直す
インビザライン矯正中は、間食の回数が多いと虫歯リスクが高まります。
アライナーを頻繁に着脱すると清掃が不十分になり、食べかすや糖分が残ったまま再装着することで、虫歯菌が活発化します。
特に糖分を含む飲料やスナックの摂取後は、うがいや歯磨きをしてから再装着することが大切です。
間食の回数を減らすことで、口内環境を整え、虫歯を防ぎながら矯正治療をスムーズに進められます。
ドクターの指示に従う
インビザライン矯正治療中、ドクターの指示に従うことはいわずもがな重要です。
ドクターは患者の口腔状況に合わせてプロフェッショナルなケア方法を提案し、それに従うことで虫歯のリスクを最小限に抑えられます。
定期チェックに行き、矯正治療の進捗を共有することで、問題が早期に発見され、迅速な対処が可能になります。
インビザライン中の虫歯は虫歯の進行度を見ながら優先すべき治療を行う
インビザライン矯正中に虫歯が発見された場合、虫歯の進行具合を評価し、それに基づいて治療を優先する必要があります。
進行度に応じ、再石灰化から充填治療まで行うことで、健康な歯を維持しつつ矯正治療を進められます。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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