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20代で虫歯を放置するリスク!治療方法と予防方法 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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20代で虫歯を放置するリスク!治療方法と予防方法

20代は見た目や健康への意識が高まる時期ですが、虫歯を放置してしまう人も少なくありません。
虫歯を放置すると、口臭や顔の腫れ、さらに抜歯や高額な治療が必要になる恐れもあります。
 

本記事では、虫歯を放置することで生じるリスクや、歯が著しく損傷した場合の治療法、予防のために実践すべき対策について詳しく解説します。
早めの対策で、将来のトラブルを防ぎましょう。

20代の虫歯は多い?

近年、高齢層では虫歯や歯を失う本数が減少傾向にある一方で、20代前後の若年層では、口腔内の健康状態に大きな改善が見られていないと報告されています。
厚生労働省の調査を見ても、20代に入るとほとんどの人が虫歯を抱える、あるいは治療経験があるとされ、発症率は8割を超えるのが現状です。
 

義務教育を終える15歳前後から生活リズムや食習慣が変化し、間食や甘い飲み物を摂る機会が増える一方で、自己管理による歯磨きが不十分になる傾向があります。
さらに、大学進学や就職によって多忙になると、定期検診が後回しになり、虫歯の早期発見が難しくなります。
 

こうした生活環境の変化とセルフケア不足が重なり、若年層においても虫歯が増加しやすい状況が続いています。

20代で虫歯を放置するリスク

20代は仕事や私生活が忙しくなり、歯のトラブルを後回しにしがちな年代です。
しかし、虫歯は自然に治癒することのない病気であり、放置すれば確実に悪化します。
 

見た目の問題だけでなく、口臭や顔の腫れ、発音・噛み合わせの異常、そして将来的な抜歯リスクまで引き起こす可能性があるため、たとえ痛みがなくても早期の対処が欠かせません。
ここでは、特に注意したい代表的なリスクを詳しく解説します。

口臭の原因になる

虫歯を放置すると、歯の内部に入り込んだ食べかすや菌によって、強い腐敗臭が発生することがあります。
虫歯が進行して神経が死んでしまった場合、その組織が腐敗し、歯の根に膿がたまることで独特の悪臭を放つようになります。
 

この口臭は市販のマウスウォッシュや歯磨きで一時的に緩和できても、原因が歯の内部にあるため、根本的な改善にはつながりません。
また、自分では気づきにくい一方で、周囲には伝わりやすく、対人関係に悪影響を及ぼす可能性もあります。

顔が腫れる・ゆがむ

虫歯が深く進行すると、歯の根に細菌が侵入して膿がたまり、歯ぐきや頬の一部が腫れることがあります。
さらに症状が悪化すると腫れは顔全体に広がり、痛みや発熱を伴うこともあるため、日常生活に支障を来します。
 

また、虫歯を避けて片側だけで噛むクセがつくと、咬筋や顎の筋肉バランスが崩れ、左右非対称な顔立ちになる可能性も考えられるでしょう。
見た目の印象だけでなく、顎関節の不調や姿勢の歪みにつながることもあるため、決して軽視すべきではありません。

抜歯しなければならない

虫歯は進行すればするほど治療が難しくなります。
初期のうちは小さな詰め物で対応できる場合もありますが、神経まで達すると根管治療が必要になり、さらに進むと抜歯以外に方法がなくなってしまいます。
 

抜歯後は、失われた歯の機能を補うために、ブリッジ・入れ歯・インプラントといった補綴治療が必要になります。
これらの治療は費用も時間もかかり、見た目や噛み心地の違和感を抱く人も少なくありません。
 

大切な歯を失う前に対処することが、最も効果的な予防策です。

見た目の印象が悪くなる

虫歯が進行すると歯が黒く変色してしまうことや、穴があいて一部欠けてしまうことがあります。
その状態で笑ったり話したりすると、相手に不潔な印象を与えてしまい、ビジネスシーンや恋愛においてもマイナスに働くかもしれません。
 

また、前歯に虫歯ができた場合は見た目の変化が顕著で、表情にも影響が出るため、視線を気にして笑顔を避けるようになる人もいます。
 

こうした見た目のコンプレックスは、自己肯定感の低下にもつながりかねません。
歯の美しさを保つことは、健康面だけでなく心理的な充実感にもつながる大切な要素なのです。

発音に支障が出る

前歯は「サ行」や「タ行」など、舌先を歯に当てて発音をクリアに響かせる役割があります。
虫歯が進行して前歯の形が変わったり欠けたりすると、舌が当たる位置がずれて摩擦音が弱まり、子音が曖昧になります。
奥歯を失うと「シャ行」や「チャ行」などの空気の通りを調整する細かな動きが難しくなり、発音が不明瞭になります。
 

発音の変化は本人が気づかないうちに進むケースも多く、会話で聞き返される回数が増えるといった形で初めて自覚するケースが少なくありません。
仕事やプレゼン、オンライン会議での印象に直結するため、早期治療で滑舌を守ることも大切です。

ほかの病気の原因になる

虫歯を放置すると、細菌が歯の根から血流に入り込み体内を巡ります。
その結果、心臓の血管に炎症を起こして心筋梗塞や感染性心内膜炎を誘発してしまう、脳血管に炎症を起こし脳梗塞のリスクを高めることが分かっています。
 

また、慢性炎症が長く続くことで糖尿病のコントロールが難しくなり、傷の治りが遅れるなど全身の代謝にも悪影響が。
副鼻腔炎や骨髄炎といった頭頸部の合併症を引き起こすケースもあるため、「歯の痛みだけ」と軽視せず、全身の健康を守る視点で早めに治療を受けましょう。

治療費が高額になる

虫歯が浅いうちは保険内の詰め物で済み、費用も数千円程度で完結します。
しかし神経まで達した場合は根管治療が必要になり、複数回の通院と追加の費用が発生します。
 

さらに抜歯が避けられなくなると、その後のインプラントやブリッジは保険適用外となり一本あたり数十万円の出費も珍しくありません。
治療期間も長く、通院の手間や時間など、見えにくいコストの負担も増大します。
 

経済的負担と時間的ロスを防ぐためには、痛みの有無にかかわらず小さな虫歯の段階で治療を完了させるのが最も効率的であり、結果的に将来の医療費を大きく節約できます。

虫歯で歯がボロボロの場合の治療方法

重度の虫歯で歯が崩壊してしまった場合、単なる詰め物や被せ物では、機能面も審美面も十分に回復できません。
残った歯質や顎骨の状態、費用面、ライフスタイルを総合的に判断し、長く快適に使える補綴治療を選ぶことが大切です。
 

代表的な選択肢は「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」の三つです。
ここではそれぞれの治療法について、特徴からメリット・デメリットまで詳しく解説します。

インプラント

インプラントはチタン製の人工歯根を顎骨に埋め込み、その上にセラミックなどで作った人工歯を固定する方法です。
歯根から再建するため、天然歯に最も近い咬合力と審美性を得られます。

メリット

顎骨と強固に結合するためグラつきがなく、硬い食材でも違和感なく噛めます。
単独で自立するので隣の健康な歯を削る必要がなく、長期的に見ても周囲の歯の寿命を守れる点が大きなメリットです。
 

セラミックやジルコニアを用いれば色調や透過性も自然で、笑ったときに金属が見える心配もありません。

デメリット

自由診療のため1本あたり数十万円と高額で、複数本になると100万円を超えるケースもあります。
また、顎骨に十分な厚みと高さがない場合は骨造成や再生療法が必要となり、治療期間がさらに延びます。
 

埋入手術には出血や術後感染のリスクが伴い、糖尿病や心疾患など全身疾患があると適応外になるケースもあるため事前の精密検査が欠かせません。

ブリッジ

ブリッジは失った歯の両隣を土台にして人工歯を橋渡しする方法です。
固定式なので装着後の取り外しは不要で、咀嚼や発音も比較的スムーズにできます。

メリット

入れ歯のような着脱の手間がなく、装着したその日から自然に食事や会話ができます。
保険適用のメタルブリッジであれば比較的低コストで治療でき、通院回数も少なく済む点が魅力です。
 

前歯部ではオールセラミックやジルコニアを選べば審美性にも優れ、色調の違和感をできるだけ抑えられます。

デメリット

支台にする両隣の健康な歯を大きく削る必要があり、歯の寿命を縮めるリスクがあります。
ブリッジ下部と歯ぐきの間にプラークが溜まりやすく、丁寧なセルフケアと定期的なクリーニングを怠ると虫歯や歯周病が再発しやすくなります。
 

また、失った歯の数が多い場合や支台歯が動揺している場合は適応できないため、状態によっては、他の治療法を検討する必要があります。

入れ歯

入れ歯は人工歯と床で構成された補綴装置を、歯ぐきや残存歯に吸着・クラスプで保持する方法です。
部分入れ歯と総入れ歯があり、欠損歯数や顎の形態に合わせて設計します。

メリット

保険適用のレジン床であれば比較的安く作れる上に、抜歯後も短期間で装着可能です。
手術を伴わないため身体的負担が小さく、全身疾患があっても適応できるケースが多いのもメリット。
自費診療のノンクラスプデンチャーやシリコン義歯を選択すれば、金属のバネが見えにくくなり、装着感も大幅に改善されます。

デメリット

取り外して清掃する必要があり、慣れるまでは装着時に違和感を抱くことがあります。
咬合力は天然歯の3〜4割程度にとどまり、硬い食べ物を噛みにくい、発音がもたつくなど機能面の制約があります。
 

顎堤が痩せると適合が悪くなりガタつきや痛みが出るため、数年おきのリベースや作り直しが不可欠です。

20代で虫歯に悩まされないための予防方法

若いうちに健康な歯を維持できるかどうかは、日々のセルフケアと歯科医院でケアを続けられるかにかかっています。
ここでは、最も基本的でありながら効果の高い2つの習慣を押さえ、虫歯や歯周病を未然に防ぐポイントを解説します。

正しく歯を磨く

歯磨きは毎日していても、動かし方や当てる角度を誤ると肝心の歯垢を落とし切れません。
歯ブラシは毛先がヘッド全体で軽く触れる程度の圧で持ち、小刻みに動かして歯と歯ぐきの境目を丁寧にこすります。
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過度な力を加えるとエナメル質が削れたり、歯ぐきが下がったりするため注意が必要です。

加えて、歯間ブラシやフロスを併用して隣接面に残るプラークを除去します。
夜は就寝中に唾液量が減るため細菌が増殖しやすく、最も丁寧なブラッシングを心がける時間帯です。
 

仕上げにフッ素入り歯磨き剤を使い、歯面をコーティングして再石灰化を促すと虫歯予防効果が高まります。

定期的に歯科検診を受ける

自覚症状のない初期虫歯や歯周病は、見た目や痛みでは判断しづらいため、歯科の専門家による確認が不可欠です。
検診ではレントゲン撮影や歯周ポケット測定を行い、表面から見えない進行度も把握できます。
 

さらに、歯科衛生士によるクリーニングでバイオフィルムや歯石を徹底的に除去すれば、家庭では落としきれない細菌の温床をリセットできます。
 

頻度の目安は4〜6ヶ月に一度が理想です。
生活習慣に合わせた食事指導やブラッシング指導を受けることで、セルフケアの質も向上するでしょう。
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学生や社会人で忙しい20代こそ、プロのサポートを取り入れて効率よく口内環境を管理することが、将来の歯を守ります。

虫歯は放置せず20代から歯の健康を守る意識を

虫歯は放置しても自然には治らず、むしろ悪化の一途をたどります。20代のうちから正しいケアを習慣化し、早期発見・早期治療を心がけることが、将来の健康と経済的負担の軽減につながります。日々のセルフケアと定期検診を継続し、健康で美しい歯を維持しましょう。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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