歯がグラグラして痛い!考えられる原因は?

「歯がグラグラして痛い場合の応急処置は?」
「歯がグラグラする場合の原因と治療方法が知りたい」
「歯周病治療の治療概要と費用相場は?」
ビジネスマンであれば見た目の清潔さは非常に重要。
くわえて、歯は健康寿命を支えているともいわれており、自己投資としてはコスパが高いともいえるでしょう。
そこで本記事では、歯がグラグラする方に向けて、冒頭の疑問について解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
歯がグラグラする場合の原因と治療方法

ここでは、成人の場合を想定して、以下の7つを見ていきましょう。
- 歯周病
- 歯の根っこが割れてる場合
- 歯の根っこの先に膿がたまってる場合
- かぶせ物や土台の接着剤がゆるんだ場合
- 物理的衝撃
- 矯正治療の影響
- 咬合の悪さによるもの
歯周病
歯がグラグラする場合、その原因のひとつが歯周病であることが考えられます。
歯周病は、プラーク内の細菌が原因で歯肉の炎症が進行し、最終的には歯を支える骨を溶かしてしまう病気です。
初期段階であれば、歯科医院での専門的なクリーニングによりプラークや歯石を除去することで状態を改善できますが、進行してしまうとレーザー治療や手術が必要になることもあります。
関連記事:歯周病の症状とは?原因や治療方法、セルフチェックも紹介!
治療法
治療では、まずは歯石除去やルートプレーニングによって感染源を取り除くのが一般的です。
必要に応じて、抗生物質の処方や組織再生を促す処置も行われることがあります。
重度の場合は、歯周ポケットの整形や歯周組織の再生手術も選択肢に入ります。
治療後は、日々の適切な口腔ケアと定期的なメンテナンスが再発防止の鍵となるため、しっかりとケアを心がけることが大切です。
歯の根っこが割れてる
実は歯が割れることは珍しくありません。 若い方にも起こることがあります。
神経のない歯には血流が通っておらず、栄養が届かないため、時間とともに歯の強度が低下します。 その結果、健康な歯に比べてもろくなり、硬いものを噛み続けるうちにヒビが入ったり、最終的に割れてしまったりすることがあります。
歯が割れているかどうかは、歯科医の診察によって確認できます。
治療法
歯の根が割れた場合は、ヒビの位置や深さによって治療法が異なります。 ヒビが浅い場合であれば、接着性の補強剤でヒビを埋め、さらに歯の内部に丈夫な土台(コア)を入れてかぶせ物(クラウン)を装着することで、歯を保存できる場合があります。
一方、ヒビが深い場合は歯を抜いてヒビを補強し、再び元の位置に戻す「再植術」という治療を行うことがあります。 ただし、再植を行っても歯の寿命が短くなることが多く、再びヒビが入るリスクもあります。
また、ヒビの範囲や方向によっては再植ができず、抜歯が必要となるケースも少なくありません。
歯の根っこの先に膿がたまってる
歯の根の先に膿がたまると、その周囲の骨を溶かしてしまい、歯がぐらつく原因になります。 このような膿は、歯の内部が細菌に感染したときに発生します。
特に、差し歯やかぶせ物をしている歯で起こりやすいのが特徴です。 これらの治療は、神経(歯髄)を取った後に行われますが、神経を失った歯は血流がなく、細菌に対する防御力が低下するため、感染が起こりやすくなるのです。
治療法
まず、歯の根の先にたまった膿を取り除き、根の内部を丁寧に清掃・消毒して細菌を除去します。 感染がしっかり治まったのを確認したうえで、再びかぶせ物(クラウン)を装着して歯の機能を回復させます。
かぶせ物や土台の接着剤がゆるんだ
かぶせ物や土台は、歯に接着剤で固定されていますが、経年劣化や摩耗、化学的な影響によって接着剤が溶けたり破壊されたりすることがあります。
その結果、接着力が弱まり、かぶせ物が外れかけてグラつくことがあります。 さらに、歯の内部にある土台(コア)の接着がゆるむと、土台ごと動いてしまうこともあります。
治療法
まず、グラついているかぶせ物や土台を一度取り外します。 そのうえで、かぶせ物・土台・歯自体に問題がなければ、強度の高い接着剤を使用して再び固定します。
もし、かぶせ物や土台に劣化や破損が見られる場合は、新しく作り直して装着します。 仮に歯そのものに虫歯ができている場合は、虫歯部分をしっかり取り除いたあとに、新しいかぶせ物を作って装着します。
物理的衝撃
歯がグラグラする状態は、事故やスポーツなどで受ける物理的衝撃によっても引き起こされることがあります。
このような状況では、歯やその周辺組織が直接ダメージを受けています。
治療法は、受けた衝撃の度合いによって異なります。
治療法
軽度の場合、歯は自然に安定を取り戻すこともあり、歯科医はしばらくの間経過観察を推奨することが一般的です。
中程度の場合には専用の固定具を使用して、動揺した歯を安定させる治療が行われることがあります。
もし歯が大きく動くか、神経に損傷があると判断された場合は、根管治療や歯を支持するための手術が必要になる可能性があります。
衝撃の度合いによっては、抜歯してからインプラントやブリッジで補うことも選択肢として考慮されるでしょう。
いずれにせよ、グラグラする歯には早急に歯科医の診断を受けることが重要です。
矯正治療の影響
矯正治療中に歯がグラグラするのは、歯を動かしているためではないでしょうか。
つまり、矯正治療をしている場合は正常な過程の一部といえます。
矯正器具が歯に圧力をかけると、歯を支える骨がリモデリングを開始し、歯を新しい位置に移動させます。
このプロセス中に、歯が一時的にグラグラすることがあるわけです。
治療法
治療法としては、基本的には歯科矯正医の監視のもとで継続的に調整を行い、歯の動きをコントロールします。
心配な症状がある場合は、速やかに矯正医に相談し、必要に応じて矯正プランを調整してもらいましょう。
重要なのは、定期的に歯科医院を訪れて、治療の進行状態をチェックし、指示に従うことです。
極稀に、歯の動揺が予想以上に大きい場合は他の問題が起こっている可能性も考えられますが、そのような状況は専門の歯科医によって迅速に評価され、適切な対応がとられるべきです。
矯正治療はプロセス全体を通じて専門家の指導が必要な複雑なプロセスなので、疑問や不安が発生したらいつでも矯正医と相談することが大切です。
咬合の悪さによるもの
歯並びの不整や不適切な噛み合わせにより、特定の歯に過剰な圧力がかかってしまい、歯がグラグラする原因となることがあります。
これにより、歯の支持組織への過度のストレスが誘発され、長期にわたると骨の吸収や歯周病を引き起こす可能性があります。
治療法
治療法としては、まず、咬合の評価を行い、どの歯が負担を受けているのかを特定します。
次に歯科医は、研磨や補綴物(クラウンやインレーなど)の配置で咬合を調整することが一般的です。
さらに重度の場合には、歯科矯正治療によって歯並びや咬合を長期的に改善することが適切です。
そして、治療計画には患者さんの綿密なフォローアップが含まれ、状況に応じて治療方法を調整します。
咬合の問題は複雑であることが多く、歯科医と密接に連携して、患者さんの唯一無二の状態に最適な解決策を見つけ出しましょう。
子どもの歯(乳歯)がグラグラする主な原因と対処法
子どもの歯がグラグラする主な原因は「生え替わり」と「外傷」です。
乳歯の生え替わり時期に見られるグラつきは自然なもので、ほとんどの場合は心配いりません。
ただし、長期間ぐらついたままの場合は歯科医院で確認しましょう。
一方、転倒や衝突などの外傷によって歯がグラグラすることもあります。
歯の位置がずれる「脱臼」、位置は変わらないが動く「亜脱臼」、歯が歯茎にめり込む「埋入」などがあり、いずれも早めの受診と適切な処置が必要です。
痛みを伴う歯のぐらつきは自然と治るのか
大人になってから歯がぐらつき、痛みを感じる場合、自然に治ることはほとんどありません。
特に、歯周病や歯の根の破折が原因であれば、進行によって歯を失うリスクが高まります。
一時的に痛みが治まっても、根本的な原因が解決していないことが多いため、自己判断せず、早めに歯科医院を受診することが大切です。
天然歯の重要性
一度失った天然の歯は、残念ながら元に戻すことはできません。
インプラントや入れ歯などで機能を補うことは可能ですが、やはり自分の歯に勝るものはありません。
天然歯は、しっかりと噛む力を発揮できるだけでなく、食べ物の温度や硬さ、質感を繊細に感じ取る重要な役割を担っています。
そのため、少しでも違和感を覚えたら早めに歯科医院を受診し、自分の歯を守る意識を持つことが大切です。
歯のぐらつきを放置すると起こるリスク
歯のぐらつきを放置してしまうとさまざまなリスクの可能性が高まってしまいます。
もしぐらつき感じた場合は早めの受診が鍵となります。
ここでは、歯のぐらつきを放置すると起きるリスクを3つ紹介します。
歯の寿命が短くなる危険性
歯がぐらつくのは、主に歯周組織(歯茎や歯を支える骨)に何らかの異常が起きているサインです。
特に歯周病が進行している場合、歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶けていき、最終的には歯の支えがなくなって抜けてしまいます。
この過程は痛みを感じにくく、気づかないうちに進行していることが多いため、動揺が軽度のうちに処置することが歯の寿命を延ばすカギとなります。
逆に「様子を見よう」と放置することで、歯を失う可能性が高まり、結果的にインプラントや入れ歯といった補綴治療が必要になるケースも少なくありません。
隣の歯や咬み合わせへの悪影響
歯は隣の歯や上下の歯と連動し、全体のバランスを保ちながら機能しています。
そのため、1本の歯がぐらついたり抜けたりすると、その影響は周囲の歯にも及びます。
例えば、1本の歯が動いて噛み合わせの高さが変わると、力のバランスが崩れ、隣の歯まで揺れ始めることがあります。
さらに、上下の噛み合わせがずれることで、「噛みにくい」など、顎関節への負担が生じることもあります。
また、抜けた部分のスペースに隣の歯が倒れ込む(傾斜)、または噛み合う歯が伸びてくる(挺出)といった変化も起こり、歯並び全体が不安定になることがあります。
噛む力のバランスが崩れ、顎関節症の原因にも
歯のぐらつきを放置すると、噛む力が均等に伝わらなくなり、特定の歯や筋肉に過度な負担がかかります。
その結果、顎関節やその周囲の筋肉に痛み・違和感・音が出るなどの「顎関節症」を引き起こすことがあります。
ぐらつく歯をかばって噛み方を変えると、左右のバランスが崩れ、全身に影響が及ぶことも。
さらに噛む力が不安定になることで食事効率が低下し、胃腸への負担や栄養バランスの乱れを招くおそれがあります。
歯がグラグラして痛む場合の応急処置
痛みが強いときは、ロキソニンなどの鎮痛剤を服用することで一時的な痛みを和らげることができます。
しかし、患部に余計な負担をかけないように、硬いものや粘り気のある食べ物は避ける必要があります。
また、これらの応急処置は一時しのぎに過ぎないので、痛みがある場合は早急に歯科医院へ受診することをおすすめします。
専門の医師による適切な治療が必要です。
関連記事:歯医者の選び方とコツとは?注意すべきポイントもチェック
歯周病のメカニズム
歯周病は主に細菌が原因で起こる病態です。
口腔内に残る食べかすや細菌がプラークを形成し、これが歯肉に炎症を引き起こすことで歯肉炎が始まります。
炎症が進行し、適切な治療を行わない場合、プラークはタルトル(歯石)に変わり、さらに歯肉の下へと広がっていきます。
これにより歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨を徐々に破壊し、歯がグラグラするようになるわけです。
炎症が進むと、歯を失うことにもつながる深刻なダメージを歯周組織に与えてしまうでしょう。
関連記事:虫歯と歯周病の違いとは?予防方法も紹介
歯周病にならないために

歯周病予防の鍵は、歯垢の蓄積を防ぐことにあります。
ここでは、歯周病にならないために確認したい4項目を紹介します。
関連記事:【習慣・食生活別】虫歯の予防方法
口腔内のケアを徹底する
歯磨きを含む日常的な口腔ケアを徹底することは、歯のグラつきを防ぐうえで非常に効果的です。
まずは、毛先の柔らかい歯ブラシを使い、歯と歯茎を優しく丁寧に磨きましょう。
歯周病は歯と歯の間や歯茎の境目など、汚れが溜まりやすい部分で起こりやすいため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用してしっかり汚れを取り除くことが大切です。
さらに、抗菌・殺菌成分を含むマウスウォッシュを使用することで、歯周病菌の繁殖を抑え、口腔内を清潔に保てます。
日々のセルフケアの積み重ねが、健康な歯茎と歯を守る一番の近道です。
しっかりと水分を取る
こまめに水分を補給することで、口の中を清潔に保ちやすくなります。
水分を摂ると、細菌や汚れを洗い流すだけでなく、唾液の分泌が促進されて自浄作用が高まり、細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
また、水分補給は歯周病などの口腔内トラブルの予防だけでなく、体全体の健康維持にもつながります。
日常的にこまめな水分補給を心がけ、口の中を潤った状態に保つことが大切です。
食生活を見直す
歯や骨を丈夫に保つためには、カルシウムやビタミンDを意識的に摂取することが大切です。
カルシウムは、小魚・牛乳・大豆・海藻などに豊富に含まれており、日々の食事に取り入れることで効率的に摂取できます。
また、ビタミンDはキノコ類や魚、卵などに多く含まれ、カルシウムの吸収を助ける重要な栄養素です。
ただし、これらの栄養素だけに偏らず、バランスの取れた食生活を意識することが何より大切です。
定期的な受診をする
まず、定期的に歯石除去やクリーニング(PMTC)を受けることで、毎日の歯磨きでは落としきれない歯垢(バイオフィルム)や歯石を専門の器具でしっかり除去します。
さらに、歯科衛生士によるブラッシング指導では、口の状態に合わせて最適な歯ブラシの選び方や、正しい磨き方を丁寧に教えてもらえます。
また、歯周病の検査として歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを測り、進行状況をチェックすることも重要です。
こうした定期的なケアと日常の正しいセルフケアの両立が、健康な歯を長く保つための鍵となります。
歯周病治療の治療概要と費用相場
歯周病の治療には、まず歯石の除去と徹底したクリーニングが基本となります。
一般的に、これらの初期治療にかかる費用は1回あたり約5,000円から10,000円の範囲で変動し、患者さんの歯周病の進行具合や治療が必要な部位の数によって総額が変わってきます。
全体としては、治療が完了するまでに約40,000円から100,000円程度が相場とされており、これには複数回のクリーニングや必要に応じた他の治療も含まれます。
もちろん、この費用はクリニックや地域によって異なるので、治療前にはきちんと歯科医師と相談しましょう。
歯がグラグラして痛むときの注意点
歯がグラグラして痛む場合は緊急性が高いので、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
歯のグラつきと痛みは歯周病の進行や、歯を支える骨が失われている可能性があります。
自己判断で無理に固定しようとせず、適切な診断と治療を受けることが大切です。
また、噛む際はグラグラする歯に負担がかからないようにし、硬い食べ物は避けるよう注意してください。
歯がグラグラして痛いときは落ち着いて応急処置を
歯がグラグラして痛いとき、まずは冷静に応急処置をとりましょう。
強く噛んだり触ったりせずに、さらなるダメージを防ぐことが重要です。
また、歯周病や外傷が原因であることが多いため、無理な自己治療はせずに、速やかに歯科医院を受診してください。
痛みが強い場合は、市販の痛み止めを適切な用量で服用することも一時的な応急処置として考えられます。
しかし、これはあくまでも一時的な措置であり、専門医の診断と治療を受けることがもっとも重要です。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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