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虫歯で頬が腫れる原因は?メカニズムとともに解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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虫歯で頬が腫れる原因は?メカニズムとともに解説

「虫歯で頬や歯茎が腫れる原因と治療法は?」
「逆に虫歯以外で頬や歯茎が腫れる原因と治療法は?」
「頬が腫れている場合の応急処置が知りたい」
ビジネスマンであれば見た目の清潔さは非常に重要。
くわえて、歯は健康寿命を支えているともいわれており、自己投資としてはコスパが高いともいえるでしょう。
そこで本記事では、頬が腫れて困っている方に向けて、冒頭の疑問について詳しく解説していきます。
虫歯や歯の痛み、歯ぐきの腫れを治したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

虫歯で頬や歯茎が腫れる原因と治療法

まずは早速、虫歯で頬や歯茎が腫れる原因と治療法から解説していきます。 

基本的には、以下のいずれかが考えられます。 

  • 歯周病
  • 親知らずによる炎症
  • 歯茎や顎骨の腫瘍
  • 歯根の割れ
  • 口腔がん

それぞれ見ていきましょう。 

虫歯の進行

虫歯が大きく進行すると、感染が歯を越えて周囲の組織に広がり、頬や歯茎の腫れといった症状を引き起こすことがあります。
これは歯周組織や顎の骨などに炎症が生じているサインです。
治療方法としては、虫歯部分の清掃と歯質の除去を行い、さらに根管治療を通じて感染した歯髄を取り除き、内部を消毒します。
時には抗生物質を処方されることもあり、重度の場合には歯を抜歯することも必要になるかもしれません。
早期の治療が重要となるため、異常を感じたら早めに歯科医を訪れることをおすすめします。

 

関連記事:虫歯の進行速度を遅らせるには?進行を早める習慣もあわせて解説

膿瘍(のうよう)

膿瘍は、歯性感染や外傷などにより、膿が溜まることによって引き起こされます。
頬や歯茎の腫れだけでなく痛みや発熱を伴うこともあります。
治療には、まず膿を放出させるために歯や歯茎の切開が行われることがあり、その後は感染の根源である歯を保存するために根管治療が施され、感染部分を清掃して密封します。
重度の場合や治癒が困難なときは、抜歯が選択されることも。
また、症状の緩和と感染拡大の防止を目的として抗生物質が処方されることが一般的です。バランスの良い食生活や適切な口内ケア、定期的な歯科検診が重要です。

 

関連記事:歯医者の定期検診に通う頻度は?メリットと費用を知ろう

虫歯以外で頬や歯茎が腫れる原因と治療法

次に、虫歯以外で頬や歯茎が腫れる原因と治療法も見ていきましょう。
こちらは以下の3つが考えられます。

  • 歯周病
  • 親知らずによる炎症
  • 歯茎や顎骨の腫瘍

それぞれ解説していきます。

歯周病

歯周病は、歯を支える歯肉や骨が炎症を起こすことで頬や歯茎の腫れを引き起こす病気です。
プラークと呼ばれる細菌の塊が原因で、不適切な歯磨きが蓄積しやすくさせています。
治療法としては、まず歯科医によるプロフェッショナルなクリーニングが必要で、歯石の除去と歯肉ポケットの清掃が行われます。
重度の歯周病では、手術が必要となる場合も。
毎日の適切な歯磨きと定期的な歯科チェックが再発を防ぐ鍵となります。
フロッシングや歯間ブラシを使うことも、歯周病予防には欠かせません。

 

関連記事:進行段階によって異なる!歯周病治療の費用の相場を解説

親知らずによる炎症

親知らず(第三大臼歯)が原因で頬や歯茎の腫れが生じる場合、これは通常「親知らずの埋没」や「周囲拘束炎」と関連していることが多いです。
これは、親知らずが正常に生えるスペースがない時に起こり、歯や歯茎の一部が炎症を起こして腫れるのです。
治療法としては、まず抗生物質で感染を抑えつつ、状況に応じて抜歯が選択されることがあります。
抜歯によって、圧迫された歯肉へのストレスが取り除かれ、歯が正常に生えるスペースが確保されるわけです。
腫れや痛みを和らげるためには、抗炎症薬の処方が役立ちます。
定期的な歯科診察を受け、親知らずが適切に生えるかを確認することも重要です。

歯茎や顎骨の腫瘍

頬や歯茎の腫れが発生する原因のひとつに「歯茎や顎骨の腫瘍」があります。
良性から悪性のものまで種類はさまざまですが、治療法は腫瘍の性質によって大きく異なります。
一部の血管腫やリンパ管腫以外は、摘出・切除する方法が一般的です。
いずれにしても、早期診断と治療が重要で、定期的な歯科検診が予防と早期発見に寄与します。

 

関連記事:歯茎が腫れて痛いときの原因と対処法を解説!予防法やセルフチェックも紹介!

歯根の割れ 

歯の根の部分が割れてしまう「歯根破折」は、頬の腫れや痛みの原因となることがあります。 

歯の内部にまで亀裂が入ると、そこから細菌が侵入して炎症や膿が生じます。 

特に、神経を取った後の歯や、かみ合わせの強い歯は割れやすい傾向があります。 

 

治療法は割れの程度によって異なり、軽度であれば被せ物で保護し、重度の場合は抜歯が必要になることもあります。 

痛みが続いたり噛んだりしたときに違和感があるときは、早めに歯科医院を受診しましょう。 

 

診察ではレントゲンに加え、必要に応じてCBCTやマイクロスコープで詳しく確認し、原因を特定します。 

予防には歯ぎしりや食いしばりを避け、マウスピースの使用が効果的です。 

口腔がん 

頬や歯茎の腫れが長期間続く場合、まれに「口腔がん」が関係していることがあります。 

初期段階では痛みが少なく、ただの炎症や口内炎と見分けがつかないこともあります。 

 

口腔がんは頬の内側や歯茎、舌の側面などに発生し、進行するとしこりや潰瘍、出血を伴うことがあります。 

早期発見が治療成績に大きく影響するため、2週間以上腫れやしこりが続く場合は自己判断せず、口腔外科での検査を受けましょう。 

 

日頃から口内を観察し、違和感がある場合には早めの受診が安心です。 

特に喫煙や飲酒の習慣がある方はリスクが高いため、定期的な歯科検診を受けて予防に努めましょう。 

頬が腫れている場合の応急処置

ここからは、頬が腫れている場合の応急処置について解説していきます。 

症状を悪化させないために、以下のポイントを押さえておくことが大切です。 

  • 口腔内を清潔に保つ
  • 冷やす
  • 市販の鎮痛消炎剤を服用する
  • うがい薬を使用する
  • 刺激物は避ける

それぞれ順に確認してください。 

口腔内を清潔に保つ

頬の腫れに対する応急処置では、口腔内を清潔に保つことが重要です。
毎食後と就寝前の丁寧な歯磨きなどによって食べかすや細菌の蓄積を防ぎます。
腫れた部分に痛みがある場合は、塩水でのうがいなど自然で優しい消毒効果で、腫れや痛みの緩和を促しましょう。
しかし、これらの対処法は一時的なものであり、原因に応じた適切な歯科治療が必要になることが多いです。

冷やす

次に、頬を冷やしましょう。
清潔な布に包まれたアイスパックや冷たいタオルを腫れている部分に適宜当てることで、腫れの原因である血管拡張を抑え、炎症を軽減します。
冷却は一時的な痛みや腫れを和らげる効果がありますが、これは症状の緩和に過ぎず、腫れの根本原因に対して歯科医による治療が必要です。
そのため、冷却後も症状が改善しない場合は、早急に歯科の診察を受けることが重要です。

市販の鎮痛消炎剤を服用する

もし市販の鎮痛消炎剤がある場合は、服用することで痛みや腫れを一時的に和らげられます。
これには多くの場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれ、炎症を抑えるとともに痛みを緩和します。
ただし、これらの薬は症状を軽減する一時的な手段であり、腫れの原因を取り除く治療ではないので注意してください。
長期的な解決には、歯科医院での診察を受け、根本的な原因に対する治療を行う必要があります。
副作用に注意しつつ、極力速やかに専門医のアドバイスを受けてください。

うがい薬を使用する

頬や歯茎の腫れを感じたときは、口内を清潔に保つことが重要です。

歯磨きがしにくい場合は、うがい薬を活用して細菌の繁殖を抑えましょう。

市販のうがい薬には殺菌・抗炎症作用のある成分が含まれており、腫れや痛みの悪化を防ぐ効果が期待できます。

ただし、刺激の強いものを頻繁に使用すると、患部に負担をかけてしまうおそれがあります。

使用する際は、ぬるま湯で希釈してやさしくうがいし、強くすすぎすぎないようにしましょう。

うがい薬はあくまで応急的な対処であり、症状が続く場合は早めに歯科医院を受診することが大切です。

刺激物は避ける

頬や歯茎が腫れているときは、刺激の強い食べ物や飲み物を控えることが早期回復につながります。

辛いものや酸味の強いもの、熱すぎる食事は炎症部位を刺激し、痛みや腫れを悪化させる原因になります。

また、アルコールや喫煙も血流や免疫機能に影響を与えるため、症状が治まるまでは控えるようにしましょう。

食事は常温程度の柔らかいものを選び、反対側の歯で噛むように意識すると負担を減らせます。

口腔内を清潔に保ちながら、体に優しい食事を続けることで、炎症の改善がよりスムーズになります。

虫歯で顔や頬が腫れたときの回復目安

虫歯によって顔や頬が腫れた場合、回復の早さは症状の重さや治療開始のタイミングによって大きく異なります。

治療を始めてすぐに腫れが引かないからといって焦らず、歯科医の指示に従い、安静を保ちながら経過を見守ることが大切です。

また、体調や免疫力、生活習慣によっても治り方は変わるため、十分な睡眠と栄養を意識することが早期回復につながります。

次の項目では、症状の程度別に具体的な回復の目安や注意点を詳しく解説します。

軽い症状の場合

軽い炎症であれば、治療開始から数日で腫れや痛みが和らぐことがあります。

抗菌薬や患部の洗浄によって炎症が落ち着き、1週間以内には通常の生活に戻れるケースも多いです。

ただし、痛みが軽いからといって放置すると、細菌が歯の根まで広がり、再び腫れを起こすおそれがあります。

治療中は無理をせず、医師の指示に従って安静に過ごしましょう。

睡眠を十分に取り、刺激物を避けた食事を心がけることで回復を早めることができます。

患部を清潔に保ち、うがいや歯磨きをやさしく行うことで治りがよりスムーズになります。

さらに、体を冷やさず血行を整えることで、炎症の改善を助ける効果も期待できます。

膿がたまっているときの治り方と注意点

膿がたまっている場合、腫れや痛みが強く、完治まで時間がかかります。

まずは歯科で膿を排出し、感染源を除去することが最優先です。

排膿後も、抗菌薬による治療を続けて炎症を鎮める必要があります。

腫れが引いても内部の感染が残っていることがあるため、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。

患部を温めたり強く触ったりすると、炎症が広がるおそれがあります。

清潔を保ちながら安静を心がけ、医師の指示に従うことが早期回復のポイントです。

再発を防ぐためには治療後の歯磨きや定期検診を続け、口内環境を整えることも大切です。

あわせて十分な休養と栄養補給を意識することで、治りがより早く安定しやすくなります。

抗菌薬が効き始めるまでの時間

抗菌薬は服用してから1〜2日で効果が現れることが多いです。

炎症の範囲が広い場合は、改善まで3〜5日ほどかかることもあります。

腫れが少し引いた段階で服用をやめてしまうと、再び感染が悪化する可能性があるため、処方された分は最後まで飲み切るようにしましょう。

また、薬を飲むだけでなく、歯の根の治療や膿の除去を並行して行うことが大切です。

抗菌薬はあくまで治療を助けるものであり、歯科での処置と組み合わせて初めて効果を発揮します。

腫れが広がる場合

頬やあご、首まで腫れが広がる場合は、感染が深部に及んでいる可能性があります。

このような状態では、点滴治療や入院が必要になることもあるため、早急に歯科口腔外科の受診が重要です。

放置すると炎症が血流に乗って全身に広がり、重症化する危険があります。

痛みが強く、発熱や倦怠感を伴う場合は注意が必要です。

自宅での冷却や薬の服用だけで様子を見るのではなく、専門的な治療を受けることで安全に回復が見込めます。

早期に適切な対応を行えば、合併症の発症を防ぎ、回復を早めることにつながります。

治療後は安静を意識し、体調の変化を見逃さないようにすることで、再発を防ぎやすくなります。

頬が腫れている時にやってはいけないこと

頬の腫れがある時に注意したい行動があります。
まず、患部を強く磨く普通の歯磨きは炎症を刺激し、症状の悪化を招く可能性があります。
また、強くうがいをすることも患部に余計な圧力をかけ、痛みや腫れを増大させる恐れがあります。
さらに、腫れている部分に直接触れると細菌の感染を広げる原因となり得るため、避けるべきです。
症状が気になる場合は、やさしく処置を行い、歯科医の診察を受けましょう。

 

関連記事:歯が痛いときの応急処置方法とやってはいけない行動について

頬の腫れを放置するリスク

頬の腫れを放置すると、細菌感染が深部へ広がり、症状が悪化する可能性があります。

一時的に痛みが引いても、内部では炎症が進行していることがあります。

放置を続けると神経が壊死し、歯の根や顎の骨にまで影響が及ぶ場合があります。

最悪の場合、抜歯が必要になることもあるため、「少し腫れているだけ」と軽く考えないようにしましょう。

次に、頬の腫れを放置した際に起こりやすい具体的なリスクを解説します。

痛みや腫れの再発

腫れが一時的に治まっても、原因となる感染が残っていると再発することがあります。

痛みが軽くなったからといって治療を途中でやめてしまうと、再び膿がたまり、以前より強い腫れが出るケースもあります。

再発を防ぐためには、歯科医の指示通りに通院を続け、根管治療などを最後まで行うことが大切です。

また、治療後もブラッシングや定期検診を欠かさず、口腔内の清潔を保ちましょう。生活習慣の見直しも再発予防に役立ちます。

特に疲労やストレスが続くと免疫力が低下し、炎症が再び起こりやすくなるため注意が必要です。

さらに、バランスの取れた食事や十分な睡眠を意識することで、体の抵抗力を高め再発を防ぐ助けになります。

神経のダメージ

腫れを長期間放置すると、歯の神経が細菌に侵されて壊死することがあります。

神経が死んでしまうと一時的に痛みが消えるため、治ったと勘違いして放置してしまう方もいます。

しかし、壊死した歯の内部では感染が進み、骨や歯茎に炎症を広げる危険があります。

神経がダメージを受ける前に治療を行えば、歯を残せる可能性が高まります。

痛みが消えても安心せず、違和感がある場合は歯科医院で根の状態を確認してもらいましょう。

放置期間が長くなるほど治療が複雑になり、回復までの時間も延びてしまうため注意が必要です。

早期に診断と処置を受けることで、重度の炎症や抜歯を避けられる可能性が高くなります。

歯が残せなくなる可能性

感染が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、歯がグラグラしたり抜け落ちたりすることがあります。

炎症が歯の根や顎の骨に広がると、抜歯以外の選択肢がなくなる場合もあります。

早めに治療を受ければ、根の治療やかぶせ物などで歯を保存できる可能性が高いです。

腫れや痛みを軽視せず、早い段階で原因を特定して治療を行うことが、歯を守る最善の方法です。

治療後も定期的に歯科検診を受け、日常のケアを継続することで再発を防ぎ、歯を長く健康に保つことができます。

さらに、噛み合わせや歯ぎしりを見直すことで、歯や骨への負担を減らし予防効果を高められます。

リンパの腫れや唾液腺の炎症

頬やあごの腫れは、リンパ節炎や唾液腺炎などの炎症によって起こることもあります。

虫歯の感染が原因で周囲の組織まで炎症が広がると、リンパ節が腫れてしこりのように感じることがあります。

発熱や全身のだるさを伴う場合は、感染が全身に及んでいる可能性もあります。

これらの症状を放置せず、早めに歯科や耳鼻科を受診して原因を特定しましょう。

適切な抗菌薬や排膿処置を受けることで、腫れの改善が期待できます。

あわせて十分な休養と水分補給を心がけ、免疫力を高めることで再発を防ぐことができます。

さらに、口内を清潔に保ち、ストレスをためない生活を意識することも回復を早めるポイントです。

虫歯で頬が腫れる理由は1つじゃない

虫歯が原因で頬が腫れるのは、虫歯の進行が感染を引き起こしているためです。
歯や歯茎に膿瘍が形成され、周囲の組織に炎症を広げ、結果として頬が腫れることにつながっていることもあります。
また、虫歯以外で頬が腫れるケースもあります。
いずれにせよ、一度歯医者に行きましょう。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得

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