予防歯科とは?自由診療で受ける場合のメリットを解説

予防歯科は、虫歯や歯周病などのトラブルを未然に防ぐための歯科医療で、近年は自由診療による質の高いケアにも注目が集まっています。
「悪くなる前に通う」ことで歯の健康寿命を延ばし、将来的な医療費の削減にもつながる点も、予防歯科の特徴です。
本記事では、予防歯科の基本から自由診療を選ぶメリット、費用の目安まで詳しく解説していきます。
予防歯科とは?
予防歯科は、虫歯や歯周病といったトラブルを未然に防ぐことを目的とした歯科医療の分野です。
歯が痛くなってから通う従来の歯科スタイルとは異なり、「悪くならないために通う」という考え方が基本です。
欧米を中心とする先進国ではすでに定着しており、歯科医院はトラブル予防のために定期的に通う場所という意識が根付いています。
日本でも近年、健康意識の高まりとともに予防歯科を利用する人が増えつつあります。
予防歯科では定期検診によって口腔内の状態をチェックし、必要に応じてクリーニングやフッ素塗布などの処置も実施します。
さまざまな処置により、虫歯や歯周病の発症リスクを大きく下げられるのです。
予防歯科の重要性
予防歯科の最大のメリットは、虫歯や歯周病といった疾患を早期発見・対処できる点にあります。
異変を初期段階で見つけられれば最小限の処置で済み、歯への負担も軽減できます。
また、定期的なプロのケアによって歯垢や歯石の蓄積を抑え、細菌の繁殖を防ぐことも可能です。
口内環境の悪化を防ぎ、口臭や歯のぐらつきといった問題も予防できるのです。
さらに、繰り返しの治療は歯に負担をかけ、結果的に寿命を縮める原因となることがあります。
だからこそ、トラブルが起きる前にメンテナンスする習慣が重要なのです。
将来的な治療費の削減やQOL(生活の質)の向上に貢献する点でも、予防歯科は重要な役割を担っています。
予防歯科の治療内容
予防歯科では、まず歯石の除去が基本的な処置として行われます。
歯垢が石灰化してできた歯石は日々の歯磨きでは除去できず、放置すると虫歯や歯周病の原因になるのです。
歯科医院では専用のスケーラーを使用し、歯の表面にこびりついた歯石を丁寧に取り除いていきます。
歯の表面が滑らかになることで、プラークの再付着も抑えられます。
フッ素塗布
フッ素塗布も予防歯科の一つ。
高濃度のフッ素を歯の表面に塗ることでエナメル質の再石灰化を促進し、虫歯菌が出す酸への抵抗力を高める効果が期待できます。
フッ素塗布は一度だけでは効果が持続しにくいため、年に2回以上の継続的な処置が推奨されています。
特に乳歯や生えたばかりの永久歯は歯質が弱いため、早期の予防ケアが重要です。
さらに、大人にとってもフッ素塗布は効果的な予防手段です。
歯茎が下がり、歯の根元が露出している場合や象牙質が見えてきている方は虫歯リスクが高くなるため、定期的に処置してもらうべきでしょう。
セルフケア指導
歯科医院によるセルフケア指導も、予防歯科を支える重要な要素の一つです。
歯磨きの仕方や歯間ブラシの使い方、口腔内の状態に応じたブラッシング方法など、歯科医に指導してもらいましょう。
自己流で磨いているとどうしても磨き残しが出てしまうため、専門的なアドバイスを受けて改善することが大切です。
パウダートリートメント
補足的な自由診療として、パウダートリートメントと呼ばれる、新しいクリーニング技術が導入されています。
微粒子パウダーを高圧エアーで歯に吹き付けることで、歯の表面や細部の着色汚れ・バイオフィルムを優しく除去する仕組みです。
従来のスケーラーでは届きにくい部分まで清掃できるため、高い清掃効果が期待できます。
フッ素塗布やホワイトニング前の前処理と組み合わせれば、より効果を高められる施術といえるでしょう。
予防歯科を自由診療で受けるメリット
自由診療の予防歯科では、保険診療と比べ制約が少なく、より質の高い処置を受けられます。
機材や薬剤の選択肢が広がることで、患者一人ひとりに合わせた柔軟なケアが可能になります。
ここでは、自由診療で予防歯科を受ける5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
保険診療との違いを踏まえた上で、自分に合った治療方法を考えるきっかけにしてください。
メリット①高度な口腔ケアが受けられる
自由診療では、最新の医療機器や高性能な薬剤を制限なく使用できます。
そのため、より精度の高いクリーニングや処置が可能です。
例として、エアフローと呼ばれる機器を使えば、歯に優しい処置で細かい部分まで綺麗にできます。
従来のスケーリングよりも効率的で、歯の表面を傷つけずに予防効果を高められるでしょう。
メリット②審美性を考慮したケアも受けられる
自由診療では病気を防ぐだけでなく、見た目の美しさにも配慮したケアが受けられます。
保険診療のクリーニングでは対応できない審美的な要素にも対応可能です。
代表的なもので「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning/専門的機械的歯面清掃)」がありますが、歯の色や艶を取り戻すような仕上がりを目指せます。
「予防しながら、見た目にもこだわりたい」という方にとって大きな魅力となるでしょう。
メリット③時間をかけて丁寧にケアしてもらえる
自由診療では施術時間に制限がないため、1回の診療にしっかりと時間をかけられます。
その分、細かい部分まで丁寧にケアしてもらえるのが特徴。
忙しい方や頻繁に通えない方でも、一度の通院で充実した予防ケアを受けることが可能です。
集中して口腔環境を整えたい方にとっては、大きなメリットです。
メリット④治療内容の自由度が高い
自由診療では使う器具や薬剤、通院の頻度や処置の内容まで、患者の希望に合わせて柔軟に調整することができます。
保険診療のような決められたルールに縛られることがありません。
清掃の頻度を多めに設定し、予防ケアとホワイトニングを組み合わせることも可能。
ライフスタイルや目的に合わせたプランを組める点も魅力です。
メリット⑤よい口腔状態を長く維持できる
自由診療では、処置後の状態を長く維持しやすいケアが実施されます。
例えば、エアフローによるクリーニングは歯の表面をツルツルに整え、汚れや細菌が付きにくくなるという特性があります。
その結果、口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病の再発を防ぐ効果が高まります。
長期的な健康維持や再治療のリスク低減にもつながるため、大きなメリットと言えるでしょう。
予防歯科にかかる費用の目安
予防歯科にかける費用は、保険診療を利用するか自由診療を選ぶかで大きく変わります。
保険診療は虫歯や歯周病が重症化しないよう最低限の処置が設定されており、3割負担で1回4,000円ほどが目安です。
初診の検査から歯石除去、再評価まで、おおむね2〜3回の通院で一連のケアが完了します。ただし、途中で病変が見つかった場合は、別途治療費が発生し、追加の通院が必要になります。
一方、自由診療は施術内容とタイミングを患者の希望に合わせて組み立てられるため、費用帯にも幅があります。
一般的なクリーニングであれば1回5,000円前後から受けられ、PMTCやエアフローを含む高精度なフルコースでは20,000円程度になることも。
処置時間が長く細部まで磨き上げるため、保険診療より通院回数を抑えつつ、高い仕上がりを期待できる点が特徴です。
どちらを選ぶにせよ、定期的なメンテナンスを続けることが将来の大がかりな治療を減らし、最終的な医療費を抑える近道になります。
自分に合った予防歯科で将来の歯の健康を守ろう
本記事では、予防歯科の基本や自由診療のメリット、費用の目安まで詳しく解説しました。
予防歯科は、虫歯や歯周病の早期発見と健康維持に欠かせない大切なケアです。
中でも自由診療は、精度の高い処置や審美面を意識した対応を受けられるのが魅力です。
ご自身の目的や生活スタイルに合った方法で、将来の歯の健康を守るために、今から予防歯科を取り入れていきましょう。

コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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