虫歯でもホワイトニングはできる?リスクや注意点を解説

虫歯がある状態でホワイトニングすると、しみることや痛みを感じるだけでなく、虫歯の進行を早めるおそれがあります。
また、治療前にホワイトニングすると色ムラや補綴物の脱落など、さまざまなトラブルに発展してしまうでしょう。
本記事では、虫歯があるときにホワイトニングが可能かどうか解説しつつ、治療後におすすめのホワイトニング方法や注意点、代替手段まで詳しくご紹介します。
安全かつ効果的に歯を白くしたい方は、ぜひ参考にしてください。
虫歯でもホワイトニングはできる?
虫歯があってもホワイトニング自体は可能ですが、実際には多くの歯科医院で、先に虫歯治療を済ませるよう勧められます。
虫歯を放置したままホワイトニングを行うと、薬剤がしみることや痛みが出るなどのリスクが高まるためです。
さらに、虫歯が進行して歯の神経に影響することもあり、最悪の場合は抜歯が必要になるケースもあるでしょう。
安全にホワイトニングを受けるには、まず虫歯の有無を歯科医院でチェックしてもらいましょう。
虫歯治療を終えてからホワイトニングを行うことで、トラブルを回避しながら確実な効果が期待できます。
虫歯の治療よりもホワイトニングを優先するリスク
虫歯を抱えたままホワイトニングを始めると、薬剤の刺激が強く伝わりやすくなります。
痛みだけでなく詰め物の脱落や色ムラなど、仕上がりに影響するトラブルが起こるため注意しましょう。
歯を美しく整えるためには、まず土台となる健康な状態を整えることが大前提です。
ここでは、虫歯の治療よりもホワイトニングを優先するリスクについて見ていきましょう。
ホワイトニング剤がしみる
虫歯で歯に穴があいているまたは歯茎に炎症があると、薬剤が象牙質へ直接届き強い刺激を与えます。
治療中だけでなく施術後もしみる症状が続くことがあり、予定どおりの回数をこなせなくなる恐れがあります。
特に冷たいものや風に反応しやすくなり、日常生活でも不快感が続く可能性も。
薬剤による刺激がストレスになり、ホワイトニングを途中で断念せざるを得ないケースも考えられます。
詰め物や被せ物が取れやすくなる
治療途中の歯は仮詰めや仮歯で保護されています。
ホワイトニング薬剤が接着面に浸透すると、接着力が弱まり外れてしまうケースが少なくありません。
詰め物が外れると虫歯の再感染リスクが高まり、治療のやり直しが必要になることもあります。
ホワイトニングの施術を中断せざるを得なくなり、治療計画の見直しが必要になることもあります。
歯の色ムラができやすくなる
ホワイトニングは天然歯のみに効果があるため、虫歯で変色した部分や人工歯は白くなりません。
健康な歯とのコントラストが際立ち、思い描いた色調に仕上がらないことがあります。
色ムラが目立つと見た目に違和感が出て、見る人に不自然な印象を与えるかもしれません。
後から被せ物や詰め物を白さに合わせて作り直す手間と費用もかかるため、二度手間になるケースも考えられます。
ホワイトニング中に虫歯が進行する
ホワイトニングで理想の白さに到達するには、数週間から数ヶ月かかります。
その間、虫歯を放置していると病変が拡大し、神経に達して抜髄や抜歯が必要になるケースもあります。
神経を取った歯はホワイトニング効果が出にくく、期待していた白さになりません。
さらに、治療が長引けばその間にホワイトニングのモチベーションも下がり、費用対効果が損なわれてしまいます。
虫歯の治療後におすすめのホワイトニング方法
虫歯の治療が完了した後は、安全にホワイトニングを進められます。
治療によって歯の神経を失った場合、人工物を使った場合はそれぞれに適した方法を選びましょう。
ここでは、代表的な3つの方法について詳しく解説します。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯科医師または歯科衛生士が施術を行うホワイトニング方法です。
高濃度の薬剤を用いるため、1回の施術でも効果が実感できる即効性の高さが魅力です。
ただし、詰め物や被せ物などの人工歯部分には薬剤の効果がなく、色に差が出ることがあります。
ホワイトニング後に人工歯を白さに合わせて再作成すれば、自然な仕上がりに近づくでしょう。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、歯科医院で作成した専用のマウスピースを使って自宅で行う方法です。
薬剤の濃度は低めですが、じっくりと歯の内部まで漂白できるため白さが長持ちしやすいとされています。
通院の負担が少なく、自分のペースでホワイトニングを進めることができる点がメリットです。
即効性には欠けますが、時間をかけて白さを持続させたい方に適しています。
ウォーキングブリーチ
ウォーキングブリーチは、根管治療後に変色した歯の内部に薬剤を入れて白くする特別なホワイトニングです。
歯の内側に漂白剤を入れたまま数日過ごし、1〜2週間ごとに薬剤を交換して理想の白さに近づけていきます。
歯の神経を除去したことで、外側からのホワイトニングが難しい場合におすすめの手段です。
通常のホワイトニングでは改善しない黒ずみや黄ばみにも対応可能な点が、この方法の大きな特長です。
虫歯の治療後にホワイトニングを受ける場合の注意点
虫歯治療が終わったからといって、そのままホワイトニングへ進むと色味にばらつきが出ることや、十分な効果が得られない場合があります。
人工歯の有無や根管治療歴の有無によって仕上がりが大きく変わるため、施術前に必ず歯科医師と計画を立てるようにしてください。
詰め物や人工歯は白くならない
ホワイトニング薬剤は天然のエナメル質にのみ浸透し、レジンやセラミックといった人工材料には作用しません。
そのため、治療済みの部分が残っていると天然歯だけが白くなり、詰め物や被せ物との色差が強調される可能性があります。
違和感を防ぐには、ホワイトニング後の色に合わせて人工歯を作り直すか、治療時点で色調を考慮しておく必要があります。
治療の段階で将来の審美計画を共有しておくと、二度手間や追加費用を抑えられるでしょう。
根幹治療後の歯はホワイトニングの効果が出にくい
神経を除去した歯は内部から変色しやすく、表面に薬剤を塗布する通常のホワイトニングでは十分に明るくなりません。
黒ずみや茶褐色の変色が進んでいる場合、効果が感じられず施術回数だけ増えることがあります。
このような歯には、歯の内側に漂白剤を入れて色素を分解するウォーキングブリーチが適しています。
ただし、治療期間が数週間に及ぶ上、再充填や密閉の工程が必要なため、必ず専門的な診断と計画を立てて進めるようにしましょう。
ホワイトニング以外で歯を白くする方法
ホワイトニング薬剤が合わない人や失活歯の変色が気になる人には、薬剤を使わずに見た目を整える方法もあります。
治療の持続性や歯の負担は方法によって異なるため、目的とライフスタイルを踏まえて選択しましょう。
セラミック素材の被せ物や人工歯を使う
セラミックは光を透過する性質が天然歯に近く、色のバリエーションも豊富です。
黄ばみが強い歯やウォーキングブリーチで改善しなかった変色でも、被せ物として装着すれば自然な白さを再現できます。
硬度と耐久性に優れるため、経年による変色が少なく長期的に美しさを保てる点が魅力です。
ただし装着時に歯を削る必要があるため、治療前に十分な説明を受け、費用とリスクを理解しておきましょう。
ホワイトニングマニキュアを塗る
歯科専用のホワイトニングマニキュアは、歯面に薄いレジン層をコーティングして瞬時に白さを演出します。
塗布直後から色調が変わるため、結婚式や撮影などすぐに見た目を整えたい場合に重宝します。
ただし、塗膜は摩耗や着色の影響を受けやすく、効果はおよそ数ヶ月で薄れていくでしょう。
噛み合わせ部分には塗布できないため、前歯中心の補助手段と割り切り、定期的な再塗布を前提に活用すべきです。
虫歯の治療からホワイトニングまでの流れ
虫歯を治したあとに理想の白さを手に入れるには、診断から仕上げまでの手順を理解しておくことが大切です。
治療内容や歯の状態によってタイミングが変わるため、担当医と密に相談しながら進めましょう。
歯医者で診断を受ける
ホワイトニングを始める前に、歯科医院で診断を受けるのが基本です。
診断では、虫歯や歯周病の有無、歯の着色の原因、過去の治療歴などを確認し、口腔内の状態を総合的にチェックします。
もし虫歯や歯石がある場合は、まずそれらの治療やクリーニングが優先されます。
治療せずにホワイトニングすると痛みや炎症、薬剤の効果が出ないなどのリスクがあるためです。
また、ホワイトニングの効果と安全性を最大化するには、虫歯や歯周病のない健康な歯であることが前提となります。
イベントや写真撮影など目的がある場合は、施術の希望日を伝えておくことで最適なスケジュールを提案してもらえます。
虫歯の治療方針とホワイトニングの施術プランを決める
診断結果に基づいて、虫歯の治療方針とあわせてホワイトニングの施術計画を立てていきます。
虫歯治療で詰め物や被せ物が必要な場合は、仕上がりの白さに合わせて使う素材を選びましょう。
保険適用のプラスチックはコストが抑えられる一方で、時間とともに黄ばみやすいという欠点があります。
一方、セラミック素材は変色しにくく、自然な白さと透明感が長持ちするため、審美性を重視する方には適しています。
また、ホワイトニングそのものが虫歯を引き起こすという心配は不要で、定期的なケアによって歯の表面を清潔に保てるため、むしろ虫歯や歯周病予防にホワイトニングはおすすめなのです。
虫歯とホワイトニングを両立させるために大切なこと
虫歯がある状態でホワイトニングすると、しみや痛み、色ムラ、詰め物の脱落といった予期せぬトラブルを引き起こす恐れがあります。
歯を美しく保つには、虫歯治療を優先して口内環境を整えたうえで、ホワイトニングを行うのが理想です。
また、治療内容によってはホワイトニング効果に差が出るため、事前に歯科医師としっかり相談し、最適な施術時期や方法を決めましょう。
見た目の美しさと健康を両立させるために、無理のないステップで歯のケアを進めてください。

コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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