コーヒーが虫歯の原因に?考えられる原因と飲み方のポイント

毎日飲むコーヒーが、実は虫歯のリスクを高めることがあるとご存じでしょうか。
砂糖やミルクの甘さ、酸性度、唾液の減少などが虫歯の原因になると言われています。
本記事では、コーヒーが虫歯を招く仕組みを解説しつつ、ブラックで飲む、ダラダラ飲まないといった、口内環境を守りながらおいしく楽しむ具体策を紹介します。
コーヒーと虫歯の関係性について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
コーヒーが虫歯の原因になることはある?
コーヒーそのものが虫歯の直接的な原因になることはありません。
虫歯は、口の中にいるミュータンス菌などの虫歯菌が糖をエサにして酸を作り、その酸が歯の表面を溶かすことで進行していく病気です。
ブラックコーヒーには虫歯菌が好む糖分がほとんど含まれていないため、それだけで虫歯ができるわけではありません。
しかし、コーヒーに砂糖やミルクを加えている場合や、甘いお菓子と一緒に飲んでいる場合は注意が必要です。
口の中に糖が長く残ると、虫歯菌が活発に働きやすくなり虫歯のリスクが高まります。
また、コーヒーは弱酸性の飲み物のため、少量を長時間かけて飲み続けると、歯が酸にさらされる時間が長くなります。
そうなると歯の表面が溶けやすくなり、再び修復される(再石灰化される)チャンスが減ってしまうのです。
つまり、コーヒー自体に問題があるというよりも、飲み方や一緒に口にするものが虫歯に影響を与えているということです。
コーヒーが虫歯の原因になるといわれる理由
コーヒーを飲むことが直接的に虫歯の原因になるわけではありませんが、日常的な飲み方や組み合わせる食べ物、そしてコーヒーのもつ性質によっては、虫歯のリスクを高めてしまうことがあります。
ここでは、虫歯との関係性が指摘される代表的な理由について、一つずつ解説していきます。
コーヒーに砂糖やミルクを入れるため
ブラックではなく砂糖やミルクを加えたコーヒーを楽しんでいる方も多いでしょう。
甘くて飲みやすく、ほっと一息つける味わいですが、実はこの甘さが虫歯の大きなリスク要因となります。
虫歯菌は糖分をエネルギー源として活動し、酸を作り出します。
その酸が歯の表面を溶かし、虫歯が発生します。
つまり、砂糖やミルクを入れたコーヒーを頻繁に飲むと、口の中に糖分が長時間残り、虫歯菌の働きを助長する環境をつくってしまうのです。
さらに、ミルクに含まれる乳糖も虫歯菌のエサになります。
何気なく飲んでいる杯の甘いコーヒーでも、飲み方次第で虫歯のリスクを高めるおそれがあります。
酸性飲料のため
コーヒーは弱酸性の飲み物で、pHはおおよそ5前後とされています。
炭酸飲料やフルーツジュースほど強い酸性ではないものの、酸性度のある飲み物を頻繁に摂取すると、歯のエナメル質が少しずつ弱まっていきます。
歯の表面を覆うエナメル質は、酸によって「脱灰」と呼ばれる状態になり、構造がもろくなります。
その状態で虫歯菌が酸を作ると、その結果、歯がダメージを受けやすくなります。
特に、コーヒーを少しずつ長時間にわたって飲み続けると、歯が酸にさらされる時間が延び、再石灰化のチャンスが奪われてしまいます。
口の中が一時的に酸性になるのは自然なことですが、その状態が長く続くことは虫歯のリスクに直結します。
飲んだ後に水で口をすすぐなどの習慣が、酸から歯を守る上で効果的です。
唾液の分泌量を減少させるため
コーヒーを飲んだ後、口の中が乾いたように感じた経験がある方もいるでしょう。
実はコーヒーには一時的に唾液の分泌を抑える作用があり、口腔内の潤いが不足しやすくなります。
唾液は虫歯予防に欠かせない役割を担っています。
食後に酸性に傾いた口の中を中和したり、歯の表面を洗い流したり、再石灰化を促したりと、歯を守るためのさまざまな働きをしているのです。
ところが、コーヒーの過剰摂取やカフェインの利尿作用に加え、脱水状態が重なることで唾液の分泌量が低下します。
これにより、口の中のpHバランスが崩れ酸性状態が長く続いてしまうため、虫歯のリスクが上昇するのです。
特に乾燥しやすい朝や日中のコーヒーブレイクでは、水分補給を意識して、口腔内の潤いを保つことが重要です。
着色による歯の見た目の変化が起きるため
コーヒーには「ポリフェノール」や「タンニン」といった成分が含まれており、これらは抗酸化作用など健康面での効果がある一方、歯の表面に色素が沈着しやすい性質も持っています。
このような着色汚れは「ステイン」と呼ばれ、毎日コーヒーを飲み続けていると歯が黄ばんで見えるようになります。
虫歯とは直接関係ありませんが、見た目の印象に影響するため、気になる方も多いでしょう。
さらにステインが付着した歯の表面はザラつきやすく、歯垢(プラーク)がたまりやすくなるという問題も。
歯垢は虫歯菌の温床になるため、ステインを放置すると、間接的に虫歯や歯周病のリスクを高める要因になります。
定期的な歯のクリーニングや、コーヒーを飲んだ後のうがいを習慣化することで、見た目も清潔感も保ちやすくなります。
虫歯の心配なくコーヒーを楽しむポイント
コーヒーの香りと味わいを満喫しながら歯の健康も守るには、飲み方とケアの習慣を少し工夫するだけで十分です。
以下4つのコツを意識すれば、カフェタイムの満足感を損なうことなく虫歯リスクを抑えられます。
順番に見ていきましょう。
砂糖なしのブラックコーヒーを飲む
虫歯菌は砂糖などの発酵性糖質を栄養源にして酸を作ります。
甘味を加えないブラックコーヒーなら、酸の材料がほとんど残らず歯が溶けるきっかけを減らせます。
ブラックが苦手な場合は、まず砂糖を控えてミルクだけにするか、徐々に甘さを減らすことで味覚が慣れていきます。
ポリフェノールの抗菌作用も期待できることから、無糖で飲むことは虫歯予防においても大きなメリットがあります。
長時間にわたって飲み続けないようにする
コーヒーを少しずつ何度も口に運ぶ習慣は、歯の表面が酸や糖にさらされる時間を伸ばします。
ダラダラ飲みを避け、温かいうちに飲み切ると口腔内が酸性に傾く時間が短縮され、再石灰化がスムーズに進みます。
飲み終えた直後に水をひと口含んで軽くすすぐことで、酸や着色成分を洗い流す効果も期待でき、虫歯予防に役立ちます。
飲んだ直後の歯磨きは控える
コーヒーを飲んだ直後の歯は、酸の影響でエナメル質がわずかに柔らかくなっています。
このタイミングで強くブラッシングすると、表面を削ってしまう恐れがあります。
できれば30分ほど経ってから、唾液が中和を終えた段階で磨くのが理想です。
外出先などで時間を置けない場合は、優しくうがいをするだけでも歯への負担を軽減できます。
定期的に歯科検診を受ける
セルフケアにはどうしても限界があります。
半年に一度、歯科医院による定期クリーニングでステインを落とし、初期虫歯を早期発見できれば重症化を未然に防げるでしょう。
コーヒーを日常的に飲む人ほど着色が蓄積しやすいため、歯科医院でのチェックは美観と健康の両面を守るための対策として有効です。
クリーニング時に生活習慣の相談もすれば、自分に合ったケア方法が見つかりやすくなります。
虫歯リスクを意識しながらコーヒーを安心して楽しむために
コーヒーそのものが虫歯の直接的な原因になるわけではありませんが、砂糖やミルクを加えたり、長時間かけて飲み続けたりすることでリスクが高まることがあります。
また、唾液の分泌が減ることや酸性の性質も、歯にとっては見過ごせない要素です。
だからこそ、ブラックで飲む・水ですすぐ・飲み方を工夫するといった、ちょっとした意識が口腔環境を守る大きなポイントになります。
日常的にコーヒーを楽しむ方は、定期的な歯科検診も含めたトータルケアを取り入れながら、歯と上手に付き合っていきましょう。

コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
- 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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